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第1話 山賊は中肉中背でもできるらしい。

目の前には、美しいピンク色に染まった花が風に吹かれ舞い散っている。

足元を見るとピンクの絨毯。踏むことに躊躇いがある。

ぽつぽつ。

レギトの歩くところだけ雨が降る。小さな水滴が降る。

彼の体は左右に少しだけ揺れているように見え、顔も少し赤く、目の前に落ちている花のようだ。



「綺麗だなぁ。そうかもうすぐ春か。」


春の風物詩、グレーズクサラ。一説によると科学創生の賢者が魔力を注ぎ込み、普通の木々が変化した。とも言われている。そしてそれを裏付けるように、科学創生で調べてわかった作り方は、魔力を注ぎ込む事だし、この木は魔法耐性がとても高く、弱点の全魔法を最低でも一発は耐えることができる。

更にこの木は目立つので、街道の道を示すのにも使われたりしている。

つまり、この木が見つかったということはグルシア王国(別名:ストレイシティ)・王都センルへの街道が近くにあると言う事だ。

センルは俺の生まれ故郷であり、あまりいい思い出もない。

だが、グルシア王国の中で学校は一つ。魔武闘凱流(カイリュウ)という流派の学校。個人的には関わりたくない場所トップ3みたいな場所だ。なにせ、実力主義と謳っておきながら入ってみればゴリゴリの貴族主義。雑魚の貴族どもが我が物顔で校内を闊歩しており、俺ら平民は入れただけありがたい。そして、入ってみれば貴族の機嫌取り。

お貴族様は金とコネを駆使して、無理やり入学している者も多くはないと噂を聞くことは多くある。

要するに、学校側は金に飢えまくっているというわけだ。

...と、ざっと考えるだけでこんなにも入りたくない理由がある。


「まぁ、仕方ないよな......。師匠の望みだし。」


あまり気は進まないが、進むしかない。

まぁ入学試験だけは一応実力でも入れるらしいし。そこから退学になったら、駄目でしたーって師匠に言って納得してもらうしかないし。



「きゃあァァァァァァ!!!!」


綺麗な薄紅色の森の中に甲高い声が響き渡る。


「右方向。500mぐらい先かな?」


これも修行の一環で覚えた能力の一つだ。

俺は耳が良かったらしく、耳を鍛えることである程度の距離と場所が分かるようにはなっていた。 

ここの森は木々が生い茂っているため目視では確認できない。

だが間違ってはいないだろう。

流石に合成魔法の転移を使って行くのは目立ちすぎるかな?

まぁ大人しく身体能力だけで行きますか。


レギト・ヴィヴァントの身体能力は100m3秒であり、身体強化魔法を付与すると0.5秒まで縮める事ができ、現在では既にグレーズ・マティアの身体能力は超えている。ステータスをカンストさせると後は、男か女という身体の元々の性能差が関わってくる。なので、男が女よりも遅いのは生まれた瞬間から決められたことである。


フッッ 


ちょっと生死が関わってそうな事柄だから急いでみる。




目の前には壊れた馬車のみ。

不自然な程に何もない。まるで隠されてるみたいに。


ヒュッン


何も無い所からナイフの斬撃音が聞こえた。


「もうバレてるから出てきたら?盗賊さん。」


見えない。となると......

気配遮断と身体不察知の二つの上級魔法を使わないと、こんなことは出来ない。

だがそこら辺にいる、雑魚盗賊が上級魔法を使えるとも思えない。

なら答えは一つのみ。


魔法道具(マジックツール)さっさと取りなって。もうバレてるから。」


マジックツール

膨大な魔力を道具に注ぎ込む事で作成可能。

どんなマジックツールができるかは、できてからのお楽しみ。

魔力は1種類の魔力でないとダメ。2人がかりで作る、つまり2種類の魔力が入ってしまうと、必ず最後の道具生成の時に破滅する。

死ぬほど大きい魔力を注ぎ込んだからといって、必ず良いものができるとは限らない。その逆も然り。


「なぜバレた。なぜわかった。これは正真正銘の隠密マントだぞ!?」


逆になんでそれだけでバレないとでも思ったかね。

この隠密マントというのは、確かに被っている者達を見えなくする。つまり不可視状態にさせるが、魔力などは隠せない。そして、空気中の魔力に違和感が生じる。まるでそこだけポッカリ人型にあいているような。

確かに戦闘と魔力感知の両方をこなすのは難しいがそれは強敵にのみ適応される。

こんな雑魚なんか適応対象外だ。


「いや、魔力魔力。」

「クソッ、バレたんじゃしょうがねぇ。」


お、やっと現れた。

マントの中身は中肉中背の小太りのおっさんだ。

隠密マントがあるからって、お前そんな体型で大丈夫なん?ちょっと本気で心配になる。


「オッリャァァァ──────────────」


スパンッ


多分山賊の首が飛ぶ。

初級風魔法、旋風。初級魔法でも結構な魔力を込めれば案外使える。

あと、首を切った後返り血が服についたりして汚くなるのもヤダしね。


「さて、大丈夫かい?お嬢さん。」


馬車の下。隠密マントを被せられている多分女性を助ける。


「んんっーーーんんんっーー」


煌びやかな橙色のドレスを身に纏っている。口、手足はヒモで結ばれ苦しそうにしている。


「はいはい、今助けますよーっと。」


スパン

スパン


これもまた旋風。初級魔法は初級と謳うだけあってコントロールがしやすく、動かしやすい。


「プハッ。はぁはぁ。」


Oh.これは結構な美人。

綺麗なドレスは土に塗れているが、小さなドレスでは包みきれないその双丘。

綺麗な青髪。綺麗な顔。あれ、これどっかで見たことだあるような...


あ!そうだ!この人確か─────


「私はグルシア王国第2皇女。クラ・へクラシスと申します。今回は助けていただき誠にありがとうございます。謝礼につきましては、宮殿に戻った際に何なりと言ってください。」


まるで用意されていたテンプレートのように流暢に話し始める皇女様。

泣き言は一つも言わない。すごいと言えばすごいのかな?でも年相応じゃないっていうか...我慢してるっていうか...

違和感しかない。年も俺と変わらず14〜16歳ぐらいだろう。


「あ、はい。わかりました...。」


で、この人放置していいのかな?皇女って言ってたし放置はまずいかな?いやーでも届けるのめんどくさそうだしなぁ。


「えっとー、一応お聞きするんですけど、無事に宮殿まで帰れますか?」


これで無かったら、絶対自分が連れて帰してあげないといけないじゃん。やべ、ミスった。


「え、あ。帰る手段ですか?大丈夫ですよ。緊急用の転移できる物もあるので。」


ああ、良かった。




─────────────



隠密マント

効果:被っている者の気配を遮断。そして身体に不察知の効果を付与する。


2日に一本ぐらい上げる予定です

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[気になる点] 名前レオスなのかレギトなのかどっちなんだこれ……
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