1.籠の鳥の見る夢
「……ん、朝……」
窓から差し込む朝日に、うつ伏せになっていた体を起こした。突っ伏したまま寝ていたからかぼんやりする頭でベッドの主を確認する。微動だにせず横になっているシュワルツは静かに寝息をたてていた。
彼が倒れてから六日目の朝がきた。相変わらず黙っていれば絵画のようにお綺麗な顔に手を伸ばし、頬を軽く引っ張ってみる。ふに、と面白いほど伸びる左の頬。手を離して頬をつついてみても一向にシュワルツは目を覚まさない。起きているときとは違って少しあどけない彼の寝顔に「そんな顔は見飽きたわよ」だなんて文句をいくら垂れても、返事は返ってこなかった。
「ディー? 起きてる?」
「……今起きたわ。待ってて、扉を開けるから」
乱れた髪を軽く撫で付けてから立ち上がって扉を開く。両手にたらいを持ったエリスがふわりと笑って「おはよう」と告げた。
「シュワルツは? まだ起きない?」
「ええ、全く。……さっきちょっとほっぺたを弄ってみたけど、反応なかったわね」
「ほっぺた?」
「みょーん、って引っ張ってみたの。普段なら絶対やらせてもらえないから」
何やってるの、と苦笑したエリスは話しながらもてきぱきと湿らせた布でシュワルツの顔を拭う。
「少しでも、何か食べられればいいんだけど……」
「水を飲ませるのでさえ一苦労なのよね。食事だと噛まなきゃいけないし、どうしたらいいのかしら」
三日目を過ぎた辺りから、何も食べさせないのは流石にまずいと判断したグレースさんによって、シュワルツの口には半ば無理矢理水が流し込まれていた。「これが眠り姫だったら僕だって、目覚めのキスでも口移しでも、何だってしようと思うんだけどねぇ~?」と肩を竦めたグレースさんは、呆れたような声音をしながらも吸い差しで慎重に水を飲ませていた。毒の処置も含めた堪能な医学の知識に感心していたところ、衛生兵なのだとエリスが耳打ちしてくれて納得したのだ。オレも真面目に仕事してるの初めて見たけど、とエリスは苦笑していたがその点に関しては私も彼と同意見だと自信をもって頷ける。
今現在、シュワルツの付き添いは私とアルとエリスとで交代で行っている。あれだけのことを仕出かしたのにまだ鳥籠から立ち退く気のないコルテさんを警戒したグレースさんは、彼や鳥籠の面々の監視をひとりで担っていた。
曰く、あの広間には明らかに鳥籠以外の面々──コルテさんの側にいた給士もそうだ──が存在した。鳥籠はオセルスの政府と敵対している。それなのに、鳥籠のホームにコルテさんの配下を入れることは可能なのか?
