ゼーエン1
DaysAIで作成したイラストに妄想ストーリーをつけ、物語になりました。
小説を書くのは初めてですので、見苦しい表現もあるかと思いますがご容赦ください。
残酷な描写は、なるべく避けますが、戦闘や戦争を扱っていますので、苦手な方はご遠慮ください。
文中の挿絵の著作はjettsにありますので無断転載はご遠慮ください。
ゲストのイラストも無断転載はお断り致します。
投稿時間が、4月28日より変更します。
本編 水、日の朝7時投稿です。
大図書館 月、土の朝7時投稿です。
鉄塊の国
一本の鉄塊が国を興した。
歴史は綴られる。
ヴァルグランの王都には防火設備として大きな水樽が王都内に配置されている。
水質と水量の管理の為という名目で樽の側面にガラスの窓がいくつもつけられている。しかし、本当の目的は王都内の警備の為だ。
私は固有の能力を持っていて、その一つが水か、鏡がある所と感覚を共有することができる。その能力を使えば街中の水樽や王宮内の鏡を通して王国内の8割に近い場所を監視することができる。
昨日、黒師『繰糸のヘルガ』姉様から王宮内及び、王都内に不審な芋虫がいるとお言葉を頂き、すぐに調査したところ。
「なにこれ!」
様々な場所にいた。普通の虫なら群れたり、不規則にいるものだが、規則性を感じるほど等間隔におり、何者かの意思を感じる。
こんな物を見逃していたとは、王国の目を自称する私としては恥ずかしくて穴があったら入って土をかけて埋もれたい。
恐縮しかりの私に、ヘルガ姉様は
「今回ばかりは仕方無しじゃ。妾ですら、偶々微細な魔力回路を発動しているところに通りかかっただけじゃ。気に病まずとも良い。後は、妾と猪で対処致す。」
なんてやさしいお言葉。でもでも、失敗を叱って頂いて、あの糸で私を………いやんいやん♥
「お嬢様。よだれが垂れておりますぞ」
元執事のオーベルアイゼンが胸元のハンカチで、さっと私の口元をエレガントに拭う。
「オーベル、辞めたあなたを呼び出して申し訳ないわ」
気を取り直し、紅茶を一口頂き、ヘルガ姉様に頼まれた事を思い出す。
「明日までに妾たちが一度芋虫どもを一掃する。恐らく首謀者がおる。殲滅時、怪しげな者たちをリストアップせよ。そして、可能であれば捕らえよ。」
ヘルガ姉様の凛としたお言葉を思い出し、顔がにやける。
「お嬢様」
オーベルの声でハッと表情を戻す。
「王国の危機でございます。弟子がやむを得ずお嬢様から離れるのです。老いぼれでもお役に立てればと馳せ参じたまでです」
オーベルはすっと表情を和らげながらスコーンをテーブルに置く。
今日の昼に街中で虫の駆除を派手に行なう魔法騎士団長を見て、不自然であった者たちのリストアップは済んでいる。
私の配下である水鏡は主に私の執事とメイド、特殊な訓練を受けた工兵で構成されている諜報及び強襲実行部隊である。
今回のように現場での判断を素早く行えるようにするには私の執事であるべレックを派遣する他無い。
必然的に、執事不在の私は身の回りの世話をするものがいなくなる。というのは建前、私の能力は情報収集については唯一無二。しかし、戦闘能力は皆無。万が一はこの国の、一大事にもなる。
その為ボディーガードとしてべレック並の者を揃えるとなると鉄の城の二つ名を持つオーベルアイゼンに協力を頼むのは必然である。
スコーンを一口と紅茶で喉を潤しながら、街中を確認する。今回怪しい旅人は4人。全員ここ2ヶ月以内に冒険者として入国しており、一応共通点はないように見える。
ほぼ常にフードを被り、虫の駆除を見て一瞬ではあるが不審な挙動が見られた。
すぐに、水鏡を派遣して不審な行動。すなわち再度の虫の散布を行った場合、拘束あるいは……
わが国に仇なす者に容赦はいらない。
出来れば、元凶を突き止めるため捉えたいところだが、手練れであることは昼間に確認していた時に所作から見て取れる。少なくとも、メイドと同等以上。
