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第一話 『PAST ONE。神と少女。』

突然、大人になってしまった少女達に捧げる歌。




第一話 『PAST ONE。神と少女。』




月は冴えて風は晴れていた。誰かが暴れるには、いい天気だった。子供は死力を尽くして森の中を走っていた。だが、あとを追う影に足を取り捕まえて、子供は倒れた。


「うっ!」


影は一瞬掴んだ手を潤んだ。すると、子供は体をくねって逃げた。子供を追っていた影達は繋がって、重なって、どんどん大きくなり、ついに子供を飲み下そうとした。


「はあっ!」

「!」


突然現れた一人の中学生が、その前に立ち向かうまえには。少女はただの少女、つまり何の力も持っていなかった。でも少女は勇気をしり、空手をしり、弱いものを守ろうとする優しい心の持ち主であった。


「どけぇ!」


少女が影の腰を蹴った。その力で影は赤土に転んだ。子供がぼうっと少女を見ていた時、少女は子供を抱いて逃げ出し始めた。後ろを追う影から少女は、稲妻のように飛びのいた。そして町の中にゴールインした時、少女はポケットから魔よけの札をだし、食いしばって二つに割って、それを町の入り口に飛ばした。


「くらえぇ!」


影は悲鳴もあげられず、その場から消え去った。それを見ていた少女は安堵の胸をなで下ろして、ゆっくりと子供をおろした。


「無事で良かった。あんた、うちの子ではなさそうだけど、どこかできたの?」

「…お前、馬鹿?」

「え?」

「俺が敵だったらどうするつもり?何も聞けずにただぶつかるなんて悪趣味だな。」

「あ、は、は。子供にしては口が悪いね。」


口を尖らせていた少女は、突然パッと笑って、手を差し伸べた。まるですべてを許し、すべてを抱く母のような笑顔だった。


「私、平愛香。よろしくね。」

「こんな状況で挨拶なんて…馬鹿馬鹿しい、お前たち人間はな!」

「お前たち?人間?」


愛香が瞬きをした。そのうち、子供は前に進んだ。どこか自由な道を進む冒険者のように、足跡には迷いがなかった。


「ねえ、どこ行くの?」

「この町で一番高きをさがすんだ!」

「それって、みなみお婆さんじゃない?ならばそっちじゃなくこっちに…。」


愛香が手まねをした。止まってしまった足跡が、すぐ戻ってきた。小さな足をはやく進ませる子供が可愛くて、愛香は自分知らずに優しく微笑んでいた。


「案内しろ。」

「え。」

「もう、はやく!」

「わかった。危ないから、ちゃんとついてきなさい。」

「子供扱いするんじゃね!」

「はい、はい。」


愛香は子供といっしょに丘の下に行った。二人は小さな建物に入った。その中、まるで待っていたとよう、婆が姿を現わした。愛香の瞳がキラキラ輝き始めた。


「みなみお婆さん!」


愛香はにこにこ笑いながら婆に抱きついた。漂う船が掴んだ碇縄のように、愛香は掴んだ手をはなさなかった。


「おや、愛香じゃない。」


巫女の服を着た婆が愛香の頭をなでなでした。彼女は似合わしく幸せそうで、いつも微笑みを浮かべていた。そんな彼女を、町の人たちは長老と呼んだ。


「ねえ、お婆さん、お客さんだよ!なまえは…。」

「おい、婆。話があるんだ。」

「ちょっと!みなみ婆さんにまで呼び捨てなんて…!」

「やめなさい、愛香。あの方は儂より高いぞ。」

「ええ?」


愛香は驚いて子供をみた。子供は鼻を鳴らして部屋に入った。そのあとを追って、部屋に入ろうとしていた愛香の方をみなみが掴んで、振り向かせた。


「夜がおそくなったんじゃ。もうおうちにかえるんじゃ。」

「な、なんでよ?私も話聞きたい!」

「愛香。」

「もう…。わかりました。じゃ、また明日!」


愛香が確かに家までちゃんと戻った事を確認した後、みなみは部屋に入った。しわばんだ手が珠簾に揺れた。お茶を飲んでいた子供は本の少しの音にも目を鋭くした。


「ここにはなんの脅威もありません。ご安心してください。」


子供はその言葉にやっと茶碗の中を見た。緑色のお茶に子供の顔が映した。子は若い顔をしていたが、老人の表情を浮かべていた。


「神様。天下りいただいて…。」

「退屈な話は遠慮する。ところであの女、強いね。いったい何者だ?」

「貴方と名前のつけられないものとの戦いが続けるうち、地球は大変になりました。影の攻撃は強くなっています。影から身を守るため、儂等は一年一度、一人の女の子を町の戦士として選び、彼女らに町を守る役目を与えています。」