答えは簡単、初めから政府と鳥籠はグルだった。そう考えれば何一つ、説明は要らないのだと。
顔馴染みであるディアメントさんやセイアッドさんを疑うのか、と問いかけた私にグレースさんは厳しい顔つきで言った。
「現にこうして王子が危害を加えられてる。エディリーン嬢、きみがこうして無事でいるのだって奇跡に近いんだよ。……僕だって鳥籠を疑いたくはない。でも、僕にはきみたちを守る義務があるからね」
まあ何より、きみを傷付けたらアルミラちゃんに嫌われちゃうからなぁ、とおちゃらけたように笑うグレースさんに私は口をつぐむしかなかった。
シュワルツの処置が一段落ついた直後、鳥籠の面々の目前で行われたこのやり取りにディアメントさんは嘆息し、敵意はないが好きにしたらいい、自分達も宰相の警戒は継続する、と述べて立ち去っていった。物言いたげなハイルちゃんの視線から逃れるように俯いた私に彼女は唇を噛み締め、セイアッドさんに続いて部屋を出ていったのだった。
「……ディー、食べなきゃいけないのはディーもだよ。姉さんがまともに食事を摂ってない、ってアルくんも心配してたんだから」
「……わかってるわ。でも食欲がわかないの」
「果物とかなら食べれそう? 何かお腹に入れとかないと、いざというときに動けないよ」
持ってきたけど食べる? とポケットからリンゴを取り出したエリスに、折角だから頂くわと返してベッドの足元のほうに腰掛ける。ナイフを使いするすると器用にリンゴの皮を剥いた彼に差し出された一切れを受けとる。
「……うさぎ?」
「そうそう、よく母さんがやってくれたんだ。料理というか味付けはからっきしだったんだけど、妙なところで凝る人でね」
リンゴで白鳥を作ったこともあるんだよ、と話すエリスに相槌をうちながらうさぎの形をしたリンゴを頭から咀嚼する。
こういった可愛らしい形をしたものを可哀想で食べられないからととっておくのは昔からアルの担当で、私とキースお兄様は食べ物は食べ物だからと容赦なく口に運んでいたっけと思い出してくすりと笑いをこぼした。
「うちのお母様は、ナイフを持てば料理より狩りをする人だったわねぇ」
「……え? ディーのお母様ってあの、アナスタシア様……だよね?」
「それ以外誰がいるっていうのよ。アナスタシア・セデンタリア、正真正銘私のお母様よ。私が遠乗りを好きになったのだってお母様の影響なんだから」
「えぇ、嘘だぁ……」
あんまり覚えてないけどもっと可憐でたおやかな感じだったと主張するエリスに、表向きはね、と苦笑い。
「何たって私のお母様なのよ?」
「それを言われると説得力が増しちゃうんだよ……」
確かにお母様は箱入りのお嬢様だった。針より重いものを持ったことのないくらいの、文字通り深窓の令嬢。
機械のように動かない表情筋を携えた学園の高嶺の花に興味をもったお父様が彼女をどうにか笑わせてやろうと画策したサプライズは何度聞いてもお腹を抱えるほど面白かった。何せもともと内向的だったお父様が変に力むせいでどれもこれも空回りしてしまっているのだ、これを面白いと言わず何を面白いと言うのだろう。
ステンターにある神殿の学校に交換留学していたお父様はその一連の事件を通じておじさまと仲良くなり、元々おじさまと腐れ縁だったベラリアおばさま、そしてのちのステンター王妃であるフリューゲル様たちとも打ち解け、それからというもの四人でどうにかこうにかお母様の表情筋を動かそうとしていたらしい。
「そうすること数年、見事に表情筋が動くようになったお母様はこれまでの分を取り戻すように活発になったって訳」
三歳児が青春を経験してるみたいだった、とはお母様の談だ。
「素敵な話だね」
「でしょう? 自慢の家族だもの」
誇らしげに笑ってリンゴをひとかけかじる。甘酸っぱいそれをくしゃりと噛み締め、勢いよく飲み込んでから眠り続けるシュワルツに視線を向けた。規則正しく上下する胸に安心するとともに、未だ彼が目覚めない事実に歯噛みする。