自慢ではないが、メイド達は兵士で言えば隊長クラスであり精鋭と呼べる者達である。その者達と同等な上、ここまで大胆に敵陣まで来ているということは一筋縄では行かないだろう。
補足している4人は水鏡に任せ、私は、まだ確認できていない今回の部隊の司令塔を見つけ出すことに専念する。
「お嬢様。リリーです。敵の抵抗が強く、処分という形となりました。相手は竜の角と尻尾を持ち非常に強い魔力で能力向上率がズバババーンで、素手に見えても不可視の爪でスパーンという感じです。部隊全体に情報提供お願いします」
リリーからの、鏡を通した報告。水鏡のメンバーは全員、鏡のアクセサリーを身に着けており私を介して連絡を取り合える。
通信回路による通信は高い魔力を持っている相手には傍受される可能性があるのであえてこちらを使ったのであろう。
マリアお姉様ですら、この通話は傍受出来ないとおっしゃられていたので、皆にはこちらで連絡を取る。当然通訳はしておく。
「ユーリです。同じく手加減できませんでした。リリーの報告通りの姿です。工兵隊が回収済みです。」
マークしていた者たちは異種族で確定。竜に属するだけあって強力な能力を持っているようだ。手練れの2人が手加減でき無いという相手であったということだ。
情報を共有していく。その間も街中を監視し不自然な者を見つけるのは忘れない。
「べレックです。お嬢様。確保致しました。苦戦するようなら他は処分するようお伝え下さい。」
頼もしい声がする。べレックは私の執事でオーベルの弟子。実力は今の報告通り。
「ありがとうべレック。気を付けて帰投するよう」
労いの声をかけた時、暗闇を走る不審な人物を発見する。
町外れに向かっている。近くにいる水鏡のメンバーを探るが、防壁に到達するまでに駆けつけられそうな者はいない………いや。
おられた。
「ヘルガ姉様、今回の事起こしが町外れに向かっています。おまかせできますか?」
逃走者を捕らえる、一番の適任者にお願いをする。
「でかした!こちらでも補足した。よし、これが済んだら好きな褒美をやるぞ。かんがえておくのじゃ」
「にゃにぃ!ごほーびですか?まじですか?なにがいいかな〜♥イエス♪イエス♪イエス♪」
その後、私は、淑女とは何かということをオーベルとべレックに懇々と、そう懇々とお説教されるのでした。
今回のリリーと、オーベルアイゼン、べレックは【月皇神姫】妖夜様からお借りしております。
急遽、1話挟みました。だってだって、べレックとリリーのイラストを見て、主人必要だな〜って生成したら。
爆誕!ゼーエンちゃん!
これなら話がより詳しく辻褄も合いそうとなり1話追加です。
ヘルガは予定通り、次回無双します。お楽しみに。
水鏡の長『ゼーエン』
ヴァルグラン諜報部隊『水鏡』を統括する少女。
鏡と水があれば、視認、通話と移動ができるという優れた力を持つ。
自身には戦闘能力はほぼ無いが、執事とメイド(冥土)が常にそばにおり、無敵のボディーガードとして立ちはだかる。
見た目通りの少女であるがゆえ、少し幼さも残る。
鉄の城『オーベルアイゼン』
元ゼーエン嬢の執事であったが、後進に譲り、現在は黒師『繰糸のヘルガ』の部下である。
鉄の城の由来は、持ったものを鋼鉄と同じ強度に変換させることができるためである。
鉄拳執事『べレック』
水鏡の長『ゼーエン』の執事権ボディーガード。
近接格闘の達人。3つの戦闘スタイルがあり、次々に切り替えるため、相手は3人の達人と同時に闘っているような錯覚を覚える。
迎撃メイド『リリー』
水鏡の長『ゼーエン』のメイド兼迎撃冥土
魔導銃を使いこなし、近接距離射撃を得意としている。
因みに、中距離、遠距離でも普通に撃てるが、近くでドーンってするのがたまらないらしい。
スパーンとかビビっと等独特の表現が多い。
更新の変更については、前書き、王立ヴァルグラン大図書館での告知。活動報告にある通りです。これからもよろしくお願い致します。