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34話 神様の条件と子供のユウリ





ユウリを拐ったキリルへの罰は決まったが、それだけでは無いらしい。

シリウスが面白そうにユウリを見た。


「お楽しみはこれからだぜ?ユウリは街へ行きたいんだろう?」


「うん。この世界がどんな感じなのか知りたいし、今切実なのは食事かな。まともなご飯食べたい!」


「なんじゃ主殿は料理出来ぬのか?」


「この身長だと何にも出来ないんだもん!おっきくても出来ないけど…」


「ならば妾が作ろう。人間の中で暮らしていた事もあるから、こう見えても料理は出来るぞ」


「まあ、それは後でな。キリルを街へ連れて行く時に俺達も一緒に行こうと思うんだ。ドラゴンの鱗や牙なんてレア物をこんな若いヤツと幼児がギルドに持ち込んだらそれこそ命の危機だ。その点ラーヴァならランクSSSの【深紅のラビィ】だから何の問題も無い。俺達は弟妹って事にすれば良いんだ」



「じゃが、そもそもキリルは結界を通過出来るのかえ?」


「それは大丈夫だと思う。入れる時は悪意や疑念があると難しいけど、出るには簡単だよ。嫌いなら【出てけー!】って感じ?」


「それもそうか、追い出すのは簡単だな」


「ただねえ…【出てけっ!】って言うと、放り出す感じか投げ飛ばすイメージしか湧かないんだけど…危ないよ、ね?」



「……そうだな。あの崖から放り出されたら死ぬだろうな」


「ど、どうしよう!でもキリルに【行ってらっしゃい】とは言えないよ…」


「待て主殿よ、以前主殿は崖下と街道の近くに転移ポイントがあると言って無かったかえ?」


……………………


「「あ‼」」



レイラが設定してくれた転移ポイントは樹海の出口近く、街道に近い所にあるらしいので全員でそこまで転移して街を目指す事になった。キリルはどうするのか聞くと、人化を固定するには竜玉に呪をかけるので竜の力も制限されるので大したことは出来ないとの事。


「たとえ転移した瞬間逃げ出しても武器も無く竜の力も使えないのだから放っておけば良い。主殿に害を為そうとしても妾とシリウスがいるのじゃ、最強じゃろ?だが、出来れば大人しく街で冒険者登録して暮らして欲しいものじゃ」



キリルが冒険者として生きて行く中で良い仲間に廻り会えれば良いなと思った。理由も無く見下したりせずに人間を知って欲しい。そうすればいつかわだかまり無く話が出来る様になるかも知れない。

そうすればラーヴァも安心するだろう。内心では息子のキリルを心配しているのは誰から見てもバレバレである。



キリルの命を奪う事無く収めてくれたユウリの側にこれからも居ようと心に誓うラーヴァだった。



「フッ とりあえずこれで問題は1つ片付いたようじゃな。では妾からの話を聞いてくれぬか?」


「私もラーヴァさんに話、というか相談事があるの。後でいいから聞いてくれる?」


神様から言われた事をラーヴァに告げるのを迷っていたが、決めるのはラーヴァなのだから早めに話してしまおうと思った。




「此度はエスカ達を迎え入れてくれた事誠に感謝する。あの者達は初めての出産でな、早めに里に来たかった様じゃ。これからも帰郷の度に主殿の手を煩わしてしまうのが心苦しいがよろしく頼む。と言うても妾達ドラゴンは繁殖力が弱くての、1年に一度か二度、時に寄っては数年間誰も戻って来ない事もあるのじゃ。今回はあやつらが相談してこの時期に出産する様にしたので揃っての帰郷となった訳じゃ。

だからの、主殿の手を煩わせるのは、そんなに頻繁にある事では無いので安心して欲しい。主殿はそれが心配だったのだろう?妾達に縛られてしまうのでは無いかとな」


「そ、そうなの?実はラーヴァさんの言う通り、ちょっと不安だったの。私はこの世界を色々見たいと思っていて、それで…」


「済まなかったの。だが、そういう事だから主殿が留守をしても、そう困る事は無いのだ。外にいる女達に孕んだら早めに里に連絡せよと通達を出すゆえ、主殿の予定を聞いた上で帰郷させるのでな。主殿は自分の思う様に自由に見聞を広げて欲しい」


「ありがとうラーヴァさん。そうしてくれると私も助かるの!ね、シリュー?」


「ああそうだな。そういう事なら神さんの話は良いんじゃないか?」


「上つ方の話とは?」



「実はね、竜王様にも結界通過の力を付与しても良いって言うんだけど…」


「なんと⁉真か?それならば」


「ラ、ラーヴァさん落ち着いて!それには条件があってね」



そこでユウリはレイラから聞いた神様からの条件を話した。


竜王はこの地より出てはならない。

力を使える相手は孕んでいる雌に限られる。

ユウリと敵対したり傷つけた場合は子孫は残せない。つまり妊娠しないという事。必然的に里は滅びる。


「それくらいの事ならば容易い事じゃ。妾達里の者は主殿を決して傷つけぬと約束出来る」


「最後まで聞いて?これが1番重要なんだけど…」


当代竜王は退位し、新たな竜王を決めて里に迎える事。

当代竜王は退位後ユウリの僕として付き従う事。


ここまで話してユウリはそっとラーヴァを窺った。


目を瞑り黙って何かを考えていたラーヴァだったが溜め息を1つつくとユウリを真っ直ぐに見つめた。


「妾は少し甘く考えていた様じゃ。退位するのは良いのじゃ。妾もそう考えていたゆえ主殿の側に侍るのは願ったりなのじゃが…竜王がこの地より出られぬというのはの…妾は別に構わぬと軽く考えていたが、それはかなり難しい条件じゃと思い至った」


「どゆこと?」


「うむ…竜王が外へ出られぬという事は、外でドラゴン達に何かあっても…例えばドラゴン同士の揉め事や、人間との争いじゃな。この地に縛られてしまえば竜王として何も出来ぬ。それでは【竜王】としての存在意義が無いのじゃ。同族を助ける事が出来ぬのではもはや【竜王】とは呼べぬ」



「じゃあ神様の言った力の付与は要らないって事にしたら?1年に1回くらいなら喜んで私が協力するし?」


「そうもいかん。妾も最初はそれで良いと思うたが…主殿は人間じゃ。妾達と寿命が違う。主殿が天命を全うした後はどうなるのじゃ?結界は消えるのか?」



ラーヴァの言葉にユウリとシリウスも考えこんでしまった。ちなみにパルドはウトウトと舟を漕いでいた。


いったい神様の意図は何処にあるのか

いくら考えても判らない。判らない時はどうするか?


「レイラに聞いてみよう‼」


「はあっ?またお前は!」


「だってユウリ子供だからわかんないもん!」


「こんな時だけ子供ヅラすんなよ。単に面倒臭いだけだろ…」




面倒事は他人に丸投げがユウリの基本スタンスでありました。

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