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purity  作者: RK RAMONE
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第2話 〜どうか育まないでください〜

年が明けて冬が過ぎさり、私は小学校に入学する事になった。周りの景色は変わり 始め、気温が上がり冬の名残りは消えていき新しい生命が開花する季節になってきた。 花は咲き誇り動物達は目を覚まし川の水辺では魚が泳ぎ始めた。素晴らしい季節である。


小学校に通い始めて、私は驚いた事が沢山あった。皆綺麗な服を着ていた。保育園と違い 泥だらけでボロい服を着ている人はいなかった。一部の特殊な人種を除いて、、


ここには明確な規律があり大人達は責任を持ち我々を社会の一部に組み込めるよう。ルール を覚えさせてくれた。私は規律を守ることが苦手だった。いや、そもそも理解する事ができなかった。 私は自由であり純粋であり自分の心に従った。善悪の区別も浅はかあり、善いと思った事はとことん やり、悪いと思った事は徹底的にやった。背徳感は私の生きる原動力となり常に前に気持ちを向けてくれた。


帰りのホームルームで私はいつも名を呼ばれて叱られていた。黒板の前に立ちクラスメートの視線が私に 集中する。担任の先生が私に問いただす。「どうして、リコ君は女の子を平気で殴るの?」私は答える。 「悪いことだと思わないからです。」先生は更に問いただす「殴られると、とても痛いのよ!人の気持ちを 理解して」私は答える「僕は痛くないよ!それに女の子はお腹以外ならいくら殴っても平気なんですよ」 更に続ける「だってお腹以外なら赤ちゃんを作れますから!」

私は変に知恵がまわった何処からともなく いろんな知識を吸収できた。女の子はお腹で赤ちゃんを育てそれ以外ならいくらダメージを受けても平気 なんだと思っていた。だから泣いてしまっているのは嘘であり擬態であり私を嘲笑っているように思って いた。殴られた子は泣いている。私をハメようとしている。ブーイングはまだ聞こえない。


だが、不思議な 事に皆私に優しかった。登校する時は一緒に登校し挨拶も笑顔であり、一緒に学問を学んで育み、沢山の 冒険もしてきた。近所の子供達は私と常に一緒であった。私の予想外の言動や行動にも肯定的で私が道を 踏み外そうな時は私を叱ってくれた。皆本当に優しかった。心に花が咲くように私は成長していき、善悪 の区別もつけられるようになってきていた。しかし、それと同時に悪魔達も成長していた。


私の庭は、楽園 でありそこに神はいなく私だけがどんな果実も口にする事ができた。私の気分さえ良ければ近くの動物や虫 達に果実を分け与えそして気に入らなければその羽をむしり取る事ができた。そこにルールは、なく私は育ん でいった。皆本当に優しかった。


私の名前はリコ・キャンドル。生命の灯火であり楽園の開拓者。


神は私を愛し 悪魔も私を愛してくれた。「僕は無敵なんだ!みんな僕の事が大好きなんだ!」大地は広がり道は切り引かれて いた。「僕はもっと大きくなってもっと良い事と悪い事を沢山するぞ」花達は咲き誇り笑っている。

「薬箱なんか全部ひっくり返して鶏小屋の扉も開放してやる!」雷が落ちて空が光りだす。季節は春、素晴らしい日々だ。

「クラスの女の子達は全員僕の召使いにして、宝石は全て奪い取ってやる。」墓場から悲鳴が聞こえる。


時間は有用であるように無用であり、私の楽園にも訪問者が現れる日もあった。近所の女の子達が数人遊びに来たのである。それ以外にも男の子達も確か数人いた。私の楽園は過ごしやすく大きな岩が2つあり遊び場には適していた。祖父が昔どっかから持ってきたものであった。とても大きな岩で上に登って座り景色を見る事ができた。

女の子達は手を繋いで踊ったり、走ったりし沢山はしゃいでいた。私達は岩の上から眺めている。女の子達は 天使の様だった。肌が白く黒い髪は透き通り艶があり歩くたびに福音が鳴っていた。違うところは羽が生えておらず 平気で嘘をつくくらいだ。嗚呼、なんて美しいんだ。もうお前達は逃げられないぞ!この鳥籠からお前達は逃げる事は できない。私の心に黒い靄がかかり鼓動が速くなり毛は逆立ち体内の血が沸騰してきた。この気持ちは一体なんなんだ! 凄いぞ、凄い!私の隣の奴らは口を開けたまま動かない。このウスノロ共めお前達は愚鈍な石像だ。私は心の中で叫ぶ。すると女の子達はお互いの口をくっつけ始めた。

キスしているのだ!衝撃だった!しかもただキスしているのではない お互いに舌を入れ始めている。口元から唾液が落ちてお互いの粘液を口移ししている。ナメクジ達が絡みあっているようだった。

時間が止まり、神さえ言葉を失っていた。石像達の体からは苔が生え始めている。天使達は笑いながら風のように 去っていった。季節は春桜も散り終わりが見えてきた。空がオレンジ色になり楽園から皆、消え去っていた。一瞬の芸術はどの 言葉よりも正しかった。私は1人岩の上で取り残された。風が吹き彼女達の匂いが一瞬鼻を掠めていく、私の背徳心と焦燥感 は高まっていく。黒い靄はやがて野望となり牙を研ぎ澄ませいつかは執念となり彼女達を燃やし尽くすだろう。


神は楽園を私に与えた。昼は天使達が歌い、はしゃぎまわり、夜には悪魔達が蠢き血をすする。それがこの楽園の摂理であり。そして私がこの楽園の支配者である。


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