さすが異世界
押されて入った中は異様な空間だった。
円形に視界を遮るようにかけてある、ただの布の中。
なのに明るさが明らかにおかしかった。
眩しい程なのだ。
そして流れているオルゴールの音。
決して音が大きいわけでもないのに、うるさいほどに耳に響いている。
キンキン痛いのだ。
思わず耳を塞いでしまった。
そんな中で、サチェル夫婦が静かに座っていた。
「オルゴールを変えなさい」
パトロさんがそう言うと、アモルさんがオルゴールに手をかざす。
するとオルゴールの音が変わった。
全く同じメロディー。
なのに落ち着く。
「アモル、お嬢さんを任せていいかい?」
「ええ、もちろん」
そう言って、アモルさんは私の方へ近づいてきた。
「ようこそ、アルカデンヘ。
私は、教会に務めるアモル。
これからよろしくお願いしますね」
急に接し方が変わってびっくりした。
まるで私が意味をわかっているかのように...
あれ?もしかしてもう分かってるの!?
確かに神様が転生した子がわかるって言っていたけど....
何処に判断材料ありました!?
「ふふ、驚いているわね。
実はさっきの嫌な音のオルゴールで分かるのよ」
アモルさんは少しだけお話をしてくれた。
何故か分からないけど、転生者には先程のオルゴールは耳障りに聞こえること。
そして反射で耳を塞ぐ仕草をしてしまうことから判断出来ること。
そんなガバガバシステム...って思ったけど、外れたことはないらしい。さすが異世界。
そしてそのオルゴールは厳重に保管されていて、教会の認められた人しか使えないこと。
命名は男性しか出来ないこと。
その代わり女性は信託が聞けて、伝えるのも女性の仕事であること。