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25話 面倒事と女優?


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読んで下さって本当にありがとうございます。




【変化の石】の素材が竜の逆鱗だと知ったシリウス。更にラーヴァが逆鱗を持って来れば【変化の石】を造ってくれると言うので喜んだシリウスは早速明日探しに行く事にした。シリウスはまだ魂がフェンリルに馴染んでいないので自力で人の姿になる訳にはいかないらしいのだが、元々生前は人間だったので人の姿になっていたいというのが心の底にはある様だ。


そんなシリウスの心の葛藤など知ったこっちゃ無いユウリはフェンリルのモフモフ愛好者なので、【変化の石】にさして興味は無いのであった。



「妾達ドラゴンやフェンリルが人化をしたいというのは理解出来るが、何故人間は【変化の石】を欲しがるのじゃろうな?人間は何に変化したいのであろ?」


ラーヴァのもっともな疑問に、そう言えばとユウリも首を傾げる。

ラーヴァ達ドラゴンやフェンリルのシリウスは街に行く為に人化するが、人間は何に変化して何をしたいんだろう?


「ああ、人間はなドラゴンになりたいのさ。昔どっかの国の王様が【変化の石】でドラゴンに変身して隣国に攻めこんだんだ。いきなりドラゴンが飛来してきた隣国は恐慌をきたして一夜にして陥落したらしい。そんな昔の夢をまだ見ている人間が、国家があるって事さ。バカバカしいだろ?」



「…ほんにバカバカしい話じゃの。人間が造った【変化の石】は姿形だけドラゴンに変化しても中身は人間じゃ。その人間の力量しか出せぬ事を知らなんだのかえ?」


「何だって⁉そりゃ本当か?そんな事知らねえぞ!じゃあどうやって昔の王様は隣国を陥したんだ?」


「多分隣国の自滅じゃろうなあ。いきなりドラゴンが王都の空を飛び回ったとしたら?期を同じくして敵軍が攻めこんだとしたら?」


「……そう言う事か!ん?じゃあラーヴァが造る【変化の石】は違うのか?」



「ふんっ当然じゃ。人間が造るまがい物と一緒にするでないわ。妾の石は完璧じゃ!ただのう…妾は自力で人化出来る故関係無いが、逆にも作用してしまうのじゃ」


「逆?どういう事だ?」


「人間がドラゴンに変化すればドラゴンの力を、逆にドラゴンが人間に変化すると人間並みの力しか出せぬのじゃよ」


「何だそれは⁉使えねえじゃねえか‼俺はユウリの護衛だぞっ!人間並みの力しか出せ……ん?俺は転生前は人間で、最強で、剣聖だった訳で…よし!無問題だな!ラーヴァ頼むぜっ完璧な石をな!」



「この駄犬が偉そうに…お主が役に立たずとも妾がおるゆえかまわぬわっ」



「お話終わった?お腹空いちゃったよお…サラさん冷たい飲みもの持って来てくれるって言ったのに遅いねえ」


緋色のクッションにもたれてユウリが情けない声を出した。シリウスとラーヴァが話している間ウトウトしていたユウリだったが、お腹がキューと鳴ったのを機に二人に話しかけた。



「そう言えば遅いの…どれ妾が見て来よう。ついでに何か摘まめる菓子でも持って来ようかの?」


ラーヴァがおどけて片目を瞑ってユウリを見てから部屋を出て行こうとした時、外の廊下から誰かが言い争う声が聞こえてきた。そしてバタバタと走る足音が近付いて部屋の前で止まった。すかさずシリウスはユウリの前に陣取り、ラーヴァに目で合図し臨戦態勢をとる。





