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第十七話 『PAST NINE。真実。』

時々、知りたくない事がある。




第十七話 『PAST NINE。真実。』




「愛香!」


神様の叫びにストロークが上を向いた。空までジャンプしたアリエナイカゲがストロークを狙い落とした。だが、素早く動くストロークをなぎ倒すことは出来なかった。


「まだまだよ!」


今度はストロークがジャンプした。枝を捕まえたストロークはそのままくるっと回って枝の上に着地した。そのランディングはとても素晴らしくて、神様はストロークからとても目を離さなかった。


「貴方の所為で何人が傷付いたと思う!」


腕組みして、相手を睨む。凛とした姿は心にカゲをつくらない、カゲを知らない。理解する必要はない。だからこそ、相手を簡単に倒せる。


「お覚悟は、よろしいよね?」


ストロークが空から舞い降りる。一輪の花のよう、気高く、尊く、麗しく。カゲを踏み躙った靴はマーシーレス。一点の戸惑いもなかった。


「マジプロ!ストローク・アット・ワンス!」


フィニッシュをきめたストロークは後ろ振り向かず前に進む。そのたび、カゲが散り急ぐ。町から逃げ出すカゲさえ、ストロークは逃がさない。ストロークの動きに次々カゲが消えていく。


ストロークは歩き続けた。この町を、地球を守りたくて。どきどきする景色が愛しくて、鼓動が止まらなくて。そのためには、カゲを倒すべきの敵である。


「今日はこれぐらいしておくか。」

「お疲れ、愛香!」


町に戻ったストロークは変身を解いた。愛香の髪から金色が消え、元の黒が宿る。長い髪が風にゆらゆら揺れる。


日本人は、ハーフではない以上、皆、黒の髪と瞳を持ち生まれる。何を混ぜても染まらない夜空の色を、神様はどれだけ愛したか。


カゲを易く倒す愛香は神様に戦略的に必要な存在だった。だがそれ以上、神様にとって愛香は大事な人であった。


「なあ、愛香。」

「なに?」

「愛香はどう思ってるのか知りたくて、その、け、けっ、結婚を…。」


神様が愛香をちらっと見た。でも、愛香は向こうから走ってくるちっちゃな女の子に気を取られていた。


「平さん、こんにちは!」

「あら、鈴ちゃん、こんにちは。」


長い戦いで冷たくなった愛香の心が優しく溶けた。もし、友が、家族がいなかったら、愛香はそのまま固く凍り付けたかも知れない。


「いつも愛音と仲よくしてくれてありがとう、鈴ちゃん。」

「こっちこそ、何時もお世話になっています。」


頭を下げる鈴を見ただけで、いつの間にか大人になって行く妹を思い出して、愛香は侘しくなった。


最近、愛音は愛香に頼れずに一人で人生という一を進んでいた。一歩ずつ歩む愛音が偉くて、けど、ちょっとは寂しくて。何故か泣きたい気持になってしまう。


「今、帰り道?」

「はい。お父さんのお待ちです。」

「もう一人前だね、鈴ちゃん。」