「でもだからこそ、私はちゃんと話をつけなきゃならないわ」
「お兄さんのこと、だよね?」
「ええ。正直なことを言うとねエリス。私、コルテさんの──」
ノックの音が話を遮った。どなたですか、と問い掛けるエリスの声に返ってきたのは硬い声。
「は、ハイルです……! ディーちゃんお願い、僕の話を聞いてほしいの」
シュワルツが倒れてから六日。何度かすれ違うことはあれど、私はグレースさんの言葉もあってハイルちゃんとは面と向かって言葉を交わしていない。ハイルちゃんが何か言いたげにしていることは分かっていたがことごとく見て見ぬふりをしていたのだ。
だからこうしてハイルちゃんがわざわざ私の元を訪れるだなんて想像は全くしていなかった。何せグレースさんの一言で鳥籠に疑惑が向いた今、下手に私たちと関わることを彼女の上司であるディアメントさんが良しとしないことはわかりきっているのだから。
「オレがちょっと見てくるよ。この間のこともあるし、彼女だけって訳じゃないかもしれない」
エリスは以前、結果としてコルテさんを私の客室に入れてしまったことを思いだしたのかへにょりと眉を下げる。腰にさげた剣を確認してから小さく開いた扉の隙間から部屋の外へ出て、後ろ手にそれを閉めた。
くぐもった会話が扉の向こうから聞こえる。丸腰ではよくないだろうとエリスがリンゴを切るのに使っていたナイフを右手で握り、シュワルツを庇うようにしてベッド脇に立って扉を見据えた。
「ディー、軽く聞いてみたけどオレは入れてあげてもいいと思ったよ。どうする?」
「それは鳥籠としての意見? それともハイルちゃん個人として?」
「秘密裏に来たって話だよ」
「……わかった、エリスを信じることにするわ。入ってもらって」
軽い音を立てて扉が開かれ、エリスに続いてハイルちゃんが部屋に足を踏み入れる。
緊張気味なのか体を縮こまらせたハイルちゃんはナイフを持った私を見て一瞬動きを止め、視線をシュワルツに移し下唇を噛んだ。
「まだ王子さまは起きてないの?」
「……その確認のために来たのだったら出ていってほしいわ」
「ごめん、違うんだ。……ディーちゃんに知っててほしいことがあったから」
ハイルちゃんはすっと目線をあげて私を見た。固く結ばれた口をふ、とほどいて意を決したように息を吸い込む。
「僕たちは、ううん、鳥籠はディーちゃんたちを裏切ってなんかない。その証明をしに、ここに来たよ」
「そう。それで、私が納得する理由があるっていうのね?」
「うん。僕の話──僕がどうしてコエを手に入れたのかってこと。それと、ディアメントさんのこと」
だからごめんね、ちょっと無理矢理なんだけど。そう微かに聞こえた瞬間、ハイルちゃんは右手を構え早口に口走る。
『詠唱省略──歌えカナリア、我が心像を彼の者へ映せッ!』
光の濁流と大音量の調べが私に向かって一直線に襲い来る。視界の端で驚愕の表情を浮かべたエリスの姿が見えたのを最後に、私の意識は目映い光に呑まれた。
*
目を開けば、私はぽつんと道の真ん中に立っていた。寂れた小屋が並ぶ、砂ぼこりの激しい道だ。
「……これは一体、どういうことなの?」
「ディーちゃん、いきなりごめんね。でもディーちゃんには見ていてほしかったんだ」
道の向こう、相対するようにハイルちゃんが立っていた。
「これが僕のコエ、カナリアの能力。特定の相手に過去の出来事を投影する。歌鳥に任せられたのは記憶して伝えること」
いま、ディーちゃんに見せているのは僕の過去なんだ。
視界を覆う砂ぼこりは激しいが、それが私の頬に当たることはない。温度、匂い、感触、そのどれもが部屋でのそれと寸分たりとも変わらないことで、私はハイルちゃんの言葉が正しいことを理解した。目に映るこの景色は間違いなく、彼女のコエによって投影されているものらしい。目の前に立つハイルちゃんからは申し訳なさそうな雰囲気こそすれど、敵意は全く感じなかった。そのまま続けて、の意を込めて頷いた私に、彼女は再度口を開く。