バタンッ

大きな音を立てて乱暴に扉を開けたのは一人の少年だった。


「お待ち下さいキリル様!そちらはっ!」


サラが後ろから追い付き慌ててキリルと呼ばれた少年を引き止めようとしていたが、時すでに遅し。少年はつかつかとユウリの前、に立つシリウスと相対していた。



「人間ごときに尻尾を振る矮小なる犬め!そこをどけっ私は後ろの小娘に話があるのだ!」


「へーこっちには無いな。それともなにか?君はこんな幼い子が好みなのかな?いやあー人の恋路を邪魔するつもりは無いけど、もう少しこの子が大きくなるまで待っててねえ」


シリウスは後ろ足で耳を掻きながら少年をからかう。


「ずっと後をつけていたな?ロリコンでストーカーか?ああ嫌だ、親の顔が見てみたいぜ」


なおもシリウスの挑発は続いていたが、「親の…」の所で後ろにいたサラがヒクッと青ざめてチラッとラーヴァを見た。


「ち、ちょっとシリュー!やめなよっ私に話があるらしいからさ、ちょっと落ち着いて聞いてみようよ。それに…ラーヴァが、その…シリューヤバイよ?」


その間ずっと黙って少年とシリウスのやり取りを見ていたラーヴァだったが、今は目を瞑り何かをじっと耐えている様に見える。



「ええいっうるさい!さっきから私を侮辱し、更には母上まで!許さんぞ犬め!さっさとそこをどけっ!でないと力づくで叩きだしてやるぞ!」


「ほう?力づくでな?良いだろう礼儀知らすのストーカーロリコン少年はお仕置きが必要みたいだな…ッイテッ何すんだよユウリ!」


「いい加減にしなしゃいっ!シリューは『待て』でしゅ!」


「ユウリまで…俺は犬じゃねえって言ってるだろっ」


初対面の少年を前にしてユウリの噛みクセが再発してしまったが、それより暴走モード突入間近のシリウスを活動限界にして強制的にシンクロ率を下げなければならないミッションの方が大事だ。


「シリュー『伏せっ』そのまま『待て』でしゅ!」


ウウッと唸りながらもユウリの前から横へ移動して伏せるシリウス。



「えっと、初めましてユウリと言いましゅ、私に何かご用でしゅか?」



「何か用かだと?ああ、俺はお前に聞きたい事があるっ!お前はこの土地の所有者だと聞いたが本当か⁉」


「は、はい。そうでしゅ。よろしくお願い「ふざけるなっ!」」


「ふざけた事を言うなっ!人間ごときがっそれもお前みたいな子供がこの土地のっ、この竜の里がある土地の所有者などとっ‼無礼を通り越して我が竜族に対しての侮辱だっ!その命だけで許されると思うなっ!どうやってここまで上がって来たか知らぬがお前一人で来られる筈は無い。他にも汚らわしい人間が潜んでいるのだろう⁉全ての人間の命を刈り取ってやるっ‼」



あ、この人危ない人だっ。小説で出てくる貴族のボンボン的な?プライドが高くて人の話をいっさい聞かないタイプだ!一人で激昂して回りが見えなくて自滅するんだよね…

う~ん、どうしようか


パターン1 こちらも正論をかまして言い負かす。

パターン2 バカな振りしてキョトンとしてみる。

パターン3 ラーヴァの威を借りて逆切れしてみる。


どれも後々面倒な事になりそうだ。こういう人って後からツンデレさんに変身しちゃいそうだしなあ…



脳内でシミュレーションをしていると、無視されたと思ったたのか少年はユウリの肩を掴もうとして一歩前に出たところをシリウスに威嚇されている。

不思議なのは、この騒ぎの間ずっとラーヴァは黙って見ているだけで、何も言わず少年を諌める事もしない事だ。まるで何かを見極めるかのように、或いはただ面白がっているのか…。



要するに人間のユウリが竜の里を含むこの土地を所有するのが気に入らない、許せないと。竜族としてのプライドが傷つけられて怒っているのだ。


「だいたい人間がこの土地にいる事も、この里にいる事も、そしてこの竜王の屋敷にいる事が何より許せないっ‼とっとと出て行け‼屋敷を人間の血で穢す訳にもいかないからな、外に出てから殺してくれる!さあ さっさと出て行け!」



まだ動かないか…ユウリはチラリとラーヴァを見たが相変わらず黙ったままだが、気のせいか先程と違いラーヴァの目が細くなり怒りを抑えているようにも見える。


そろそろヤバいかも…

仕方ないな。



「 うっ、うえええ~ん! え~んえ~んっ」


突然泣き出したユウリにその場にいた一同はギョッとしてユウリの方を向いた。



「うわ~ん!お兄ちゃんが苛めりゅっ~怖いよおぉ え~んえ~ん ユウリ何もしてないのにぃ~うわ~ん!」


泣く子と何とかには勝てない、と昔から言われているようにユウリは今の自分を最大限に利用した。見た目3歳児の幼女に向かって激昂し殺してやると大声で怒鳴るのだ。思い切り力の限り泣いてやる!



「お、おい泣くなっ!な、泣いても許さないからな!泣くなったら!」


いきなり泣き出したユウリに驚いたキリルと呼ばれた少年は、先程までの怒りを忘れオロオロし始めた。



「ひっくっ ユウリ知らないもん。神しゃまが言ったんだもん!ユウリに言わないで神しゃまに言ってよお!ここにいりゅのもラーヴァしゃんに連れて来て貰ったんだもん、ラーヴァしゃんが連れて来たんだもんユウリは悪く無いもん!ラーヴァしゃんに言ってよお うえ~ん!」



思いっきり他人に丸投げしてやった!

妙に白けた部屋の中で、呆れた冷たい視線を2方向から感じたが気が付かない振りをした3歳幼女は(私は女優よっ)見事に演じきったのであった。

…あ~スニ〇〇〇ズ食べたい!

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