1 救援要請
日が沈み、蝉は鳴くのを止めた。それくらいの時間帯に、俺は帰宅した。
玄関に着くやいなや、俺は「夏だから」という理由で友人三人を自宅のアパートに呼び出した。
「あぁーもしもし、俺だ。いきなりだけど、今から俺んち来れる? あ、そう? じゃあ、待ってるなー。うん、はーい」
俺は携帯電話という文明の利器に感謝した。
ノリの良い三人は、俺の急な注文にも答えてくれた。三十分もしないうちに、三人共来てくれたんだ。良い奴等だろう? 自慢なんだ。
俺は玄関で三人を出迎えた。
「よく来てくれた、友たちよ。ささ、早く中に入るが良い」
友人達は怪訝な顔をしながらも、靴を脱いで部屋に上がった。
さて、男四人でやることといえば……勿論、怖い話である。
四角いテーブルのそれぞれの辺に一人ずつ座ってもらい、俺は部屋を暗くした。
そして、戸棚にあった蝋燭をテーブルの上に置き、火を灯した。雰囲気作りは大事だ。
「さて、集まってもらったのは他でもない。今年も夏が来たということで、恒例の怖い話大会を開催したい」
「恒例?」
「そんなことしてきた覚えないけど」
「どうでも良いけど、冷房点けてくんない? さすがに暑いんだけど…」
さすが我が友人達、『怖い話大会』と聞いても一切怖がっていない。逸材だな。
「つべこべ言わずにやるの! あと、冷房は壊れています。扇風機で我慢してください」
「それで、怖い話をして涼もうってことか」
「まぁ、面白そうだし、別に良いけど」
「マジかよ…じゃあ鳥肌立つくらいに涼しくなる、めちゃくちゃ怖い話を聞かせろよな」
まぁ、俺は既に涼しいけれど。
「任せろ」
「じゃあ大トリは任せた」
「そんじゃ、僕は二番手」
「うーん、オレは三番手で」
「えー、おれが最初? まぁ、良いけど…」
というわけで、話す順番が決まった。早速、始めよう。
物語はすでに始まっているのですよ。