第4話 トドメ
凶器のような言葉が、ランとミミコの幼馴染の絆を引きちぎっていくのが見えるようだった。
いつもなら、決して言葉にされないだろう、鬱憤・不満の醜い言葉の嵐。
その激しさに、ランはただ立ち尽くしていた。
「あんた達!人に言えないようないやらしい事してるんでしょう。兄弟でスルなんて、あんた達は畜生だ。
人間じゃない!!」
あたしがこの機会を逃がすはずもなく、ミミコが悪意に酔って言ってはならない一言をいった後、トドメを刺してやった。
「サンサさんの気持ちは理解できないけど、ランちゃんがそんな子じゃないってことぐらい友達なら分かるわよ!
ミミコ、どっか行っちゃいなさい!汚いのはランちゃんじゃない、あなたよ!」
ランを抱きしめて、ミミコを嫌悪の目で見てやった。
ミミコはさすがに言い過ぎた自分に気づいたらしく、口元を押さえていた。
いまさら後悔しても、口から出てしまった言葉は戻らない。
いつわりの友情の死。
その最高の瞬間。
あたしは震えるランをミミコからかばって、叫んだ。
「私達の前から消えて!」
一生ね。
走り去るミミコの後姿を見送った。
バイバイ、ミミコ。
あと、邪魔なのは、サンサだ。ランを曲げてしまう危険性をもつ男。
気持ちを知られた今、兄には戻らないだろう。
これは、遠ざけている間にサンサに勝てる男を見繕うしかない。
あんな男でも、ランは兄だと思っているのだから、ミミコのようにはできないし。
サンサに勝つ男・・・難しい問題だけど、挑戦は大好き。
きっと、見つけてやる。




