スイートタイム ♪
意識が浮上していく。
目を開けると昨日とは違う天井。
昨日は星の絵だったけど、今日は花畑の絵だった。
天蓋は変わらず薄紫色。
そして隣に居た兄はいなかった。
ベッドを別々に分けたって感じかな?
「あら、おはよう。ご飯にしましょうね」
お母さん達がご飯を食べさせてくれるらしい。
え、ちょっと待って。
赤ちゃんのご飯って乳ですよね!?
飲むんですか!?
ちょっと24歳の私にはきついです!!
そう思って慌てていたら、飴玉みたいなのを口元に寄せられる。
なんですか...これ...。
どうしていいか分からずにいると、
「あら、アルト!この子はこっちじゃダメみたい」
「おぉ、そうかそうか」
そう言ってお父さんが何かをし始めた。
「お父様を待っていてね
私はお兄ちゃんの所に行ってくるわね」
頭を撫でながらそう言って、お母さんは離れていった。
しばらく経つと、お父さんが哺乳瓶を持ってきた。
そのまま抱きかかえられて口元に寄せられる。
金色の液体が入ったその哺乳瓶には何故か抵抗感はなかった。
飲んでみると少し甘い、でもさっぱりした味がする。
「おぉ、こっちの方が好きか!
お前は結構舌が肥えてるのだな」
そう言ってお父さんが嬉しそうに話してくれる。
「私も幼い頃はリーノが苦手でな。
でも、リーノを溶かしたものにミエーレを入れると何故か飲めたんだ」
よく分からないけど、確かにこれは美味しい。
凄いスピードで飲んでしまっている自覚がある。
「好みもアルトに似ているかもしれないわね」
「そうだな、もしかしたら酒を一緒に飲めるかもしれん」
「まだ気が早いですよ」
「そうか...」
お酒かー。
前の私は結構弱かったんだよね。
あとは苦味とか喉に来る感じが苦手で発泡酒しか飲めなかった。
「男の子の方はリーノもミエーレ入りも好きなようですよ」
「好き嫌いがないのもいい事だな」
「そうよね、大人になっても好き嫌いが激しいと大変だものね」
「.....」
あっ、お父さんは好き嫌いが多いらしい。
凄いお母さんにジト目で見られてる....。
そのまま話を続けるから、私はお父さんに抱かれて微睡んでいた。
すると、ドアを叩く音が聞こえ、
「若奥様、若旦那様、教会の方がお見えになりました」
と、声がかかった。
「おぉ!やっと来たか!待ちくたびれたぞ」
「行きましょうか」
そう言って私達を抱き抱えたまま、昨日のおばあちゃんメイドが開けてくれているドアから出た。