表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒歴史発掘日誌  作者: あっちいけ
2、『スパイ屋サキ』
6/30

冒頭



 

 私の名前はサキ=R=チェルニアス、花も恥じらう16歳。職業はこう見えてもスパイ屋。この仕事って危険だけどけっこうもうかるのよね~。


 どっご~ん。


 街道を行く人たち、全員がこっちを向く。そりゃあそうよね。こんな美少女が道を走っていたら見惚れるのも無理ないけど…うう、なんだか言ってて恥ずかしくなってくる。

 しかも美女じゃなくて美少女って言っちゃった。まだ胸も小さいけどそれは発達途中ってことで、目が子供っぽいってよく言われるけどそれだってまだ私、子供だし……あう、言ってて情けなくなってきた。


 どっか~ん。


 まあ、それだってあと何年か過ぎれば私だって大人の女になれるんだから。焦らなくてもいいのよサキ。気楽に待って入れば……


 どっこ~ん。


 気楽に……


 ちゅど~ん。


 きら……


 どかどかどかちゅどべきばきどっご~ん。


「って、さっきからうるさ~い」という私の叫びも爆音にむなしく消えた。


「この野郎、いい加減当たりやがれ」

「うろちょろしやがって。もう魔法を避けるな」と無理な頼みをしてくるのはさっきから私を追いかけてくる奴らである。


「あのねぇ、さっきからなんで私を追いかけるの? 私は一般市民よ」

「嘘つけ。じゃあ一般市民のお前が持っている紙はなんだ?」


 私は左手を見た。見なくても分かる。さっき大きな館から盗んできた書類だ。几帳面に表紙には『極秘』と書いてある。どうやら重要な物らしい。これを持っている私を追いかけてくるこいつらはたぶんあの館のガードマンといったところか。


 ガードマンを雇っているということはよほど重要な書類なのだろう。おそらく脱税かわいろに関しての書類と見た。


 そのガードマンは「おい、応えろ。その手に持っている紙はなんだ?」といささか怒り気味だ。


「これは……私の愛のラブレターよ」

『嘘つけ』とガードマンたちの声がはもった。


「そんな極秘と書かれたラブレターがあってたまるか。さっさとその書類を返せ」

「そんなに返してほしい?」

「ああ、返してくれたらお前を見逃してやる」と言ったガードマンの目が異常に殺気じみているのは気のせいだろうか。


「ああそう。じゃあ返す前にこの書類に書いてあること全部読んじゃおうかな」

「なっ」


 あきらかにガードマンが動揺したのを見計らって「風にたなびく其が名は嵐! シュート・ウィンド!」と私は唱えた。


 すると私の身体から小さな光る粒が尾を引きながら数個出てきた。そしてその粒が空気に溶け込むように消えると突然、突風がふきあれ、目の前のガードマン2人を吹き飛ばした。残る3人もふみとどまるのがせいいっぱいの様子で目も空いていない。


 私は風を止め、後ろポケットにしまっておいた短い棒を出した。そして私はまた唱えた。


「物も成長するが如し! ビー・ビッグ!」


 すると短い棒が120センチくらいの長い棒へとなった。私のオリジナルの魔法だ。その棒を手に、まだ体勢を崩しているガードマンに私はつっこんでいった。


 まず一番近くにいた男のくるぶしを打った。その男はもうそれで立てなくなり、その場に倒れた。


「1人」


 私は後ろに殺気を感じ、ふりむくとガードマンの1人が魔法を解き放とうとしていたところだった。


「火炎を生むは火と炎! バーニング・ボーン!」


 男の手に火の玉が現れ、こっちに向かって飛ばしてきた。って私どころか周りの人ごと殺されちゃうじゃないの。もう男の目に正気はやどっていなかった。


「無を生み出すのは無のみ! カウント・ゼロ!」


 私はリフレクト・マジックの一種を唱えた。するとガードマンが生んだ火の玉がどんどん力を無くし、消えた。


 私はその光景に驚いているガードマンに一気に攻め込み、棒を首筋に叩き込んだ。ガードマンはそのまま吹っ飛んでいき、民家の壁に当たり止まった。どうやら気絶したようだ。


 残る1人。どうやらガードマンのリーダー格らしき男はさっきから場所を動いていない。


「なんで攻撃してこないの? チャンスだったらいくらでもあったでしょう?」

「いくら強くてもしょせんは女。取るに足らない」


 どうやら私のことをなめまくっているみたい。ま、こんなかわいい女の子なんだからそれは当然か……笑わないでよ。


 私は自分から口火を切った。


「光の断絶。闇の支配。闇色の光を生み出さん! ライトニング・ブレイカー!」


 私の身体からかなりのバースが出ていき、そして消えた。すると街灯や民家の電気、太陽から光の供給がなくなり、周りは一瞬にしてまっくらになった。


「はっはっは、こんな魔法を使ってもバースの無駄遣いだ。おれにはお前が見えないが、お前からも俺の姿は見えない」


 そう、しかし魔法に必要なのは使い方。


 fin




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