アルカデンと私
私はここなら幸せになれるのだろうか?
顔を合わせば喧嘩ばかりしていた自分の父と母。
いつもお互いを避けるようにして過ごしていた。
そしてただただ、父と母が喧嘩しないように、母を怒らせないように顔色を伺い続けた生活。
よくできた姉に、失敗作の自分。
褒めてもらいたいと奮闘し続けた日々。
思い出せば出すほど苦しくなっていく。
呼吸が上手くできないような気がして、涙が溢れてくる。
「あらあら、どうしたの?
大丈夫よ、お母様はここにいるわ」
「そうだぞ、父もここにいる。
大丈夫だ、安心しなさい」
そう言ってお母さんは私を抱き上げ、お父さんは私の頭を撫でる。
それでも感じていた不安感や苦痛、悲しさは無くならなくて。
泣き続ける中で気付いたのは、新しい両親に焦りとか驚きとかそういったものが一切ないこと。
しかも私にかかりっきりでもなく、ちゃんと兄の方も交代で面倒を見ている。
両親がいない時にも必ず複数人で面倒を見てくれる。
その日結局私は泣き疲れて寝た。
そうして転生1日目が終わった。
"アルカデンではね、子供は宝なの。
太陽であり希望。
だから成人と呼ばれる15歳までは特に大切にする。
そして成人してからも親は子を尊重し、愛し続けるのよ"
その言葉を女神様(呼び方が分からないのでそう呼んでおく)から聞いた時、あまり分からなかった。
だって私の過ごしていたところでも、子供を大切にする人はいたから。
でも、私のように親と親の関係性に悩んだりしている子もいたし、過度に愛されすぎて悩む子もいた。
そして全く愛されない子もいた。
結局、"愛"とか"大切"とかって受け取り手によって変わるもの。
私も母に愛されていたと思う。
ただ、私は期待に答えられなかっただけ。
そして母も教育という未知の世界に悩んで居たんだろうなと思う。
だから厳しくした。
私が悪いのだ。
母の期待にすら応えることもできない私が。