「そんな、まだまだです!平さんに比べたら、私なんか…。」

「だれかと比べる必要はないわ。鈴ちゃんは鈴ちゃんらしく生きればいい。」

「私、らしく?」

「そう、自分らしく。」


二人は神様とは別の世界にいた。それが悔しくて、神様は文句を言い出してしまった。


「嘘つき。」

「神君?」

「僕は僕らしく愛香のハートに挑んでいるけど、全然愛香は僕の物になれないし。」

「ちょ、神君!」

「愛香の言葉じゃ果たせない何かがいる。それを満たすため僕、頑張るから!」


愛香の顔が真っ赤になった。神様と愛香を見ていた鈴は首を傾げた。


「お二人は本当に恋人ですか?」

「違うわ!」

「まあ、お熱い仲かな。」

「もう、嘘は止めて。誤解されちゃうよ?」

「構わない。いつか愛香は僕の女神になるから!」

「ならないわ、絶対。」


やっと愛かは怪しい気配に気ずいた。何かを思い、唇を尖らせていた愛香は後ろの神様に問いただした。


「そう言えば最近、変な噂を聞いたわ。」

「う、噂って?」

「私と神君が恋人だという、とんでもない噂だわ。」

「まあ、良いじゃない、そんなこと。」

「いいではありません!この私、平愛香が真実を明して見せる!」

「い、いや、そこまでは…。」

「行こう、真実を探しに!」

「ま、待って、愛香!」


学校に向かって走る愛香の後ろを神様が急いで追い掛ける。その姿を鈴は驚いたまま、呆然と見る。


「噂、か?」


委員長がこくりと頷いた。世界線に閉じ込められた彼女を愛香が救い出した以来、委員長は愛香の一番の友になっていた。


「困ったね。私だってあの噂、信じていたから。」

「い、委員長も聞いたことあるの?」

「この町の人なら誰だって聞いたことあると思う。」

「嘘でしょう。」


机の上、愛香が崩れた。でも心だけは折れていない。弾力性のある見たいに、愛香はすぐ立ち上がった。


「仕方無いわ。」

「そうだ、愛香。噂も撒き散らされたし、もう結婚しか…。」

「直接絵解きするわ!」

「え?」

「一体、誰がそんな噂を立てたか、目的はなんなのか、確かめないと!」

「あ、愛香、待って!」


随分怒っていた愛香は息を急かしながら町を歩きまわった。そんな愛香を神様が追い掛けた。美人である愛香とその側を守る地球の神様。二人は存在だけで人達の視線を吸い寄せた。


「さすが会長、美しい!」

「息子の嫁になって欲しいな。」

「でも、愛香は神様の嫁なんでしょう?」


耳を澄まして人々の話を聞いていた愛香にその声が届いた。愛香はくるっと回って、その音の元へ。愛香の褒め言葉を並んでいたおばさん達が驚いて愛香を見た。


「失礼いたします。どうかその噂のこと、詳しく教えてくれませんか?」


愛香は怒らなかった。犯人を知らない今、人々を敵に回す必要はなかった。だから優しく微笑みながら、でも誰よりも勇ましく手を伸ばした。その姿は、そう、まるで王子と入れ替わった女の子。そんな愛香に、男も女も、一目惚れするしかなかった。


