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6. 魔法という物理現象

週一のアップというペースを目指してましたが、このところ仕事が詰まってきてて遅くなりました。

6. 魔法という物理現象


着替え終わったルシルがこちらを向いて、


「ユキオー、来るなら前もって言っておいてよ〜、それに今日は人数が多いね」


窓が大きくなったので、透き通るようなピンクがかった白い肌に、エルフ特有の露出の多い衣装をまとったルシルの全身が窓から見えた。


「新しい仲間だよ」

「キラリに、マイに、ガイト」


ユキオがそうやって紹介すると、3人はそれぞれルシルに対して、それぞれの衣装に合わせたエルフ風の挨拶をした。

エルフ風の挨拶とは、女子ならば上にまとった薄いローブ状の布の腰の部分を後ろに束ねて会釈をするのだが、今は着ていないので、左手を後ろに束ねたように回して、右手の甲を見せるように手を腰の辺りにかざして会釈する挨拶で、男子の場合は、やや腰を折って左手を後ろに回し、右手は同じように甲を見せて胸の前にかかげ、軽く会釈する挨拶だった。

3人のその姿がまるで自分達にそっくりなのにルシルが気がついて、


「ひょっとして、3人ともみんな異世界人の末裔なの?」


とルシルがなんとなく聞くと、


「そんな訳ないよね。」


と、自分で自分に納得させるようにルシルはつぶやいた。


「3人ともラノベが好きで、コスプレもしてるんだよ。今日は、新しいコスプレの衣装合わせがあったから、そのまま来ちゃった。」


とキラリが説明した。


「ルシル、私の衣装も見てよ!可愛いでしょう?」


カガリがルシルに向かって、衣装をアピールするようにフワッと1回転して見せると、ルシルが、


「カガリまで、本当に僕らの仲間みたいだね!」


と驚いたように言った。


ユキオはというと、手が通り抜けられない理由をずっと考えていて皆が挨拶をしている間も上の空で何か考えていて、その様子にルシルが気がつくと、


「ユキオどうしたの?また何か考え事?それとも、僕の着替え姿見て、何か考えちゃった?」


と、ニヤリと笑みを浮かべ、悪戯っぽくユキオに声をかけた。


「今度は見るだけでなく、そちらの世界に通り抜けられないかと大きめの窓を作ったのだけど、何か壁のようなものにぶつかってしまってね。何が違うのだろうって、ずっと考えていたんだ。」


ユキオは、今思ってた事をルシルに伝えた。

ルシルのいわゆるセクシーな衣装な衣装に着替える様子は気になっていたが、先にカガリのセクシーなエルフ衣装を見ていたので免疫が出来てたのだろうか、若干顔を赤らめながらも無反応な感じで応えたのを見て、ルシルがちょっと残念そうに淡々と、


「あぁ、それね。ちょっと待ってて、シエルに聞いてみるから。」


と言いながら、手を斜め上でサッと振ると、そこに電話のようなものが現れて何やらモゴモゴと通話しはじめた。


「ユキオ、双方で行き来するには、追加魔法がいるみたいだよ。そっちの世界で言うところのダークほにゃららの波長が違うから、お互いに触れようとすると弾いちゃうんだって。なんで、周波数変換器みたいなのを使うか、保護服みたいなのを使って干渉を和らげるんだって」


「それと、結構魔力を使うから、この間伝えた方程式に与えるエネルギーを増幅する結晶体がいるみたいだよ。シエルが持ってきてくれるって」


「なるほどそういう事だったのか」


ユキオは頭の中で方程式を展開しながら、周波数変換の意味と、増幅装置というものを妄想していた。

しばらくすると、シエルが何やら綺麗な宝石のようなものが入った袋を持って、どこからともなく現れた。


「ユキオ、こんなに大きい窓を展開できるようになって、だいぶ理解が進んだようだね。そっちの世界の法則とこっちの世界の法則は同じなのだけど、エネルギー密度が異なってて実現させるための方法が違うみたいなんだよね。エネルギー循環式も違うみたいだし」


ルシルは、持ってきた袋の中身をガサガサと探りながら、一つの宝石のような石を取り出して説明をはじめた。その石は水晶のように透き通るような中に淡い水色というか、何やらうごめくモヤのような雲のようなかげりが中に見えて、なんとも言えず神秘的な様相を見せていた。

その石を手に取って、何やら呪文のようなものをシエルが唱えると、そこから束になった光が次元窓の方に向けられ道のようなものを作った。その出来た道に、さらに袋から取り出した別の石をルシルが放り込むと、それが道に流れてこっちの世界にやってきた。


「ユキオ、これを使えるようにエネルギー変換式とそのパラメータを考えてみて。これは、一種の思念波増幅装置で、思念波を受け取って増幅する結晶体なんだ。エネルギー源は、この結晶の高次元部分から供給されるので、エネルギーの濃い所なら一定の時間ほぼ問題なく使えるよ。そっちの世界で言う所のダークエネルギーを取り出してダークマターや物質のエネルギー変換をするために使うものだよ。こっちの世界では、魔法結晶という言い方してるけどね」


ユキオは送られてきたその石を手に取ってみて、繁々と眺めながらシエルの説明を聞いていた。その石からは何となくピリピリとするような刺激が手に感じられて、ユキオの手の平から何かを注ぎ込もうとしているようだった。


「使えるようにって言ったけど、具体的にどうしたらいいんだい?シエル」


「それは、この世界の元になっているラノベを読めば分かるよ。そこに石を使って魔法を実践している場面があるから、それをそちらの世界で実践できるように変換すればいいだけだし。その石を使いこなせるようになったら、そっちの現実世界でも魔法を使えるようになると思うよ」


何やらよく分からない事をルシルは言っているとは思いながらも、ユキオは使いこなすためのその糸口を探ろうとしていた。


その横では、ルシルとカガリ、それにキラリ、マイ、ガイトも加わって、お互いの衣装、いやエルフっぷりを見せ合いながら、モデルが衣装を見せるようにクルッと回ってみたり、何やら流行りのダンスを踊って見せたりして楽しんでいた。

それにしても、キラリたちのコスプレはよく出来ていた。ルシルが着ているものにそっくりだし、雰囲気もよく出せていた。まあ、よく考えてみたら、異世界の元になったのはこっちの現実世界の物語だし、考えている事も近いのだろうなぁと思っていた。


次元窓を開けてからもう数時間が立って、窓枠の輝きが少し減ってきていた。そろそろ、お開きかなとユキオが皆んなに、


「そろそろ次元窓のエネルギーが切れるから、終わりにしようぜ」


と声をかけると皆がお別れの挨拶をして、最後にシエルから、


「こっちで言う魔法は、そっちで言うダークエネルギーやダークマターによる物理現象だから、使い方さえ理解できれば、そっちでも魔法が使えるようになるよ。それを狙っている悪い輩もいるから、しばらくはこっそりと実験しておいた方がいいよ」


と、ユキオに告げたところで、次元窓が閉じた。



この後の章からは、魔法の理論構築は少し落ち着かせて、冒険物語をどんどん展開させていきますので、ご期待ください。ユキオの祖先や、異世界にまつわるパラレルワールド、現実世界での魔法構築を狙う組織との対立も展開予定です。コメントもお待ちしております。

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