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41話 目覚めたロロと最強?幼女




ラーヴァの魔法により眠らされたロロをキリルが担ぐ事になった。「何故俺が…」とブツブツ言っていたが、これから先はフェンリルであるシリウスもそのままの大きさでは踏破出来ない為、人化してユウリを背負う事になったからだ。


「妾が主殿を抱いて走っても良いのだが…」


この先、街道へ出るには何度も街へ行っているラーヴァの案内が必要で先頭を走らなければならない為に却下されても諦め切れないらしい。


「いつまでもグダグダ言ってんなよ!とりあえず樹海を抜ける手前まで一気に走って、その辺りで野営だな。街道へ出るのは早朝の方が目立たなくて良いだろ?ユウリはしっかり掴まってろよ、行くぞ!」




ラーヴァの先導で樹海の中を走る。人化していてもフェンリルとドラゴンである。その走りは速く、ユウリは振り落とされ無い様にシリューにしがみついているだけで精一杯だ。ラーヴァやシリウスの強い【気】に恐れをなしたのか魔物を見かける事も無く野営予定の場所に着いた。




焚き火を囲み、ラーヴァが狩って来た兎を捌いて焼き始めた。兎といっても柴犬程もあり、それが二羽ともなれば充分な夕食だ。



「ところで、街へ行ってからの事だが正直俺はほとんど役に立たないと思う。俺が生きていた頃、冒険者ギルドも世界を巡るのに便利だからと若い頃登録だけはしたが、依頼を受けたり階級上げもしていなかった。金が無くなると剣の修行で魔物を狩ってギルドに売るぐらいだったからな。俺は冒険者というより傭兵に近かったし騎士を鍛えたり戦争へ駆り出されたりしていたんだ。だから市井の事はほとんど知らないと言って良い」


シリウスは生前剣の達人として名を馳せていたが、そういう人にありがちな世間一般の常識や市井の生活など興味なかったのだろう。


「ふ~ん、シリューって剣オタクのポンコツだったんだね」


「ポンコツ言うな!今から思えば反省はするが後悔は無い!ただ生きているうちに伝説の冒険者【深紅のラヴィ】と戦ってみたかったというのはある」


チラッとラーヴァを見たシリウスだが、ラーヴァは艶然と微笑んでいるだけだ。


「んんっ でだ、これからの事はラーヴァに頼るしか無い訳だがラーヴァ、樹海を抜けてから街まではどれくらいだ?」



「そうさの…ここから樹海を抜けて街道へ出たら馬車で半日、歩きで2日かの。じゃが此度は主殿がおるからの…3日は見た方が良い。余り目立ちたくは無いから昼間は樹海沿いに行った方が良いじゃろうな」


「なあ、コイツはどうするんだ?随分前から目が覚めているようだが?」


キリルが突然爆弾投下してきて、シリウス、ラーヴァ、ユウリの視線がキリルの横で転がっているロロに向けられた。


「ヒッ」


目を開けたロロはズズッと後ずさろうとしたがキリルの片足がロロの腹に乗り動けない。


「あらら…どうしよう?ロロ君だっけ?何時目が覚めたの?」


ユウリが困った様に苦笑しながらロロに聞くと、ロロは涙目で何とか喋ろうとするが声が出ないらしい。


「俺が担いで走っている途中で、コイツの身体が急に強ばったのを感じたからな。今までの話も全て聞かれているだろうな」


「…随分と早く目覚めたの?妾はそれなりに強く眠らせた筈じゃが…」


シリウスやラーヴァの強い気と視線でロロは呼吸さえままならない様子。


「ちょっと!シリューもラーヴァも抑えてよ!ロロ君が死んじゃう!」


「カハッ はあはあっ ゲホッゲホッ」


2人の殺気?が緩んだ事でやっと新鮮な空気を吸えたロロは盛大に噎せていたのでユウリはが水筒を渡すとゴクゴクと飲んで、やっと人心地が着いた様だ。



「それで…どうしよう?」


「殺るかえ?」


「殺すか?」


「捨てるか?」


ラーヴァ、キリルの発言に比べたらシリウスの「捨てる」発言が優しく聞こえる。


「待って待って!殺すダメ!捨てるもダメ!ちゃんと街まで一緒に連れて行くの!ロロ君の天命はここで終わらない筈なんだから‼」


「じゃが主殿の姿を見られておるしの…これ、ロロとやら、どこまで記憶があるのじゃ?正直に答えよ」


「は、はい。【竜の寝床】でドラゴンの鱗を探していたら突然空からフェンリルが現れて…話をしていたら眠くなったんです。目が覚めた時に誰かに担がれていました。俺…怖くてずっと眠った振りしていたんです。皆さんから凄く強い気を感じていて、その…フェンリルの気が今もここにあって、それと同じかそれ以上の気も…」


怯えながら答えるロロの言葉に気になる部分があったのでユウリが質問してみる。


「えっと、フェンリルの気配?そういうのって誰でも気付くの?それ以上の気配って?」


「俺は【危険察知】能力があって、強い魔物の気配を感じたり、その能力の派生で状態異常事態にも結構強いんです。だから…」


ロロはチラッとシリウスを見たがラーヴァの方へは視線も向けられないらしい。額からダラダラと汗が滴り落ちて顔色も悪い。


「そういう事か。だから途中で目が覚めてしまったんだね。で、フェンリルが誰かもバレていると…?更に強いのもここに居る事も、だね?」


「…そうか。なるべくなら殺りたくなかったんだがな、仕方ないか」


シリウスから一気に殺気が溢れ出す。生前は人間だったので出来るなら助けたかったのが秘密を知られてしまったのならば仕方ない。ユウリを守る為にもここで殺るしか無いのだ。




「イテッ‼何するんだユウリ⁉」


殺気を膨らませたシリウスを、食べ終わった兎の骨で思いきり殴りつけたユウリ。


「シリューってバカ?本当にバカね!」


ユウリに殴られた事で殺気が霧散したシリウスは頭を擦りながら座り直した。


「さっき言ったよね?ロロ君はここで死なない。街まで一緒に連れてくって!」


「じゃが主殿よ、このまま放っておく訳にもいかぬ。シリウスの事もじゃがフェンリルを殴りつける幼女など世界中探してもおらぬゆえなあクククッ…」


ラーヴァに言われてユウリは慌てて骨を棄てて、ロロの方を見た。


信じられ無い物を見たロロはポカンと口を開けたまま固まっていた。


「………」


「…あたちはユウリでしゅ!可愛い3歳の女の子でしゅ!」


…………

…………

…………

……………………


焚き火の中の木がパチンと音を立てた。


…………


「何か言ってよおおおっ!」

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