第14話 絶縁宣言
カルア農園をあたしのものにすると決めた。
両親が、譲ってくれるのを待つなんて・・・あたしのガラじゃない。
現在の所有者は両親だけど、元々は祖父母のものだった。
相続のとき、農園の権利の半分を両親が持ち、残りは孫たちで分けた。
祖父母は、完全に家族経営で行くつもりだったと思うけど、両親はあたしを王都の学校にやるのに裏金が要ったから、権利の20パーセントを売った。まず、これを買い戻すのだ。70パーセントあれば、支配権を完全に奪える。
あたしがオーレスに戻っても、王都の華やかな暮らしに毒された両親は「農園の営業をしている」という理由で、王都をふらふらしている。付き合いの幅、流行を追う衣装類から考えても、農園からの利益だけでやっている訳がない。
きっと、すこしずつ権利を手放しているはずだ。
誰がそれらを持っているのか?
ある日突然家を乗っ取られて、身ひとつで放り出されるのはゴメンだ。
兄たちのツテ、あたしのツテを頼りに、農園の権利がどうなっているか調べた。
結果は、恐ろしいものだった。
両親はすっかり資産を使い果たし、農園の権利を二重に売っていた。
詐欺だ。
幸い、両親の持っている分だけだったとはいえ、上手いこと運ばれて賠償のために全部を奪われかねない。
奪うつもりだったのに、このままでは奪われてしまいそうだ。
あたしたちは個人的な物を、ありったけ売り払って現金を用意した。全部買い戻して書類を書き換えれば、両親の好きにはできなくなる。それが、救いだ。
ランとツーリングするための箒ですら、金に替えさせる両親が憎い。
あたしたちは、農園を家族だと思っている。家族を売った二人は、もう家族じゃない。
二重売りの罪を明らかにするかどうかは切り札に取って置くとしても、何か痛い目にあってもらわなくては。
一応、兄たちに、何かするつもりだと言った。あんなアホでも、愛しているかもって思ったから。
兄たちは、私を支持してくれた。もう、縁切りだから好きにしなさいだって。
おっとりした兄たちも今回の事で、堪忍袋の緒が切れたらしい。
了解はとった。さて、どうしようか。