「僕が生まれたのは炭鉱のある小さな村だった。ステンターとの境の山沿いのずっと南にいったところにある、ほんとに小さな村」
ほらあそこ。ハイルちゃんが指差した方を向けば彼女をそのまま小さくしたような子供がボロ切れを被って踞っていた。ゆっくりと歩み寄り私の横に並んだハイルちゃんは首に巻いたマフラーの先を弄りながら、とつとつと語り始める。
「あれが子供の頃の僕。昔は炭鉱で働いてた」
恐らく、シュワルツと道中交わした話の中に出てきた二国の国境にある山脈のどこかだろう。景色を見る限り、恵まれた生活とはかけ離れた場所であるように思われる。
「鉱物を掘るために爆薬とかを使うんだけど事故が起こると毒ガスが出ることがあってさ。色もないし臭いもない、だから毒ガスが出てるって気が付けなくて沢山の人が死んじゃうの」
ハイルちゃんは普段と変わらず明るい口調を崩さない。
「僕、孤児だったんだ。おんなじ境遇の子達と一緒に、村のはずれで生活してたの。あんな貧しい村でも、病気で黒ずんだ食べ物を捨てるだけの豊かさはあった。僕たちみたいな子供はみんな、村の人が捨てたそれで食い繋いでた」
視線の先、数人の子供と肩を寄せあって座る小さなハイルちゃんは、お世辞にも食べ物とは言えないであろうかたちをしたものを大事そうに千切りながら口に運んでいる。
ふ、と場面が切り替わった。ひとりの小柄な女の子がハイルちゃんたちの目の前に座り、頬を上気させながら興奮気味に何かを話している。残念ながら音は聞き取れないようだ。
「ある日ね、仲間内のひとりが割のいい仕事を見つけてきたの。鉱夫たちと一緒に炭鉱に入るだけで食べ物がお腹いっぱい食べられる、って。すごいでしょ? 僕たちは当然、みんなそれに食いついたんだ」
女の子は確かに、ハイルちゃんたちと比べ健康そうな顔立ちをしている。目は落ち窪んでいないし、頬だって痩せこけていない。大きく身ぶり手振りを加えながら話されるその仕事内容に、ハイルちゃんたちの目がだんだん輝きを増していくのがわかった。
女の子を先頭にぞろぞろと着いていけば、でっぷりと太った男が笑みを浮かべ家のなかにハイルちゃんたちを招き入れた。大きなテーブルに所狭しと並べられた食事や嗜好品、壁にそって並べられる綺麗な服やおもちゃの山。歓声をあげる子供たちに男はそれらを指差し、何でも好きなものを取っていいだとか、そういったようなことを口にしたように見えた。
「この人、自分は鉱山の権利を持ってるんだって言ってたの。指輪のたくさんついた手を見せてね? 自分はお金が余っている、君たち子供を支援するのも自分の務め、仕事には相応の対価を支払うつもりだ、って」
「……それは、」
「ひとり、ふたり、さんにんって、鉱山に着いていった子達はみーんな、帰ってこなくなっちゃったんだ。子供は大人より体が小さいからさ、着いていった僕たちに異変が起きたら鉱夫たちは逃げればいいんだ。そうすれば、村の人に被害は出ない。……動物を使ったら、食べられる肉をむざむざ捨てることになるでしょ? それならいなくなっても構わない穀潰しや忌み子が沢山いるだろう、ってことだったんだって」
呆れちゃうよね、と乾いた笑いを浮かべるハイルちゃんに、ナイフを握っていないほうの拳に力がこもる。到底聞いていられるような話ではない。
気付けば最初に見た道の端、体を丸め横になった小さなハイルちゃんは浅い呼吸を繰り返していた。淡い桃色に染まった手のひらで固くなったパンのかけらを握っている。体に掛けられた豪奢だったはずの布地は砂にまみれて見る影もない。
「生まれを呪いたくたって、神さまどころか親の顔さえ僕らは知らないんだ。段々減っていく仲間をみておかしいってことには気付いてた。でもどうすることもできなくって、僕もほら、こんなかんじでだいぶ弱ってた。……そんなときにね、現れたのがディアメントさんだったんだ」
横たわるハイルちゃんに影がさす。今より若いディアメントさんは膝を曲げてハイルちゃんの顔を覗き込むと顔にかかった髪を避けて頬を撫でる仕草をした。
