第2話 ねらい目
まずは、敵を知らなければね。
ランとミミコが一緒にいる所を観察していて気が付いた。
楽しげに笑いあっていても、ランの目は通り過ぎる箒を追っているし、ミミコは男の子に意味ありげな視線を送っている。幼馴染だから、なんとなく一緒にいるってことだ。
あたしはメルリルといる時、気を逸らしたことなんかない。あたしと彼女は互いを選んで親友になったからだ。
同じものを見て、違う考え方をしても、お互いの違いを楽しんでいた。
さて、ニセモノの友情をきっぱり終わらせるにはどうしようか。二度とミミコが復活してこないように、トドメを刺さないと。
ミミコの家は雑貨屋だ。
他にもある店との際立った違いは、オーレス城と特殊な契約をしていることだ。不正とワイロの臭いがプンプンした。
帳簿も二重帳簿になっていたし、ワイロも確認できた。
ミミコの母親は、納入業者と軍人の愛人がいて、旦那もうすうす感づいているけど、婿養子なのでしらんぷりしていた。
けれど、これでは使えない。破産させても、ランはミミコを見捨てないだろう。
ミミコを攻めるより、ランの方向から攻めてみようかな。
ランの兄サンサを使うのがいいかも。
ミミコの初恋の男。ミミコがのどから手が出るぐらい欲しがっている男。
でもサンサが、愛しているのはランだ。
ミミコの倫理観は、これを受け入れないだろう。
サンサに対する嫌悪感はランにも向く。
不条理に責めるミミコにランの気持ちも離れるはずだ。
あたしが、ランの親友になるなら、ここがチャンスだ。




