アルカデン
「とりあえずアルカデンでいいよな?」
「そうね...希望が聞けないのは申し訳ないけど、この子にはそこがいいと思うわ」
「だな」
話せず見つめることしか出来ない私を他所にさっさと色々決め始める2人。
聞いた話によると、場所はアルカデンという所らしい。生まれはちょっといい所?の伯爵家で、両親と兄が1人いる。
性別は女、年齢は0歳スタート。
やっぱり0歳かー、まぁそうだよね。
っていうか転生しないという選択肢はなしですか?
なんかもういいや、この2人綺麗だなぁ...
拝めて眼福です!!
なんて現実逃避してたら、
「自害はどうする?」
というどえらいワードが出た。
「そうねぇ...
本当は死に関わることは寿命でもない限り祝福で無効にするんだけどね....」
「こいつは転生すら望んで無さそうだ」
「そうね、そう思うと少し酷よね」
「...」
いや、そんな見つめないでよ。
まぁ実際に転生すら嫌なくらいだし、考えてくれるのは有難いけどね?
でも見つめられても答えられないから!!
「仕方ない、自害はあれを使おう。他は祝福でいいんじゃないか?」
「あれ?あぁ、そうね、それが一番いいかしら」
「説明は任せた、準備してくる」
「もう!そうやってすぐに押し付けるんだから!」
「適材適所だ」
そう言って男性はどこかへ消えた。
凄いよね、出ていくとかじゃないの。
透けるように消えるの。
幽霊かよ!って思ったわ。
「ごめんなさいね、少しだけ説明させてね」
そう言って女性の方が私を抱き上げた。
なぜだか彼女の腕の中はすごく安心する場所で、温かくて涙が出そうになる。
「大丈夫よ。貴方が長年苦しんだのは分かってるわ。
そして生きる尊さが分からないというのも」
ゆっくりと子守唄を歌うかのように彼女は話す。
今まで言われたことがある言葉なのに、その度に感じていた嫌悪感は全くなく、ただただ受け入れられている気がした。
「貴方はね。これからアルカデンっていう国に行くの。新しい命としてね。」
彼女が話してくれたのは主に、
アルカデンには私と同じように死を望んだことのある者が転生してること。
そしてその国では転生者として産まれた子がわかるシステムがあること。
子は宝であり、財産であるため国全体で守り、支援していること。
転生者はたまに新たな文化を産むこともあり、特に大切に育てられること。
「そして最後に大切なことよ。」
私の背を叩きながらあやすように揺らしていた彼女が動きを止めて、真っ直ぐに見つめてきた。
「この国には"祝福の涙"という薬があるわ。
それは眠るように死を迎えることが出来る薬よ。」
彼女はそれ以上は何も言わなかった。
私も言われなくても分かった。
要するに安楽死のような最後を迎えることの出来る薬なのだろう。
そして望むならそれを使ってもいい。
現実世界で何度も失敗していることも知っているのだろう。
だからできる限り恐怖のない、そんな方法があるのだと思う。
「そろそろ時間ね」
そう言って彼女はそっと私を元の場所に戻した。
知らぬ間に男性もそばに居た。
そして私のお腹に手を置いて言った。
「何もしなくてもいい。
新しいものを生む必要も無い。
ただ、望むままにしろ」
段々眩しくなってくる。
もう目を開けていられない。
こうして私の新たな人生が始まった。
読んで頂きありがとうございます。
ただ、こんな世界があったらいいなーなんて思って書き始めました。
理想を詰め込んでいます笑
ダラダラと書いていきますので、よろしくお願い致します。