「ディアメントさんは僕に聞いたんだ。『君は生きたい?』『下手をすると死んでしまう、でももしかしたら、君は人生を変えられるかもしれないよ』って。僕は迷わず食い付いた。だって、死にたくなかったから。そうしてディアメントさんは僕を襲った。結構なケガは負ったけど、僕は引き替えにコエを手に入れたんだ」
「……少し待って、ハイルちゃん。ディアメントさんがハイルちゃんを?まさか、嘘でしょう?」
オセルスの国民だけに発現するコエという能力は、「魔物に襲われ死にかける」ことがトリガーとなってあらわれる。アルから聞いた話ではそう伝えられていたはずだ。間違ってもその相手が人間だなんて話は出てきていない。
「私たちが知っているコエの条件を前提にしてその話を信じるなら、ディアメントさんは魔物だって認識になるんだけど」
困惑気味に口を挟む。ハイルちゃんはそれに頷いて、それが話したかったことなんだ、と重々しく告げた。
「セド……ええと、セイアッドが王子さまから話を聞かれたって言ってたんだ。ステンターを襲撃した刺客を知っているか。僕より小さい能力者はいるか、って」
「ええ、聞いたわ。シェイプシフター、姿を変えることの出来る化け物の仕業だって話だったかしら」
「セドは僕と違ってほんとに偶然魔物に襲われてコエを手に入れたから知らないけど、僕たちみたいに望んでコエを手に入れた人はみんな知ってる。──ディアメントさんなんだよ、シェイプシフターの正体って」
促すように視線を過去のディアメントさんに移したハイルちゃんに倣う。小さなハイルちゃんに手を貸して体を起き上がらせた彼は少し距離を置くように数歩後ろに下がった。
途端、どくりとその体をが蠢いたかと思うと一瞬ののちにそこに立っていたのはディアメントさんではなく、昔のハイルちゃんと瓜二つの人間だった。しかしその、今より小柄で貧弱そうな体躯には酷く見覚えがある。
「……オセルスの、刺客」
血のように真っ赤に染まった瞳をした少年とも少女とも言い表せないその人間は、確かに闘技大会で私たちを襲った刺客そのものだった。ハイルちゃんを模しているはずなのに妙に人間味のないそれは、あのときと同じようにニタリと笑う。
それがハイルちゃんに飛びかかったのを最後に映像はノイズが入ったように途切れる。再び映ったのはディアメントさんの腕に抱えられるボロボロのハイルちゃんの姿だった。
「セドたちはコエのことを『魔物から身を守る力』って思ってるみたいだけど、ほんとは違うの。コエは『現状を打破する力』、その人が今、一番欲しいものを手にいれることの出来る力のことなんだよ」
「一番欲しいもの?」
うん、とハイルちゃんが頷く。
瞬く間に映像はくるくると変わる。寒いだろうからとディアメントさんにマフラーを巻いてもらう姿。セイアッドさんと初めて出会って、あらわれたコエであるカナリアに興奮する姿。セイアッドさんたち鳥籠の面々とならんで魔物を退治する姿。鳥籠にきてから一年が経って、皆に祝ってもらって泣き出す姿。
「家族が欲しかったんだ。僕を無条件で愛してくれる、おかあさんやおとうさんが欲しかった」
泣き出しそうなハイルちゃんの顔がくしゃりと歪んだ。
「ディアメントさんは僕にとってのおかあさんでおとうさん。僕を見つけて、初めて愛してくれたひと。セドはそうだな、おにいちゃんかなあ。沢山文句を言ってても、僕のことを突き放さないでいっつも助けてくれる」
映像が掻き消えた。真っ暗な暗闇のなか、私とハイルちゃんだけがぽつんと立っている。
私は彼女に何と声をかけていいのかわからず、黙ったままその淡い桃色をした瞳を見つめていた。
「よおし。次はディアメントさんのこと、見に行こっか」
気の抜けた掛け声を発したハイルちゃんが掲げた右手から、また光が吹き出した。
本日より、第三部の投稿を開始いたします。
一部、二部とは異なり、毎週月曜日(週一回)の更新となります。





