涙のルール
「それでね...」
アモルさんはちょっとニヤニy...
ううん、嬉しそうに聞いてきた。
「"祝福の涙"って聞いたことはあるかしら?」
確か神様が言ってたやつだよね。
いわゆる安楽死的なことが出来る唯一の薬?なんだっけ。
「普通はね、何度も教会に通ってもらって状況を見てから祝福の涙については説明するのよ。
だけど、トーレリーチェ家に産まれる転生者には命名の時に説明をしなさいってご信託があったの。
ビックリしちゃったわ。
マードレを何十年とやって来て初めてのことなのよ!
絶対私達でやらなきゃと思って!!」
あまりの勢いの強さに少しびっくりしてしまった。
あ、だからさっき嬉しそうだったのね...
ちょっとテンション上がっちゃったのね...
そんなアモルさんを見て、お兄ちゃんと遊んで待ってるパトロさんも苦笑いだし...
つまり、今までになかったご信託だったから、お偉いさんが担当しなきゃいけないってことだよね。
そりゃ両親も使用人達も不安になるよね。
仲のいい教会の夫妻がお祝いに来てくれたと思ってたら、まさかの2人共が担当。
割と大事なんだろうな。
「ふぅ...とりあえずね、説明させていただくわ」
アモルさんの話のおかげで以前聞いた話とは追加で色んなことを知ることが出来た。
以前聞いた通り、祝福の涙は安楽死のような薬だということ。
そしてそれは液体で、気に入った飲み物に混ぜて飲む事で投薬すること。
効くのには半日~1日かかり、寝ることによってその効果が現れること。
多くの人は、朝に飲み、一日を好きに過ごしたあと眠りにつくこと。
支給は教会でしか行われないこと。
その時に葬儀等に関しても相談できること。
教会は他言しない事を誓うため、自分だけの判断で出来ること。
本人の希望であれば、家族に死後も使用を知られないようにすることも可能であること。
「この薬はひとつの選択肢。
私たち教会は、使うことを推奨も反対もしないわ」