第3話 撃つ
ねらいが決まったら、後は撃つのみ。
二人一組の所に混ざり、三人一組が自然になってきたところで、ミミコがサンサに疑惑を持つように仕向けた。
少しずつ雨が石を穿つように、ミミコの心が疑惑に囚われていくのがわかった。
もう、何を見ても疑わしく、汚らわしいと感じているらしい。汚れてもいないのに、よく手を洗うようになった。
コップのふちまでたまった疑惑。表面張力ギリギリで、あふれるその時を待っていた。
もちろんあたしは最初のうちに手を退いて、ミミコ自身でサンサの気持ちに気づいた形になるようにした。
もう、いつ引き金が引かれてもおかしくなかった。
だからあたしは、その時にランの味方ができるように側にいた。
きっかけは、なんでもないことだった。
サンサがミミコに会ったとき、ランはどうしたと聞いたらしい。
瀬戸際にいたミミコが爆発。サンサに積年の想いを告白して、自分を選ぶように詰め寄ったという。
もちろんサンサは断った。
断るのはランのせいかと、汚い、と詰るミミコに、サンサが「過去も未来も、ランだけを愛している」と言ったらしい。
泣きながら、あたしと遊んでいたランのところに怒鳴り込んできた。
汚いだの、私を裏で笑っていたんだろうだの、混乱する心のままに、ミミコがランを責め立てた。
あたしは、ミミコに最初で最後になるだろう感謝をした。
あんたはランのこころを裏切った。
自分の勝手な想像を、ランより信じた。
ありがとう。