「愛香の頼みなら、なんでも何度でも教えてあげるわ!」


自分も知らないうちに、おばさんは愛香の手を取った。おばさんの目は天の川のように煌めいていた。


「その噂、誰かにお聞きなさったでしょうか?」

「肉屋よ!肉屋のおじさんよ!」

「そうですか?どうも、ありがとうございます!」


愛香はきらきら光放ち、ぱっと笑った。その目映い姿はどれほど眩しかったか。側にいた皆が頬を赤く染めた。


「失礼します。お聞きしたい事がありますが。」


愛香の笑顔は輝いてたから、肉屋さんは愛香の本音を推知することが出来なかった。


「ああ、あの噂か!」

「はい。何方からお聞きなさいました?」


その答えを聞いた愛香はもう笑うことが出来なかった。顔の上、感情を固まって、また何処かへ急ぐしかなかった。


「みなみお婆さん!」


愛香は扉を開き、中へ向かった。そこでは、長老であるみなみがお茶を入れていた。


「おや、愛香じゃ。」

「酷いですよ、みなみお婆さん。そんな噂ばらまいて!」

「噂?なんの事かい?」

「なあ、愛香もう止めよう。愛香には笑顔が似合う。」


神様は一所懸命愛香を止めた。だが、愛香はみなみの前に向かって、腰を下ろした。


「話したでしょう、私が女神になるって!」

「おや、違ったかい?」

「違うわ!一体どうしてそんな噂を…。」

「神様からお話なさったことだから、本当だと思っただけだが。」

「え。」


愛香が神様を振り向いた。神様は目をそらし、ぎこちなく笑っていた。


「かぁみぃくぅん!」


そんな結論であった。


「もう、どうして最初から教えてくれなかったの?」

「仕方無かった。だって、愛香は人気者だし、この前みたいに変なやつに近づいて欲しくないから。」

「私の体は私が守るんだから、神君は構わないで!」

二人が喧嘩をする、いや、一方的に怒られる姿を見ながら、みなみはそっとわらった。嘗ての思い出が蘇って、今だって見えるように面影に立った。


何十年前の神様は人間に構わなかった。自己中心的で、自分の命だけ心配していた。今よりちょっぴり幼い、いや、大部同じ年の彼は、そうだった。


(やっと人を信じらせる事ができて、嬉しかったじゃ。)


神様は、みなみの初恋であった。ただのちびのはずなのに、忘れられなくて、何十年を一人で生きていた。


(良かったじゃない、愛香みたいな強い子が見方になって。)


愛香と神様の一方的な喧嘩を見ていたみなみが、静かにお茶を飲んだ。愛香の尻尾のように、神様は愛香を追い掛けた。


「私帰る!」

「待ってくれ、愛香!」


外へ出た二人が始めて見たのは、泣きながら父を探している鈴だった。愛香は驚いて、鈴に近づいた。


「鈴ちゃん、どうしたの。」

「パパが、パパがぁ…!」


愛香は鈴が指さす場所を見た。そこは町の真ん中。大きなカゲが乱暴な行いをしていた。


「変身しなきゃ!」

「ちょ、愛香、待って!」


立ち止まった愛香に、神様は全力で叫んだ。


「あのひ、いや、カゲは僕がやっつけるから!」

「はあ?」

「危ないから愛香はこいつと一緒にいて欲しい!」


その言葉だけ残し、神様は町中にテレポートした。戦士である愛香を使わずに戦いに挑むなんて、呆れ果てる事であった。


「あの馬鹿!」


愛香は鈴をみなみに頼んで、変身アイテムを取り出した。変身を終えたストロークは空へ舞い上がった。


(神様、どうかあの子が傷付けないように…。)


鈴を慰めながら、みなみは心から祈った。どうか、辛い真実があっても、心折れずにまた立ち上がるように。何度も心から神様を呼んだ。


且つ、神様はカゲと戦っていた。力不足の神様に出来ることは少なかった。相手の攻撃を避けてカゲが自分の重さで倒れるようにしたり、素早く逃げて相手の腕を結んだり。でもカゲはすぐ元のペースに戻って、神様を握り締めた。


「くっ!」

「神君!」


その時、ストロークが空から舞い降りた。なんて美しいながら強く、鈍いながらも鋭い動きであろう。


「はあっ!」


ストロークのキックにカゲは倒れた。その透き間、ストロークは神様を助け出した。でも、何故か、神様はストロークを見て顔を顰めた。その理由を聞こうとした瞬間、砂ぼこりの中から呟きが聞こえてきた。人まで悲しくする、辛そうな声が。


「一人で子育てなんて無理だよ!」

「え。」


ストロークが煙の中を見た。そこでは、倒れたカゲがもがいていた。


「もう止めたい、妻に合いたい!」

「なん…。」


愛香は思い出した。母がなくなり、父と共に住んでいる鈴を。さっき、どうして鈴がないていたかを。


「真人、さん…?」


心が弱まった時、人はカゲになる。そして黒く染められた心を発散したら、あり得なく、強くなる。


「世界なんて消えてしまえ!」


アリエナイカゲがすごいスピードで飛び上がった。ストローク一人だったなら、きっと、その攻撃を打ち消す事が出来た。だが、ストロークの懐には神様が抱かされたまま。神様を救いながら攻撃を阻む事は出来なかった。