「はあ?だから、あれ、ただの人間だって?」

「あれではなく、愛香です。」

「どうでもいいじゃん!」

「神様。」

「とにかく、利用出来るものは全部利用してもらう。だって俺がお前らをつくったもん。」

「…わかりました。」


みなみはそれ以上文句を言わなかった。ただ、神様のための毛布と布団を準備した…。



山は朝の太陽を吹き出した。空をキラキラ照らす太陽を見ながら、愛香は家を出た。


「行ってきま-す!」

「行ってらっしゃい!姉ちゃん!」


愛香の可愛い妹、愛音がバイバイと手を振った。愛香は友だちと出会って、お喋りながら学校へ行った。英語の時間。先生の話に愛香は耳を傾けた。


「なので、『un』がついたら、反対の意味になります。たとえば『unhappy』や『un

fortunate』などがあります。」


ノートを開いてまじめに頑張ってとる愛香は、優等生であった。スポーツ万能。学校の会長。銀河の町の何でも屋さん。人たちは愛香をそうよんだ。


「ねえ、愛香。今日も戦士の役目で忙しい?」

「うん、お客さんがきたんだ。」

「そんな!一緒にショッピングしたかったのに!」

「一緒に遊ぼう、会長!」

「ごめん、ごめん、この後、時間が空いたらすぐ走っていくから!」


皆惜しい顔していたが、愛香の希望与える言葉にすぐ笑顔を取り戻した。皆それほど愛香の言葉を信じていた。


「ねえ、ねえ、このあとどこいくの?」

「みなみ婆さんのおうちに!」

「いいな、いいな!長老さまのおうちに行き来できるなんて!」

「それほど愛香は特別なんだ。」

「まあ、そんなこと言わないで。」


影との戦いでつかれた愛香に、友達との昼休みはオアシスみたいな物であった。笑ったりお喋りして愛香はストレスを発散していたかも知れなかった。


「ねえ、婆ちゃん!あの子は?」


放課後、愛香はそのままみなみの家に。だが、お茶を飲んでいた神様はご機嫌斜めだった。なぜか愛香のにこにこを見たら、胸糞が悪くなった神様であった。それ知れずに、愛香は喜ばしく声をかけたのだ。


「子供じゃない!俺は神だ!」

「かみ君か!改めて、お会いできて嬉しい!」

「かみ君じゃない!ううっ、やっぱうんざりだ、おまえ!待つべきではなかった!」


神様がいきなり立ち上がった。そしては家の外に足を踏み出した。家出する子供のように、その足跡には癪があった。


「え?どこいくの?」

「俺、一人で、かえる!」

「待って。危ないよ!もう、婆さん!どうして止めないの?」


みなみはただ笑うだけ、なにも言わなかった。彼女はなぜか六人分のご飯を作っていて、それに夢中になっていた。


「仕方ない。私が追い掛けなきゃ。」


靴紐を結び直した愛かは神様の後を追った。だがなぜか、二人の距離は狭まらなかった。


(ええ?どうして?私体育は特技なんですけど!)


おかしく思ったがそれだけ。まさか神様が実存するとは、そして自分の目の前にいるとは思わない愛香であった。


「あのね、怒った?私が怒らせたの?」

「…。」

「ごめん、私が悪かった。だから落ち着いて一緒に帰ろう。」

「お前本当馬鹿?なんでも誤ってすんだとおもう?まったくお前は…。」

「危ない!」


愛香が神様を抱えて赤土の上で二回転した。神様があった場所には黒い木の幹が刺されていた。神様を胸に抱いて、すばやく立ち上がった愛香は巨大な木の模様の影を見ながら、歯を食いしばった。


「でっかげだ!」

「でっかげ?」

「私がついた名前だわ。大きな影だからでっかげ!」

「…お前、ネーミングセンスないんだな。」


神様の言葉は無視して戦いは始めた。二人は格技のチャンピオンのようにぶつかりあった。愛香は拳を突き上げて自分に向かってまっすぐ飛んでくる枝の経路を変えた。


「はあっ!」


前に向って走り出した愛香は誰にも止められなかった。無数の木の枝の爆弾を愛香は体を向き直って避けていた。


進路を妨げる幹を足で飛ばした愛香は逸早く駆けつけて木の幹を登って木の頭頂を精一杯蹴った。


木の頭が揺れた。木の葉がはらはらと落ちた。愛香は宙返りを打って、神様の前に着地した。しかし、いつの間にか現に返った木が愛香のわき腹を筋に激しく打った。愛香はそのまま転んだ。神様はあわてて愛香を向けて駆け付けた。


