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妖魔狩り戦記  作者: 岸根 紅華
3/31

落下

今日中にできる限り投稿する。

理由は特にない。

「とにかく、ここの運転手さんの処遇は置いといて、俺たちが向かう戦場は自衛隊さんの精鋭が手こずっている相手だ。気を抜くなよ!」


「「「「「了解!」」」」」


 打てば響く返事が返ってきた。

 当たり前だ。

 こいつら四人は俺が実験室にいた頃からの仲間なのだから。

 彼らの実力は把握している。

 相手が何であれ、そうそう遅れを取らないだろう。

 まあ、

「わ、分かりました!」

 俺の視線の先には、一拍遅れた緊張した声。

 新品の制服を着た新人がいた。


 出撃前に上層部のゴリ押しな命令で参加した、新兵のトシアキだ。

 本当に出撃五分前に決まった事なので、能力は未知数。

 トシアキと言う名前と、狙撃ライフル持っているからスナイパーだろうということしか分からない。

 今のうちに声でも掛けておこうかと口を開きかけ、


『降下まで、後、五、四…………!!』


 ゴウンッ!


 パイロットの声を遮るように、機体が激しく揺れた。

 もちろん降下準備を始めた俺たちは、たいして広くない機内を転げまわる。

 シートベルトなんて高価なもんが、この機内に無いからだ。

 それでも何とか態勢を整えて、コクピットに向かい声を上げた。

「どうした⁉ おい、運転……」

 確認の声は途中で止まった。

 なぜなら、パイロットがいたはずのコクピットがゴッソリ無かったからだ。

 吹き飛ばされたコクピットからは、返事代わりに強風が流れ込み、機体は火花を散らして高度を落としていく。


「こりゃまた、豪勢なお出迎えだ」

 イスにしがみ付きながら苦笑した。

 この高度の輸送機の、しかもコクピットをピンポイントで狙ったとなると、ここには相当レベルの高い敵がいる。


「……集合場所はポイントデルタ! 油断するな!」

 その言葉だけで部隊が動き出した。

「え? これって……」

 のんびりした新人を除いて。

「おい新人。こっち来い! 俺が面倒見てやるから!」

「え? ええ!?」

 半笑いのタクミが蹴り破ったドアから新人を放り投げ、俺をチラリと見て。

「ほんじゃ、ポイントデルタで!」

 軽い調子のタクミが飛び降りたのを始めに、次々隊員が飛び降りていく。

「もしかしなくても、今回も負け戦か?」

 星一つ無い墨汁で塗りつぶしたような真っ暗な空から、俺は輝いては消える小さな光が幾つも点滅する大地に向い跳び下りた。


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