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35話 クッキーとことわざ

いつも拙作を読んで頂き感謝申し上げます。


GWは更新が遅くなりそうです。帰省してくる家族がいるため少々多忙になりそうなのです。

私事でご迷惑をおかけしまして申し訳ありません。

何とぞお見捨て無き様、お願い申し上げます。




神様の思惑がどのようなものか考えても判らないユウリは、懲りもせずにまたもレイラに頼る事にした。


「まあ待てよユウリ。お前も学習しないヤツだな。何かある度にレイラに連絡を取るとか、またアイツに怒られるぞ。基本的にアイツらはこの世界に不干渉なんだと言われていただろ」


「ううっ でもシリュー!」


「でも、じゃねえ。レイラだって忙しいんだ。それにアイツの事だから色々向こうで動いてくれていると思うぜ。幸い、期限は切られていないんだ。急いで結論を出す必要も無いだろ。それより良いのか?レイラが来るとまた街へ行くのが延

びるぞ?」


「えっ!それは嫌!」


「だが、妾は早く退位して主殿の側に侍りたい。次の竜王選定の為に三候に会いに行くつもりだったのじゃ」


「三候?」


「うむ。妾の他にも古えの血族が3人おってな。次代候補を何人か選びその中で竜王に相応しい者を決めるのが三候じゃ。実はその中の一人がこのパルドの祖父でな。孫を連れて行けば妾の話もすんなり聞いてくれると思うてな」


ウトウトしていたパルドだったが自分の名前が出た所で目を覚ました。キョロキョロと回りを見回し、自分が何処にいるのか判らない様子だ。


「くっ 可愛いいいっ!パルド寝ボケてるんだね?ここは私のお家だよ。ラーヴァさんと一緒に来たんだよ?思い出した?」


ハッとユウリの方を見たパルドは次にラーヴァ、シリウスを見て真っ赤になってしまった。初めてのお宅訪問で寝てしまった事に気付いて項垂れてしまった。


「いいのよパルド。初めて遠出して来たんだもの。疲れちゃったんだよね?あ!クッキーあるよ食べようか?ちょっと待っててね」


パタパタと台所に行き皆に見えないようにしゃがんで異空間収納からクッキーの缶を取り出した。少し考えてサラダ用の木製ボウルにクッキーをザラザラと開けて持って行く事にした。クッキー缶を見せるのは不味いかなと思ったからだ。



「ほう。これは主殿が作ったのかえ?素晴らしく見事な出来ばえじゃな」


色とりどりのドライフルーツが入ったクッキーや胡桃やアーモンドが入ったクッキーにラーヴァは目を見張った。パルドはひたすらクッキーを凝視している。視線の熱でクッキーが焦げてしまいそうだ。


「え?違う違う!貰い物なの。とにかく食べてみて。パルドにはミルク持って来たから飲んでね。ミルクとクッキーって合うのよ?」


貰い物と聞いてラーヴァは神様やレイラを想像したのか、じっとクッキーを見つめ、恭しく両手で捧げ持つ様にしたのでシリウスが笑いだし、それはユウリの世界の食べ物だと説明した。

ただ、ここでしか食べられない事、街へはユウリの世界の物は持ち込め無い事を話して他言無用を約束させた。


「そうか…これを売り出せば金などいくらでも儲かると思うたが、仕方ないの。では異界の味をいただこうかの。のうパル…」


パルドといえば既に1枚食べきり、2枚目に手を出していた。


呆気に取られていたのは一瞬で、すぐにラーヴァも手に持っていたクッキーを口に入れた。


「これは…バターがふんだんに使われておるな。そしてこの宝石の様にキラめく赤や黄色の物は…ベリーか!いや、それだけでは無いな。こちらには無い果物なのか…んんっ 美味いのじゃ!」


竜王という肩書きは何処へやら、ラーヴァは蕩けそうな笑顔でクッキーを食べている。ユウリは紅茶のおかわりを注いでやりながらクスッと笑ってしまった。


「お口に合ったようで何よりです。お土産にはあげられないけど、家に来てくれればいつでもお出ししますよ。他にもまだ色々お菓子はありますからね」


「なんと!この他にも美味い菓子があると⁉ああこれは1日も早く退位しなければならぬ!そして直ぐにでも主殿の側に侍らねばならぬ!」



お菓子につられて直ぐにでも退位してしまいそうな竜王ラーヴァ。

それで良いのか…





「ところで、街へ放逐するキリルはどうしてるんだ?」


一頻りクッキーを食べお茶を飲んで落ち着いた所でシリウスが切り出した。


「うむ。あやつは明け方に自ら戻って来ての、まあ戻る前に此方へ来たようじゃが、何も言わずに大人しく屋敷の結界牢に入っておる。何か思う所があったのか判らぬが『人間にこの地を治められるのは今も納得はしておりませんが、母上の決定に従います』と言っておったわ。最悪処刑されるというところまでは思い至ってはいない様じゃったがの。サラが後は任せろと言うので放って来たのじゃ。サラは妾が留守の時にキリルの世話をずっとしていたのでな、キリルは妾よりサラに懐いておるゆえサラの言葉ならば聞くじゃろう」


