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purity  作者: RK RAMONE
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第7話 〜神話の戦い〜

"汝悪魔を愛せ"!"汝悪魔を愛せ"!


私の頭の中で叫び声が聞こえる。

悪魔からの誘惑だ。眠る前によく聞こえるのだ。私はこの頃から不眠症になり始めた。眠るのに手こずっている。訳の分からない夢まで見始めた。"王様がいる、たけど彼は幽霊だ"。タバコが好きなんだろう。いつも彼はパ イプを咥えている。居城は植物の根に覆われ、家臣達はブリキの兵隊、押入れの隙間からガイコツがこっちを見ている。私は、自分が人間じゃない と思い始めた。別の生命体なんだと思った。そろそろ、仲間達が別の惑星から私を連れ出しに来ると信じていた。月が赤く染まり骸骨達が踊る夜を 楽しみにしていた。夜になるといつも、こんな感じだ。

「畜生め!何で一体全体俺はまともに眠れやしないんだ!」

私はベットで悪態をつく。

「あのウスノロ共だって寝るのにこんな手間取らないんだぜ!」

私は、段々と惨めな気持ちになってきた。時計を見る、午前2時47分だ。 まったくもって馬鹿らしい、私はこのベットの上で4時間近く苦しんでるのだ。病人でもないのに!

私は本を読む事にした。只の本ではない、本当 に"馬鹿らしい"本を読もうとした。そうすれば、読むのも馬鹿らしくなっていつか眠れるのだろうと思った。

父親の部屋の本棚から適当に一冊見つけてそれを読む事にした。両親は眠り、部屋は暗いので僅かな月の明かりと直感で本を取る。"なかなかいい感触がした"部屋に持ち帰り読む事にした。


本のタイトルは「女王失墜すべし」。

本の色は赤くタイトル文字は金色で難しい本なのだと思った。

「"女王は偉大で恐れを知らず"金にモノを言 わず浪費する。されど恐れるな尽きぬその財を世に知らしめろ!」そんな言葉が書いてあった。女王は群衆を蝿と呼び、侍女達を食器のように扱い 国の子供達"特に綺麗な子供"を集めて、裸にし人間チェスをやるのだ。くだらない内容だったが、印象に残った。朝になり私は結局眠れなかった。 父親の部屋に行き本を返した。それから、私は何度か父親の部屋に侵入したがあの本を見つけられなかった。女王は失墜したのだ。


晴れの日でも雨の日でも現実は少しずつ進み、私のクラスに転校生が来た。男であり肌が茶色く背が小さい痩せっぽっちの少年だ。

肌が茶色だったので私達は彼を"チョコボーイ"と呼んだ。彼は明るく活発的でありすぐに仲良くなった。それに、大量のモデルガンを持っていた。 私達はよくそれで遊んだ。ある日私はあるゲームを提案した。皆興味を示していた。大量の虫を捕まえて道路に並ばせ逃すのだ。それを私達が銃で 撃ち殺す。虫には、それぞれ得点を付けより多くの得点を取った者が優勝者とする。皆賛成した。チョコボーイも喜び大量の銃を私達に貸してくれ た。

私達は、それぞれ虫を大量に捕獲した。バッタ、トンボ、カブトムシ、クワガタ、カエル、カタツムリ、確かこんな感じである。 バッタは5点。トンボは50点。カブトムシとクワガタは10点。カエルは15点。カタツムリは1点。それぞれ大量に捕獲し路上に並べゲームを開始する。

私達は確か5人位いた。爆竹の爆発音で開始され一斉射撃が始まる。銃弾が飛び交い虫達を襲う。


我々は、十字軍のようだった。異質なるフリークスを討滅する、神の軍勢でありジークフリートの再来。高まる高揚感!疾走する暴虐心!バッタの足は吹き飛び、カエルの内臓は飛び散り、カタツムリは殻に何発も銃弾を受け体液を垂らしながら逃げている。悪夢そのものだ。

誰も自分達の行為に目を背けず、皆笑いながら狩りを楽しんでい る。トンボは自由に空を飛び銃弾を華麗に避けている。流石の我々もトンボを仕留めるのに苦戦した。あっという間に逃げて行ってしまう、、

そんな時チョコボーイは、殺虫スプレーを持ってきた。スプレーを噴射させライターの火を付けた。スプレーから火炎が吹き出し、トンボ達は炎に 包まれた。トンボ達は全て墜落し堕ちていき生き絶えた。


神の放ったメギドの火。奴は笑っていた。私達も笑っていた。


カブトムシ達も火炎で焼き殺した。辺り一面に香ばしい匂いが立ち込める。チョコボーイの圧勝だった。カタツムリはヨロヨロ蠢いている。誰も、もう興味は示さなかった。 車が通りカタツムリを潰した。ぐちゃぐちゃになった。最終的に誰も自分達の点数など覚えていず、ただ路上には虫達の死骸だけが残った。


「めっちゃ面白かったなぁ!またやろうぜ!」

私は楽しんでいた。

「そうだなぁ!またやろう。」

皆、笑顔で返事を返す。

「今度は本物の銃でやろうぜ!」

チョコボーイは言う。

「本物銃なんて、あるわけないだろ。」

誰かが返事を返す。

「大人になったら、本物の銃で撃ち会おうぜ!」

「そしたら、お前の脳みそを吹き飛ばしてやるよ!」

私達は笑い合い、冗談を飛ばしていた。すると、雲が曇り土砂降りの雨が降ってきた。我々は 近くの倉庫の中に入り避難した。雨は虫達の死骸を路上から洗い流し綺麗に片付けた。雨が止み、皆と別れの挨拶をして家に帰った。 帰り道に大人になったらアイツらと本物の銃で撃ち合いになるのかなぁ?そんな事を思い自転車を漕ぐ。


「アイツら全員賞金首とかになってれば、 俺は大金持ちになるなぁ~」

私の心は踊り、そして空には虹が架かっていた。


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