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妖魔狩り戦記  作者: 岸根 紅華
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出会い

いまだに投稿の操作方法がよくわからないパソコン音痴の作者。

見苦しい点があるかもしれませんが、生暖かい目で見守ってください。

「さて、ここはどこで、ポイントデルタはどこだ?」


 俺が落下したのは戦場から離れた、右も左も真っ白な雪山……だと思う。

 すでに日が暮れかかっているから、白も黒もよく分からないのだ。


 しかも、ポンコツ無線機はノイズばかり。

 俺は諦めて頂上目指して歩き始めた。


 暗い雪山で道に迷うと人間は、本能的に下に下に行こうとするがそれは間違い。

 視界を遮らないぐらい上に昇り、灯りのを確認して移動するのが好ましい。

 いろんな意見はあるようだが、俺はそう思っている。


 まあ、俺が確認したのは、殺伐とした戦場の光りだが……。


「とにかく…………誰だ!」

 俺が雪を踏みしめると同時に、恐ろしいほどの妖気が近付いてきた。

 反射的に腰のホルダーから銃を引き、妖気の元に狙を定めた。

 そして、視線と腕を真直ぐに向けた俺は、思わず息を飲む。


 視線の先には、白い着物に長く青みがかった銀糸を揺らし、人ならざる美貌を持つ少女が、息を弾ませ立っていたからだ。

「誰だ? いや、雪女一族の者か?」

 特徴から妖怪の種類と特性なんかが即座に浮かび上がる。


 雪女一族。


 妖怪の中で一大勢力を持ちながらも人間と妖怪の戦争には一切かかわらず、中立を保っている稀有な存在。

 もし彼女らが人間と妖怪の戦争に参加したら、人間の世界は半年で終わると言われている。


 だが、なぜこんな戦場に?

 雪山だから、彼女らの住処が近いのだろうか?

 まさか中立を破って攻撃してくる気か?


 銃を構えながらも、最悪な結末を、ブンブンと頭を振って追い出した。

 だが彼女がここにいる理由はまったく分からない。


「…………」


 そんな彼女は、息を整えているのか?

 俺をジッと見たまま、まったく動く気配がない。

 そればかりか、どこか懐かしむような瞳で俺を見ている気がする。


 なぜだろう?

 初めて会ったはずなに、俺も不思議と彼女との出会いに既視感を覚えていた。


「お前……名前は?」

「…………氷華」


 彼女が発する声。

 どこかで聞いたような気もするが……思い出せない。


「あなたの名は?」


 敵意は無いと言うように、彼女は両手を広げて問いかける。

「アキトだ」

 警戒しながらも短くそう告げた。

「そう……今の名はアキトと言うの……」

 俺の名を聞き、彼女が聖母のように微笑む。

(雪女って、名前を使って憑依や呪いの類いは出来ないよな?)

 逆に一周回ってそんなことを考えるぐらい自然にだ。

 油断はしないが、彼女から攻撃の意思は無いみたいだ。

 俺は警戒を緩め、銃をゆっくりホルダーに戻す。


「それでアキトは……迷子なの?」

 そんな俺に、彼女は少し意地悪気に目を細めコクリと首をかしげた。

 銀糸の髪が揺らりと揺れる。

 人間離れした美女の可愛らしい仕草に、不意を突かれた心臓がドクリッと跳ねた。


 そんな自分に思わず苦笑してしまう。

(まったく、中立とはいえ妖怪に胸をときめかせてどうすんだよ)

 美女に化けた妖狐に止めを刺しあぐね、逆に殺された先輩のことを思い出し奥歯を噛みしめた。

「大丈夫。敵ではないわ。信じて貰えないかもしれないけれど……」

 俺の心を読むように、でも最後は残念そうに視線を落とす彼女。

 憂いを帯びる彼女に、再び見惚れそうになる自分を叱咤激励。

「ああ。で、俺は人間のいる場所に行きたいんだが、どこか人間の沢山いる大きな建物を知ってるか?」

 出来る限りぶっきらぼうに質問をした。


「そうね……確か、この山を越えて数キロ行った所に殺気だった沢山の人間いる建物があるのを知っているわ」

 彼女の指先は、俺が落下する前に確認した方角と一致する。

 どうやら騙す気は無いようだ。


「案内しましょうか?」

 再び首をかしげ問いかける彼女に、

「ああ。いや大丈夫。案内してもらってあんたを味方に攻撃させたくない。たぶん、あちらは今、殺気だっているからな」

 口角を吊り上げ、丁寧に断りの言葉を入れると、

「……そう。残念ね」

 彼女は本当に残念そうに笑う。


(こいつの目的はいったい何なんだ?)


 いまだに彼女が現れた意図が分からないが、

「とにかく、道を教えてくれてありがとう。今度会ったら何か奢るよ」

 俺流の社交辞令を言い、片手を上げて目的地を目指す。


 そんな俺の背中に、

「ええ。また会いましょう」

 彼女は意味深な言葉を投げ掛け気配を消した。


明日もバシバシ更新する予定です!

時間は多分、22時ごろになると思います。


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