「そうか。じゃあキリルの人化が済んだら街へ行くか。ギルドで鱗を金に換えるのは頼むぞ。俺たち一文無しだからな」


「ああ任せておけ。妾もギルドには用があるしの。冒険者の中には竜人もおるしキリルの事もそやつらに見張らせるつもりなので依頼をするつもりじゃ」


「竜人?」


「ああユウリは知らないよな。竜人というのはドラゴンと人の間に出来た子の事だ。見た目は人間なんだが力が強いし魔力も高いからギルドでもランクが高い奴が多いな」


「えっ?ドラゴンと人間が結婚?子供も出来るの?」


「クククッ 主殿がどんな想像をしているか知らぬが、ドラゴンと人間でも子は出来るぞ。人化して人間達に紛れて生きている者もおるゆえな。そこでそういう仲になる者達もおるが、子を成すのは母親がドラゴンの場合のみじゃ。流石に人間の体でドラゴンを孕むのは無理じゃ。死んでしまうわ。故に夫が人間で妻が人化したドラゴンの夫婦のみが子を成す事が出来る。逆の夫婦もおるが子は作れぬ事を納得して夫婦となっておる」


「へ、へえ…さすが異世界だ」



「そやつらにそれとなくキリルの動向を見張って貰おうと思うてな。いきなり人間と仲良うせよと言うても反発するばかりであろうからの。先ずは竜人と上手く付き合って欲しいものじゃ」



「ラーヴァさん、やっぱりちゃんとお母さんなんだね。口ではキツい事言っててもそんなに心配して色々考えて。キリルにもラーヴァさんの思いがいつか判る様になると良いね!」


「そ、その様な事は無い!妾はただ人間になったキリルが主殿に迷惑を懸けてはいけないと思うて…」


うんうんと訳知り顔で頷きながらニコニコと笑うユウリにラーヴァは焦って言い募る。


「まあまあ落ち着けよラーヴァ。ユウリも大人をからかうな!それで結界通過の力の付与と竜王退位の件だがどうする?ラーヴァは直ぐにでも退位したそうだが私情が大分入っているしな…だが次代の成り手がいるのか?竜王には成りたいがこの地に引きこもりじゃなあ…」


「じゃが妾は今日からでも主殿の側に!」






せっかく街へ行く算段がつきそうだったのに、これ以上延びるのは嫌だし何よりまともな食事が遠退いてしまう!


「じゃあ問題は先送りで」


「良いのかえ?妾としては退位も含めて早めに解決したいのじゃが」


「良いの!私の生きていた世界ではね、国を纏める偉い人達がいつも使っている高度な政治テクニックなんだから!」


疑う様な視線を2方向から浴びながらユウリは言った。


「それにね私のいた世界には今の状況にピッタリな言葉が2つもあるの!」


「この状況にピッタリな言葉?」


「2つも有るのか?」


「うん!スッゴい名言なんだよ!教えてあげるね。1つ目は」


【待てば海路の日和有り】


「どういう意味じゃ?」


「んとね、今は波が荒れてて舟は出せないけれど、じっと待っていれば波も穏やかになって出航出来る日が来る、という事で焦らずに良い時を待とうって意味。似たような言葉で私の好きな言葉もあるの!【果報は寝て待て】って言うんだけど…」


「ああ、それなら判る。ホントにユウリの好きそうな言葉だな、と言うかユウリそのものを表している言葉だな」


「ちょっと!シリューひどくない?」


「それで、もう1つの言葉とはどういうものじゃ?」



ラーヴァの問いに、パルドの手を引いて椅子から飛び下り少し下がった。パルドに何か小声で言うと頷いたパルドは隣に並びユウリと同じ恰好した。




片手を腰にあて、もう片方は拳を握り突き上げながら、すぅぅっと息を吸い込みユウリは叫んだ




「いつ街へ行くの?今でしょ!」






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