ルー1
DaysAIで作成したイラストに妄想ストーリーをつけ、物語になりました。
小説を書くのは初めてですので、見苦しい表現もあるかと思いますがご容赦ください。
残酷な描写は、なるべく避けますが、戦闘や戦争を扱っていますので、苦手な方はご遠慮ください。
文中の挿絵の著作はjettsにありますので無断転載はご遠慮ください。
ゲストのイラストも無断転載はお断り致します。
投稿時間が、4月28日より変更します。
本編 水、日の朝7時投稿です。
大図書館 月、土の朝7時投稿です。
鉄塊の国
一本の鉄塊が国を興した。
歴史は綴られる。
街中に緊急警報である音楽が流れる。
先ずは自由行動中の部下に連絡を送る。
「訓練じゃなかったら今こそご恩を返すよ。各自情報を取って行動方針を決めるよ。」
町では避難誘導が始まる。様々な国を渡り歩いてきたが、この国ほど緊急時への対応をしている所はない。
公共の施設や教育機関では一月に一度抜き打ちの避難訓練という避難する練習をしている。半年に一度定期的に町全体での避難練習が行われている。
その結果、今のように抜き打ちで避難指示があっても、王国の人達は指示に従い避難できる。訓練であればそれでよし。そうでなければ命が助かる。王国民は幼い頃からそう教わっている。
命を守るという生き物であれば当たり前のことを、この国では重視されている。他国では、貴族や一部の上流階級以外の人命など生産力位の価値しか無いのだが、それは間違いだと王国は説いている。
ここに住んでいる人達は、言葉を学ぶと真っ先に教わる言葉がある。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」
意味は国を支えるのは物理的な守りではなく人々の信頼と絆であり、人に優しくし協力することが大切。恨みや憎しみは関係を悪化させるという教えだ。
初めて聞いたときは、思わずただ馬鹿なこと言っていると思った。しかし、この国を目の当たりにしたとき本当に実現しようとしていることが解った。もちろん、悪人がいないわけじゃない、だが悪人でないほうが過ごしやすいという、他国では信じられない場所なのだ。
この教えがあるから、皆は指示を信じて西の避難地区に向けて移動している。戸惑う旅人たちにも声をかけ、他国の言語にも対応している地図を見せ避難を促している。
順調に避難が進んでいる。そこに部下から通信が入る。
「こちらプロージィ。軍の通信傍受したよ。東からウィードラッヘが3000頭飛行中。同じ数のラーヴァスコルピオを抱いて向かってるって」
可愛い声でサラッと凄い事を言ってくる。ここの防衛力じゃ無理な数じゃないの!
「なんでか解らないんだけど、本国の魔法騎士団長が司令官になった。噂通りならこの数でも、もしかしたらって感じ。団長、ラーヴァスコルピオならうちらで少しはお手伝いできそうだよ」
分が悪い、博打だ。だが、あの人達なら迷わないんだろうな。
ヴァルグラン戦訓6か条が1つ
「疾きこと風の如く!砂漠の疾風、西の避難地区への侵攻を防ぐ。総員準備。魔導鎧装着者は工房にて受領後、プロージィの指示通りの場所に待機。衛兵との交渉に特機の名称、後ろ神の二つ名の使用許可を出す。」
手早く指示を出し、身体を強化し屋根に飛び上がり、一直線に工房に向かう。
「丸投げ、りょ~かいちゃんです。団長はいつも通り先陣お願いします。工兵は03回線、魔導鎧は04回線。みんないつも通り、肩の力抜いてこー」
気が抜ける声だが、何度も窮地を救ってくれた信頼に値する声。あの調子なら今回も任せて安心だ。
考えている内に工房に着く。
「話は聞いております。特機用意しております。出撃準備にあたり、魔導鎧7番隊副長からご提案があるとの事ですが、お時間よろしいでしょうか?」
軍の整備兵から提案が来た。当然受けると、東の方から閃光と轟音。しばしの後、地響き。
戦いが始まった事を悟る。
少し足早で近づいてくるイケメン。
「始めましてフロイライン。私はシュッツガルトと申します。時間がないので端的にお伝えします。戦線が崩れ地上戦が始まるまで、迎撃準備をお願い致します。陸戦が始まるタイミングでご連絡致しますので、こちらの全軍回線にて名乗りをお願いします。」
