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20話: 犬とラーヴァの老婆心







ラーヴァはフェンリルであるシリウスを引きずって、森の中程まで歩いて来るとシリウスを投げ捨てて言った。



「さて、話して貰おうかの」


「…何をだ」


「全てじゃ。そうさな、先ずはお主の事からにしようか。お主は何者ぞ?表層は確かにフェンリルじゃが中の魂は人間の物のようじゃ。それも妾が知っておる人間の匂いがするし、そのフェンリルの姿も何やら見覚えがあるしの」


黙ってラーヴァを睨んでいたシリウスだったが、溜め息を1つ吐くと渋々話始めた。



「…確かに俺は元人間だ。俺が生きていた時に一度だけあんたとも会った事がある。ある国との戦いの最中に突然乱入してきたドラゴンを倒した時だ。相討ち覚悟で何とか勝ったが俺もぼろぼろでもう腕も上がらず剣も握れない状態だった。そんな時にもう一匹ドラゴンがこっちに向かって来てると報告があってな。

一匹でもやっとの事で倒したのにもう一匹かよって笑っちまったな。相棒のコイツが俺の前で踏ん張っていたが、コイツも戦える状態じゃなかった。

ここでコイツと逝くのも良いかと覚悟しながら近付いて来るドラゴンを眺めていたのさ。そしたらそのドラゴンは俺が倒したドラゴンに向かってブレスを吐いて焼き尽くすと飛び去って行ったんだ。あれは、あのドラゴンはあんただろう?深い深い赤、黒に近い紅色のドラゴン…夢のように美しかったぜ」



「クククッ素直な犬は良い犬じゃ。やはりあの時の人間じゃったか。ただ一人のドラゴンスレイヤーよ。良かろう先ほどの無礼は忘れてやろう。じゃが何故今その様な姿になっておる?」



「ああこれか…あれから俺は貴族どもや国同志の争いに嫌気がさして、適当に旅をしているうちに寿命を迎えてな。コイツも俺が逝く時に一緒に逝ったんだよ。


そこで魂の管理者とかいう奴に頼まれたのさ。異世界からこっちに転生してくる魂の護衛をしてくれとな。で受けたんだが生前の姿じゃ不味いって言うことでコイツの、一緒に死んでくれた俺の相棒フェンリルに魂を入れて貰ったという訳さ」



「ふむ…ではお主人間の姿になれるのかえ?」


そう聞かれたシリウスは気まずそうに目を逸らしながら答えた。


「なれるが、今はなれない」


「ほう?何故なれないのじゃ?」


「それは…フェンリルのままじゃあの家に入れないじゃないか!俺はその…フェンリルとして転生したばかりで、まだ上手く魔力が練れないんだ。だから自力では大きさを自在に変えられなかったんだよ。それで人間の姿でユウリに会って、そのまま暮らし始めたんだがレイラに、魂の管理官の女に言われたんだ。人間の魂をフェンリルに馴染ませるために1か月は人間の姿になるなと。その代わりに小型化を教えて貰ったんだ」


「で、あのユウリという幼子は何故この世界に来たのじゃ?何故あの様な子供がこの土地の所有者として認められたのじゃ?」


「俺の話は無視か⁉恥ずかしい話させやがって華麗にスルーかよっ ああもうっ最初からそれを聞きたかったんだろうっ畜生‼」



「ほほっ その様な事は無いがの。最強のドラゴンスレイヤーが童女のペットになっているなどという面白い事は滅多に無いのでのう、妾もまさかと思ったゆえ確認したまでじゃ」


「ペットじゃねえって言ってるだろ!」


「言ったぞ?お主が自分で言うたではないか、『ただのペットとして添い寝しただけだ』とな」


「あ、あれは、その…疚しい気持ちが無いと言う事を言いたかっただけで、俺は護衛であって断じてペットでは無いっ更に言うが俺は犬でも無いからな‼」



「それで、妾はいつまでこのくだらない話に付き合えばよいのか?そろそろ話して貰おうかの」


「はあぁ やっぱり誤魔化されてはくれねえか…わかったよユウリの事だな?だが俺も大して知らないぞ?」


そう言うとシリウスはユウリが転生してきた理由を話始めた。


本当はこの世界に召喚されるのはユウリの双子の姉だったのだが、魂の管理官が間違ってユウリの魂を持って来てしまった。

こっちの神さんに頼んで何とか転生の許可を貰ったのだが、予定外の転生魂なのだからこの世界では目立たずに人間との関わりも極力避ける様に言われて、この土地で生きていく事になったらしい事。



「で、管理官の間違いというか手違いというか、まあ大ポカの失態を誤魔化す為か詫びのつもりか知らないが、所有権をもぎ取って来たり俺に依頼をしてきたりした訳だ」



「それでユウリは納得してるのかえ?あんな幼い子がお主がいるとはいえ、こんな山の上でずっと暮らして行くのは辛かろう?」



「まあな。だがユウリも静かにのんびり暮らしたいと言ってたらしいし、別に街へ行ってはダメって訳じゃねえんだ。ただ人間と親しくなるなと言われているだけだしな。それにユウリの生きていた世界にはドラゴンもフェンリルも魔物さえ居なかったそうだ。そしてな驚くなよ、魔法も無いし剣で戦うなんて歴史書の中の話だそうだ。ユウリの暮らしていた国じゃ剣はおろか細工ナイフを持っているだけで捕まる事もあるそうだぜ、信じられるか?

そんな平和な世界から来たんだ。下の樹海どころか街ん中でもすぐに死んじまうぜ」



そこまで話すとシリウスはラーヴァを見上げた。



「だからな、ユウリを警戒する必要も無いし、この場所の事を誰かに話す心配もしなくて良い。あんたが知りたかったのはソコだろ?」



「ふんっ 別にあの様な子供一人を警戒していた訳では無いわ。ただ尋常では無い魔力を持たせてここへ転生させた誰かの思惑を知りたかっただけじゃ。お主の話で全て納得した訳では無いが、しばし様子を見る事にしよう。この世界に転生した理由もなかなか不憫であるしの。じゃがあの魔力量は不安ではある…」



「その点に関してはなあ…俺は剣は教えられるが魔法については不得手なんだよ。そうだ!あんたが教えてやってくれよ。あんたならあの魔力の制御法や魔法の使い方も教えてやれるだろ?」


「ふむ、そうじゃな。妾が教えれば暴発暴走する事も無かろうが…考えても良い」



そこで、ふと森に目をやったラーヴァはシリウスを見てニヤリと笑った。



「さて、だいぶ時間をくってしまった。ユウリが待ちわびているだろうて。ところでお主はアプチェの木がどこに有るかしっておるか?」


「あ?ああ獲物を狩るのに森の中を走り回ったからな、だいたいの場所は判るぜ。そうだな、ここから西へ行けばすぐに見つかるだろう」



「そうか。妾は大事な事を忘れておってな。ユウリに駄犬の躾をしてやると約束したゆえ、な?」


そう言うと手ごろな小石を拾って、西に向かって放り投げた。




「今日の躾はこれじゃ。ほ~ら!取って来~い‼」


「なっ⁉」


放り投げられた小石を目で追いかけ、ラーヴァの意図を悟りアプチェをユウリに食べさせてやりたいとシリウスも思い走り出したが叫ばずにはいられなかった。



「俺は犬じゃねええぇぇっっ‼」



まあ話が進まない進まない!何時になったら馬車が襲われている場面とかゴロツキに絡まれる場面とか書けるんだろう…

題名詐欺にならない様に早くプラグ立てたい…

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