2話 グリンの森
「おい、ここまでだ。さっさと降りろ。」
俺は馬車の御者に投げ出された。
「ああ、ありがとう。ここからは自分でいける。」
「野垂れ死ぬのが尽きだがな。頑張れよ少年。」
ああいう、タイプのオッサン好きだわと思いつつ森の奥地へと入っていく。
ここからはマジで危険だ。冒険者になって何年もするが、今まで行っていたのは草原や洞窟だ。
そこに出るのはゴブリンやスライム、スケルトンなどやその上位種だ。しかし、この森にはその上位種の何倍もの力を持ったやつがたくさんいる。
そんなことをしているうちに囲まれていることに気づいた。赤い目に紺色の艶のある毛。
「レッドアイ!」それも3体だ。
赤目ブラックウルフ通称レッドアイ
ウルウの上位種だ。
弱点は炎魔法だったっけな。
「炎魔法 ファイアーアロー」
こいつが最初で良かった。
倒し方は至って簡単。ファイアーアローで攻撃しつつ、MPがなくなったらファイアーウォールで身を囲みMPを回復する。それの繰り返しだ。
十分後
「レベルアップレベルアップレベルアップ」
「3レベアップか、今日はここらで野宿だな。」
しっかり焼いたレッドアイはうまかった。
突然あたりの雰囲気が変わった。
「おいおい…こんな森から浅いところにもでるのかよ。マウンテンタイガーフィッシュ。」
マウンテンタイガーフィッシュ
大きな虎だが味が魚に似ていることからついた名前。
「グリュュュ」
こちらの出方を伺っている。
ハッキリ言って勝ち目は無いだろう。こいつ一体でも街を一つ半壊にできる程の実力だ。
だが、やってみるだけやるか…
「雷魔法ビッグサンダー クイックス」
雷の攻撃魔法と動きを早くする魔法だ。
「な、なんでだ。俺が今打てる最高の雷魔法だぞ。」
全くダメージが入っていない。
「ここで終わりか…」
俺はそう思いながら意識を断った。
気がつくと俺は広い洞窟で寝ていた。
すぐ近くには若い男が瞑想をしている。
「あのぉー助けて頂いて図々しいのですが。ここは何処か教えてくれませんか?」
「森以外に何だよ。お前も知ってて来たんだろう。」
衝撃の事実だ。この森に人が住んでいたなんて。
「私はユウです。あなたは?」
「俺の名前は………」
え?今なんていった?