そう言うと敬礼し
「グーテファールト!」
ヴァルグラン王国で、旅や試練の成功を祈る挨拶をし、恐らく彼のものであろう巨大な砲身を持つ大型魔導鎧に向かって去っていった。
私の手には、通信用の宝珠が残されている。有事だ、考えあっての提案だろう。難しく考えることはない。やることは同じだ。
宝珠を胸元にしまい込み、愛機に向かった。
迎撃準備を行い、目まぐるしい数分間が過ぎた。そして、待ち望んではいなかった連絡が来る。
「東区中央よりから中央区辺りに敵300降下の可能性大。降下確認後迎撃及び名乗りをお願いします。我々が最後まで勝利を諦めぬような名乗りを!」
冷静な声だが、必死の祈りが込められている。この戦い終わりは近い。皆が勝利をあきらめないように、苦手だが一世一代の名乗りを上げてやろうじゃないか。
愛機を走らせ降下予定の地点に向かう。東の防壁の上空では激しい攻防が行われている。榴弾に水晶、矢が飛び交う。それらをすり抜け300頭の飛竜が300体のラーヴァスコルピオを都市部に投下する。
足を広げ滑空し町中に次々降り立つ。
そのうちの一体に加速状態で近づきながら、通信宝珠に魔力を通し、全軍に名乗りを上げる。
「我が名は、後ろ神のルー。国王陛下に、ご恩を返す為、馳せ参じた。」
我ながら芝居がかっていると思いつつ、愛機の反応を最大まで上げラーヴァスコルピオの脇をすり抜けざまに獲物を一閃。鉄をも弾くラーヴァスコルピオの外骨格ではあるがヴァン爺さんの鍛えし愛刀に斬れぬものなし。すぐに、次の獲物に向かう。
「近距離特機1体、近距離量産型4体、魔導工兵50人。傭兵団砂漠の疾風、指揮下に入る。ラヴァースコルピオはお手の物だ。数を相手にするので用意するのに時間をもらったが、遅れた分の仕事はするぜ。」
数は多い。少し荷が重いが、皆の奮闘に期待だ。
「みんなのアイドル、プロージィだよ!魔導地雷は500。総員フィルタースコープ着用の上、誘導し、1体も西区に入れないでね〜。うちとの約束だよ。」
プロージィの軽口が最上級だ。かなりまずい状況だな。何ていうんだっけ、あの人が言ってたこんな絶体絶命をも覆す幸運の事。
数分後。東に紅い火柱が登り、敵の残数100以下の報告を受けた時自然と思い出した。
「神風が吹いた……」
今回のルーとプロージィは
【月皇神姫】妖夜様からお借りしております。
私が尊敬する武将が残したと言われるお言葉を、連載当初から使わせていただいております。有名なフレーズが出たので皆様おわかりいただけたと思います。
何故、この言葉がヴァルグランに伝わったか、挨拶や名詞にドイツ語(?)が使われているかはいつか、外伝などで明かせればと思います。今はカッコいいから作者が使ってるだけぐらいの認識で大丈夫です。
私的に群像劇は、視点が変わると同じ事象も印象が変わるということを伝えるツールと思っています。
今までもそうですが、今回は特に皆が自分の力の限界を知り、苦悩しながらも他者の為に限界を超えようとした時にこそ、超越したものが手を貸した事に感謝できるということを表現したいと思っています。
上手く伝えられませんが、全力を出していないときの奇跡は気が付かないことが多いというのが私自身の体感です。この世界に行って自身も体験したいと思っている自分がいます。
神風については不快に感じる方がいらっしゃったら本当に申し訳ありません。私の解釈は神道の神から賜われた幸運という意味で使用しております。他意はございません。
更新の変更については、前書き、王立ヴァルグラン大図書館での告知。活動報告にある通りです。これからもよろしくお願い致します。
爆弾魔『プロージィ』
傭兵団砂漠の疾風の魔道工兵長
団長の右腕と名高い魔道工兵。
戦場に魔力回路を設置し、生物の微弱な魔力で魔法が発動するように仕掛けるプロフェッショナル。
その場に応じて、鉱石や様々なものを使い魔法の効率化を図る錬金術の側面を持ち非常に稀有な才能を持っている。
喋り口調は軽いが、仲間思いの熱い一面を持つ。
危機を感じるとドンドン軽口になり、天元突破で、アイドルデビューしてしまう。
因みに、威力偏中なため爆弾魔などという不名誉な二つ名を持っている。