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鬱な人生のやり直し方(仮)  作者: くまのもり
7/10

始まる儀式

今流れているメロディーは力強く歩む様な勇ましい音なのにどこか落ち着く。

そんな不思議な音だった。

自然と瞼が重くなってくる。


「準備が整いました」

そう声がかかると、

「ありがとう。

では、参りましょうか」

サチェルおじいちゃんがそう言った。

両親が深呼吸をしたことで再び緊張感が走る。

それによって私も兄も目がすっかり覚めてしまった。

いよいよ何かが始まるようだ。

そして歩き出して着いた場所はお庭だった。

お庭にはおそらく家の使用人全員だろう。

メイドやコック、庭師、騎士など様々な格好の人が並んでいた。

その真ん中を少し歩き、大きく布がかかった部分で止まり、カゴのようなところで寝かされる。


サチェル夫婦が布の前で止まると辺りが静まった。

「此度の儀式を努めさせていただきますのは、

セントロ教会のパードレである私、

サチェル・パトロと」

「同じくセントロ教会のマードレであり、

パトロの妻のアモル。

この2人で行わせて頂きます」

「どうぞよろしくお願いいたします」

「よろしくお願いいたしますね」

誰かが息を飲む音が聞こえた気がした。

両親が不安そうな顔でサチェル夫婦を見つめていた。

使用人達も少し不安そうな顔をしていた。

先程から感じていた緊張感とは全く違う空気感。

何かがおかしいのだろうか?

「では、始めさせて頂きます。」

その空気感を感じているはずなのに、サチェル夫婦は何も言わなかった。

礼をして静かに微笑んで布の中に入っていった。


「お子様方をお預かり致します」

シスターのような人達がそっと近づいてきて、両親に声をかける。

「あ、あの...」

「ルナ、大丈夫だ。

やめなさい」

お母さんが不安げにシスターに声を掛けたが、お父さんが遮る。

そんなお父さんの言葉に、泣きそうな顔をするお母さん。

「お願い致します」

シスターに声を掛けたお父さんに対して、お母さんは頭を下げるだけだった。

そんなふたりのやり取りを見ていたシスターは、

「神のご信託に従っているだけでございます。

大丈夫ですよ」

と、声をかけて私達の寝ているベッドを押した。

どうやら乳母車の様な形になっているらしい。

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