「神君、危ないっ!」


ストロークは身を竦めて、神様を救った。だが、背には当たった攻撃の跡が残った。ストロークが空から落ちて、地面に倒れた。


「愛香!」


神様がストロークを揺すぶった。でも、ストロークは動けなかった。


「このっ…!」


闇が強くなれる以上、優しさも強くなれる。守るべき人がいて、愛すべき場所がある。それだけで、どれほど強くなれるのか。


「愛香に手出すなぁ!」


神様から赤いオーラが出してきた。神様は相手にあっと言う間に近づいて、カゲを殴った。その衝撃でカゲは倒れた。


「葬ってやる…!」


神様は倒れたカゲに止めをさそうとしたが、出来ないまま手を落とした。後ろから、ストロークが神様の足首を掴んで、放さなかった。


「愛香?」

「止めなさい。」

「でもあいつは…!」

「鈴のお父さんでしょう!」


違う、といって欲しかった。だが、返事はなかった。ストロークは辛そうな顔をした。頬を伝う涙が一粒、真珠のように転ぶ。でもすぐ、地面に吸い取られてしまう。一体、どれだけの罪を重ねてきたか。


「カゲが、人であったら、今までの私の出来事は…!」


数多い人々が突然なくなったりすることは聞いていた。その人々が消えた分、カゲが多くなる事に気付くべきだった。なのに、いままで何も疑わずに戦ってきた自分は、どれだけ愚かな人であろう。


「そうするしかなかったよ、愛香は。」

「神、君…?」

「今まで愛香は戦士として育たれ、戦士として生きてきた。町を救うために、戦ってきた。」

「でも!」


ストロークが自分の手の平を見た。何故か、手が赤く見えた。まるで、血に満ち溢れるように、真っ赤な色。


「どうして、皆私を騙して…。」


ストロークは町の人々を思った。優しい笑顔を思い出した。覚えてる記憶が、全て、嘘に塗り替えられてゆく。


「そう、騙されたんだ。」

「え?」

「皆、愛香に真実を教えてくれなかった。」

「どうして…!」

「愛香に傷付いて欲しくないから。」

「嘘!私を思い通り、容易く利用するためだったじゃない!それって、それって!」


皆に騙された。皆が知っていた事を、ただ一人だけしらなかった。心から、この町から苛められてる気がした。


「辛すぎるよ…。」

「愛香。愛香はカゲを倒した。でも、それほど多くの人をカゲから救い出した。それは愛香にしか、出来ないことだ。」

「私にしか、出来ないこと…?」

「そう。カゲになった人は取り戻せない。なら、残った人だけでも守るべきだろう。愛香にもあるよな?守りたい者。」

「守るべき…。守りたい者…。」


ストロークは思い出した。神様が問いかけた一つの質問:じゃその人だけを連れて逃げればいいじゃん?お前十分強いんじゃない?


「私だけ出来る…。」


あの時、ストロークは心から答えた。信じてくれる皆が好き。守りたい者は、そう、一人でも、二人でもない。この町の、皆である。


「私がやるべきの事!」

「さあ、立て!」


神様が愛香に手を出した。ストロークはその手を取った。自分しか出来ない使命を果たすため。割れる心を取り締まって。


「マジプロ…!」


泣いている鈴が思い出した。この攻撃が決まったら、きっと、一人ぼっちになってしまう。大きくなって、真実をしったら、きっと、ストロークを恨むかもしれない。でも、恨まれる人は一人で十分だ。これ以上、被害を出さないため、愛香は滲む視線を抜いて、前を見る。敵を見る。


「ストローク・アット・ワンス…!」


カゲは悲鳴をあげた。最後まで、自分の命を可愛がるだけ、娘の事は一言もしなかった。その姿を見て、愛香は食いしばった。『あれ』は真人ではない、化け物だけだと。


「神君。」


全てが終わった後にも、愛香は夕日だけ見ていた。目を逸さなかった。


「どうしたらもっとはやくカゲの源を、アンシンを倒せるの?」

「愛香。」


悔しかった。拳を握り締め、愛香は涙を抜いた。また明日、生き残った者は、生きて行くだろう。そうすべきだろう。それが、死んだ者への礼。死者に捧げる祈り。


「教えて、もっと強くなれる方法を!」

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