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purity  作者: RK RAMONE
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第1話 〜楽園の開拓者〜

私が最初に見た景色や記憶を思い出すと、まず初めに白い靄が見えた。 純度の高い自然や思想を持ち合わせ生き物達が周りに存在するのはごく稀であり 大半の生き物達は環境に適応する為に絞り取られ消耗し新しい種への進化を成し遂げ れずに消滅する。疑わずにはいられない純粋に染まることなく純度の高い高潔な魂で あっても消費し続ければいつかは失墜し俗物になり只の恥晒しとして生きていかなくて はならない、私はまず初めに疑わずにはいられない周りの物全てを"だって単純に皆 口を揃えて言う言葉は同じだから"信じ続ける事が私の人生の指標だと昔教わった。 私は頷いた、過去を振り返り一つの思想と指標をここに残す。 そうすればあの時私に語りかけた存在を理解できると思うから、"白い靄を取り払い その後何がどうなっているのか、純粋に興味があり一つの信念に近いものだ。

私は子供であり純度の高い生き物だった。信念もなく野望もなく全てが純粋に見えた 時期があった。確かまだ6歳になる前の頃である。私の曾祖母が死にかけていた時期 だった。庭の池には雪が積もり中の鯉達は凍死寸前だったが懸命に生きていた。 とても寒く私は寒さに弱く冬が嫌いだった。それは、今も昔も変わらない冬場に見る 夕焼け空はオレンジと黒に染まり、私はいつもあの光景を見るのが本当に嫌いだった。 どういう訳かわからないが、"ただ本当に嫌だった" 曾祖母は皺くちゃで腰が曲がりいつもヨタヨタあるいてリビングやトイレに向かっていた。 私は曾祖母の手を握りいつも彼女が動く時側にいて支えていた。 とても暖かい行動だったと思う。私は曾祖母が好きであったし彼女も私を気に入っていた。 祖母は曾祖母を嫌いであったが、私はそんな事どうでも良かった。 「さぁ、坊や私のてを握って連れて行ってくるないか?」私はを握り横に支えながら歩く 曾祖母はにやけながら微笑む「あなたの手はいつも暖かいねぇ」曾祖母の口もとが緩み何本か 歯が抜けた口元が見える。顔は皺くちゃで歯が何本もないが曾祖母の目には知性の輝きがまだ あった。昔から聡明な人だったのだと私は思った。私は曾祖母が小便を漏らす前にトイレに向か わなければならない、細長く冷たい廊下を転ばないようなんとか曾祖母を連れて行く。

なんとか間に合った。曾祖母は安堵して微笑む、彼女が着ている黒い袴がゆらゆら揺れ トイレに入っていく。そして用が済んだらまた部屋まで一緒にいく。曾祖母は排泄以外 の事であれば完璧な人だったと思う。にかしゃか笑い冗談も上手く頭の回転が速く母の 作ったパスタも完食するくらいだった。曾祖母は私を気に入っていたし私も曾祖母が好き だった。「坊やの手は神の手だ。綺麗で柔らかく暖かい」よくそう言って私の手を握っていた。 父や母との記憶はこの頃は思い出せないが、曾祖母の皺くちゃの顔がまだ少し思い出せる。 時が少し経ち曾祖母が死んだ。天に還る時が来たのだ、発見したのは祖母自分を憎んでいた人 葬式が始まり沢山の人が集まり酒を飲んで騒いでいた。親戚の人だけじゃなく近所の酔っ払い達 も集まり宴はずっと続いた。祖母や母は料理や酒を沢山運び大変そうだった。父は親戚の人達と 何か色々話し混んでいた。私には理解できないような内容だった。喧騒は激しさを増しいつか 暴動になるのかと思っていた。そして1人の酔っ払いが相手に因縁を付けて喧嘩になった。 「争い事は外でやってくれ」父は叫んだ。酔っ払い達は外で殴り合いになり、私は窓から少し覗き こんでみていた。1人の酔っ払いが鋭いパンチが相手の顔面に当たり前歯が吹き飛び鮮血が舞った とても鮮やかだった。雪は赤くそまり相手の酔っ払いは蹲り立てなかった。私は興奮していた。 酔っ払いは凱旋してきた英雄の様にまたビールを飲み豪胆にしている。誰も何も言わなかった。 蹲った方はよろよろしながら雪の降る道を一人で帰って行った。誰も何も言わなかった。 次の日には曾祖母の出棺の日であり、最後のお別れであった。皆棺に花や曾祖母の思い出の品を 入れた。私は自分の財布から1億万円札を取り出し棺に入れた。皆笑っていた。母は恥ずかしがっ ていた。「あまり私を恥ずかしめないでね!」母はヒステリックで親戚や近所の人達が嫌いだった。 そして火葬場に行き棺を燃やした。皆手を合わせていた。私も手を合わした。何も考えていなかった。 悲しみもなく曾祖母はまた自分の所に現れるのだと思っていた。曾祖母は不死身で死に方すら忘れたん だと思っていた。炎が止まりお骨を拾うことになった。皆泣き始めた。橋で骨壷に1人ずつ入れてゆく 私は何もしなかった。作業が終わり皆バスに乗り込んで家に帰って行く。曾祖母は天に還り、酔っ払い達は 酒場に消えていく。曾祖母が、天国に行ったのなら私の上げた1億万円札で金持ちで暮らしていけるだろう。 バスの窓から火葬場を見る。煙突から白い煙が立ち込めている。今燃やされている人はきっと善人なのだろう。 バスから降りて皆それぞれの場所に向かう。昨日殴られた酔っ払いの姿はなかった。彼も善人なのだろう、、

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