「お前、馬鹿?戦わなきゃ気がすまない?人の事、見なかったふりしたらいいじゃない?俺はお前と何の関係もないじゃないか!」

「あなただけのためじゃない。このままでは、でっかげが町まで襲ってくる。私ね、この町に守りたい人達がいるんだ!」

「じゃその人だけを連れて逃げればいいじゃん?お前十分強いんじゃない?」

「ううん。誰一人でもない。皆がいるから私がいる。皆、私を信じてくれて、それがとても嬉しくて、私はその心に応えたい…!」


木が愛香を狙ってやってきた。神様はどうすればよいか戸惑いながら木と愛香を見た。


「愛香!」


その時だった。二人の少女が木の前を塞いだ。そして、それぞれ足けりや拳で木を後ろに押し出した。


「愛香、大丈夫?」

「銀河の町の戦士が危ないと聞いてすぐ走ってきました!」


彼女らは外の町の戦士であった。愛香と神様が町を逃れたと聞いて、すぐ飛んできた彼女らがりんりんと愛香の前に立って、手を差し伸べた。


「さあ、一緒に戦おう!」


愛香は両手に二人の手を繋いで立ち上がった。そしては、神様を振り向いて、パッと笑ってみた。


「ほら。町の外も、地球の中も、皆、仲間じゃん!」


三人は再び戦い始めた。拳を飛ばして、蹴倒して、前に障りなくすすんだ。汗を流すその姿さえキラキラして、神様は惑わされたように愛香を見ていた。


「強い、まじプロみたい!」


皆の地球への愛をもらった神様は、しようがない、そう見たいに笑った。神様の体から金色の光が溢れた。力が満ちてくるのを感じながら、神様は空を舞い上がった。


「え?飛べるの?」

「それだけではない、ほら!」


木の攻撃を、愛の色に光り出した神様は右手で塞ぎ止めた。金色のシールドを叩く木を笑いそうだ、と見た神様はすぐ木を宙に浮かべた。


「俺、地球の神の権能で、今日から彼方達をマジプロと呼び、この力を支える。」

「え…?」


いつか愛香達のてに持っているカードリーダーと一枚のカード。それを与えられた愛香と外の戦士達は、驚いた顔で神様を見た。


「彼方、本当に神様だったの…?」


神様は返事の代わり笑ってみた。その笑顔はウイルスのように伝染されて、いつのまに皆笑いを浮かべていた。


「さあ、そのカードを使って、マジプロになれ!愛香!」

「え?」


始めて神様が名前を呼んでくれた。信じられなくて、胸が満ちてきて、愛香は嬉しそうに笑った。


「うん!」


愛香はカードをカードリーダーに入れた。瞬間、奇跡が起った。


「マジプロ!時空超越!一瞬で敵を飛ばせ、ストローク・プロミネンス!」


生まれた金色のマジプロは、地球最初のマジプロ。彼女は自分の服を見て変な顔をしていた。


「なぁによ、これ!」

「どう?愛香を見て、感じたままデザインした服だよ。」

「フリルって嘘でしょ?こんなんじゃうまく戦えないっ!」


でも文句を言う時間はなかった。すぐ反撃してきた木を倒すため、ストロークは拳を打った。そしたら木があの遠くまで押し出された。


「すっごい…!」


信じられない強さに圧倒された木はぶるぶる体を振るえた。それを見逃さなかったストロークはすぐ舞い上がった。


「高っ…!」


空からの町はとても美しい眺めを見せていた。一人一人が頑張って、それぞれ力を合わせて生きていく姿がキラキラして、いつの間にか滲んでいた。


「愛香!とどめを!」


神様の声に目を覚ましたストロークは円を何度も描きながら空から地面に落ちた。木の真っ先に降りてきたストロークは、すぐ大きなボウリングボールを作って、それを転がした。


「マジプロ!ストローク・アット・ワンス!」


気配を入れて、願いを込めて、ストロークは、もしや、我が儘かも知れない名前を技につけた。願いは叶う物だって、本当に敵は一瞬、キラキラになって消えた。


「本当に一瞬で終わった…。」


信じられない顔して、ストローク達は神様を見上げた。


「彼方、本当に神様だったよね?」

「まあ、な。」

「信じてくれなくてごめん。これからちゃんと敬語使うから!」

「呼び捨てでいいよ。」

「うん?」


ストロークが首をかじけた。神様の顔がそっと赤くなっていた。頬は熟した林檎のようだ。だれの心が熟してるんだろうか。


「おや、皆立派な戦士になったんじゃない。」


いつ来たのか、みなみは愛香達の手をゆっくり結んだ。


「みなみ婆さん!どうしてここに?」

「それより、お腹減ってるんだろう?」

「え?」

「そう言えば…。」

「私達も…。」

「うちで一緒にご飯を食べよう。神様はどうしますか?」

「お、俺も行く!しばらくここに残ると決めたから。」


神様、ストローク、そして一緒に頑張った二人のとなりの町の戦士まで、みんなみなみのおうちに帰って、幸な時間を過ごした。


その笑顔だけ溢れた時、最初のマジプロの運命が悲劇に巻き込まれるとは、だれも思わなかった。

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