ヘルガ2
DaysAIで作成したイラストに妄想ストーリーをつけ、物語になりました。
小説を書くのは初めてですので、見苦しい表現もあるかと思いますがご容赦ください。
残酷な描写は、なるべく避けますが、戦闘や戦争を扱っていますので、苦手な方はご遠慮ください。
文中の挿絵の著作はjettsにありますので無断転載はご遠慮ください。
ゲストのイラストも無断転載はお断り致します。
投稿時間が、4月28日より変更します。
本編 水、日の朝7時投稿です。
大図書館 月、土の朝7時投稿です。
★要注意★
今回、次回は捕虜についての表現があります。残虐さは直接的ではありませんが、物語の都合上避けて通れない為、捕虜、奴隷が出ます。苦手な方は閲覧注意でお願いします。
鉄塊の国
一本の鉄塊が国を興した。
歴史は綴られる。
ヴァン殿の工房から出ると、配下のゼーエンから鏡を使った通信が入る。
「ヘルガ姉様、今回の事起こしが町外れに向かっています。おまかせできますか?」
何、そばに居るということか? 早速、周りに張ってある探査の糸に集中する。ここから南東1ブロック先、確かに手練れが全力で街の外れに向かっている。
「でかした!こちらでも補足した。よし、これが済んだら好きな褒美をやるぞ。かんがえておくのじゃ」
通信を切り、補足した獲物に向かって移動を開始する。
ヴァルグラン戦訓6か条が一つ。
知り難きこと陰の如く
息を潜め、罠を用意して獲物を追い込む。
獲物に気づかれぬうちに妾は必縛の間合いまでたどり着く。
外套をひるがえしながら走る獲物。人に見えるが、奴は魔力隠蔽で角を隠しておる。魔力が高い他種族なのであろう。
獲物がアジトの近くを通る。予想していた場所を通ったので、配置した糸を足に絡め一気に引っ張る。
不意を突かれた獲物は踏ん張りも効かずアジトまで引きずられ投げ出される。
アジトは倉庫を偽装したもので、普段は訓練場として使っている場所だ。ここなら少しばかり遊べるじゃろ。
アジトの扉を閉めながら防音の魔力回路に魔力を通してこのアジトから外への音を遮断する
。
「そこの獲物よ。死力を尽くせ」
足の糸を外してやり、獲物の前に姿を見せる。すると、獲物は立ち上がり魔力回路を展開し、あの芋虫の成虫なのであろう蝶を周りに召喚する。
ほほう、なかなかの魔力。此奴がここの頭で間違いないのう。こんなのがウジャウジャおるようであれば、かなり個の力が強い種族じゃな。
古代竜の力を感じるので恐らく竜鬼人辺りといったところか。
「お前が誰だかわからんが、その余裕が命取りだ」
そう言いながら、周りの蝶がひらひらと舞いながら室内に鱗粉をまき散らす。恐らく催眠効果か致死といったところだろう。
迂闊にも妾の目の前を一匹の蝶が通り過ぎたので、鷲掴みに捕らえて羽根をもぎ取り頭から噛りつく。
「この舌触りは、致死の猛毒じゃな」
妾の食べっぷりを見て、あやつの余裕の笑みが崩れる。
実際、今回は運良くあれだけの数の虫を成熟前に駆除できたから良かった。
奴らの描いた絵のとおりであれば、滅びることはないものの、王国には大きな痛手であった。
そういう意味では、やつが自信を持つだけの実力があり、国を傾かせかねない力であることは揺るぎない事実なのじゃ。
さて、これだけ隙を晒しても、つぎの一手がないのであればお遊びはおしまいということじゃな。
「なっ!何をした!」
全ての蝶が、空中でもがく。そして、むしゃり、むしゃりと噛じられていく。そう、蜘蛛の糸が意思を持って、捕らえて喰らう。
可愛い我が子のおやつに丁度よいわ。自然と妾の口に笑みが宿る。此奴のしたことはわしには許せぬ所業。
「愛しきものに託された我が子同然の、この国を脅かすとは………覚悟はできているな?」
小童を静かに睨む。
「ひぃっ」
座り込み、恥ずかしげもなく後ずさりを始める。妾の笑みを見てその様な姿を見せるとは、酷いではないか。
「く、くるな!」
小童が醜くも腰を抜かしながら、もがく。
「糸でこんな事もできるのじゃ。お主の知っていることを全て教えて貰うぞ」
古代よりあまりに非人道的と言われる外道の術。
「ヴァルグランにすべてを捧げよ。」
蜘蛛の糸が緻密に描いた魔法陣に魔力を通しその力を解放する。
「隷属」
意思を塗りつぶし、血の涙を流させながら妾の思い通りの人形に変える。此奴にもう、安息は訪れない。
夜は明け、生活レベルキリギリス隊長を送り出した後、スキップ交じりに町外れの倉庫にレッツゴーっス。
アジトに入ると広い室内にポツンとテーブルとイスがあり、ゼーエンと泣きぼくろが印象的な美人さんが談笑しながら優雅に紅茶を飲んでいる。
思わず笑顔が引きつる……なんで?
アチシが混乱していると、べレックがエスコートに来てアチシを椅子につかせる。
あわあわしているアチシに、美人さんが微笑みながら声をかけてくる。
「今はヴァルグランに住むものとして御礼を言わしてほしい。本当にありがとう。」
美人さんは、涙をこぼしながら微笑み、アチシをジッと見つめてくる。純粋で澄みきった、アイツとそっくりな目。
「もう、不意打ちは卑怯なのじゃ。素になってしまうのじゃ。今回の事は気にするでない、妾の大切な物が、おぬしらと同じなだけじゃ」
気をとりなおすっス。キャラは守ってなんぼっス。
「まぁいいっス。とりあえず、今後の事を話し合うっすよ。べレック、聞き出した情報をバーンと語るっスよ」
べレックの話を聞き、一同苦虫を38匹くらい噛み潰したような顔になるのだった。
1章終わらなかった………
あと2話ほどお付き合いください。
後、美人さんはもうおわかりかと思いますが、思い出せなかったら序章閑話、1章グライシア2をご覧ください。
群像劇書いてて楽しいのですが、
読む方は時間軸を管理するのが難しいですかね?
時間軸まとめがあると読みやすいですかね?
需要があるようでしたら感想でいただけると頑張ってつくります。
では、また日曜日にお会いしましょう。
蟲使い『ライム・ウィーゲ』
竜鬼人の一人。シュタルクの配下。
シュタルクの持つ秘宝の力により元々持つ魔蟲を操る力が強化されており、無数の魔蟲と感覚を共有できる力がある。
ヴァルグラン王国に密偵として忍び込み、情報収集と破壊工作を企てたが、ろくな情報を掴むことなく不幸な出来事に遭う………