16話: フェンリルとドラゴンと3歳児
お読み下さってありがとうございます!
文調がコロコロ変わって読みにくいかと思いますが、作者も悩んでおります。文調もストーリーも何処へ向かっているのか落ち着くまで暫くかかるかと思います。
暗中模索、試行錯誤の駄文を何とぞ生暖かい目と広い心で見てやって下さい。
私ユウリ3歳女児です。
ただ今異世界に転生した事実を改めて実感しているところです。
16歳男子だったのが気がつけば3歳幼女に転生し異世界ファンタジーに突っ込まれ、ファンタジー小説で双璧を成すフェンリルと出逢いモフモフを堪能し、いつかは双璧の片割れドラゴンと逢えたら良いなあ…と思っていた時もありました。
甘かった!ええもう角砂糖をハチミツコーティングしたよりも甘かった!シリューには悪いけれど、フェンリルがマメシバに見えるわ。
私をくわえて後退りしたシリューだけれど、それが出来ただけでも凄い。さすがフェンリルといったところでしょうか。逆にそれが精一杯で、ドラゴンがこちらに近付いて来るのに私達はそれ以上動く事が出来ないのです。情けないと思われる事無かれ。私達はドラゴンから発せられる威圧感に硬直してしまったのです。
人間て、混乱と恐怖がテッペン越えると逆に冷静になり、自分の置かれた状況を他人事の様に解説するのですね。初めて知ったわ‼
いつの間にかシリューは元の大きさに戻っていてドラゴンに向かって「グゥルルオオッ」と精一杯威嚇していますが、人間諦めが肝心ですよ?ああフェンリルでしたね。
私は目の前に来たドラゴンから目を逸らす事も出来ずに、ただただ宝玉の様な碧の瞳に絡み捕られていました。
『そこなフェンリルよ、その様に怯えずとも良い。妾はただそちらの童女に聞きたい事が有るだけの事ゆえな』
紅のドラゴンが顔を近づけて来た、ただそれだけで全身が硬直してしまい、悪夢再び高性能パンツ大活躍です…『くっころ』名セリフが出そうになりました。
「…何の用だ。こいつはただの子供だ。好奇心で御身を覗いていた事は俺が代わりに詫びる。だから頼むそれ以上近づかないでくれ。こいつがもたない」
シリューは必死に私を守ろうとしてくれている。私の命も尊厳も…バレてるね。
『おお、これは済まぬ。脅かすつもりは無かったのじゃ許されよ。この土地の主が現れたと聞いたのでな、まずは挨拶をと思うたまでじゃ。妾だけで来るつもりだったのだがオマケがいつの間にか付いて来たのでな。ここで暫し休もうと思っていたところにお主らが現れたのじゃ。決して害を成そうとは思うておらん』
「そうか…だがこちらは御身が来るとは聞いていない。ドラゴンが突然目の前に現れたら人の身にはかなりの負担になる。場合によっては心の臓が止まる程の衝撃だ。その証拠にこいつは今「アアアー」」
シリュー何を言おうとしてたの?ねえ私の尊厳は?
思わず声を出してしまった私は間違っていない!たとえ上位のドラゴンとフェンリルの会話の中だとしても!
『くくっ 成る程これは妾が不調法であったな。では改めて訪うとしよう。そうじゃな3日後に童女殿の屋敷に参る事にしよう。童女殿驚かせて済まなんだな、その、気に病むで無いぞ?』
うう…ドラゴンさんにもバレてる!そして慰められてる⁉
一言もドラゴンさんに声をかける事も出来ないまま呆然としている私を置いてきぼりにして紅のドラゴンさんは去って行った。その後を追う子ドラゴンは一瞬私を見てから飛び立って行った。…なんか睨まれた気がするけど気のせいだよね。
「っフウゥゥ 寿命が縮んだぞユウリ!敵意が無かったから良かったものの、さすがにお前を守りながら戦うのは俺でもキツい。はあ~疲れたっ‼」
シリューはずっと緊張して気を張っていたのだろう。息を大きく吐き出すと倒れ込んでしまった。
「ご、ごめんなさいシリュー、大丈夫?でも私どうしても見たかったの…」
倒れ込んだシリューに抱きついて泣き出した私を優しく尻尾で撫でてくれた。
シリューが命懸けで私を守ろうとしている時に私は恐怖もあったけれどドラゴンの美しさに圧倒されていたなんて…本当にごめんっ
「ねえシリュー、あのドラゴンさんは3日後に家に来るって言ってたよね?挨拶って誰に?レイラかな?」
「いやお前にだと思うぞ。この土地の主にと言っていたからな。確かレイラがこの辺りの大物に通達済みだとか言ってなかったか?」
…そう言えば神様が竜王とか精霊王とかにこの土地の所有者として通達したとか何とかレイラが言ってた気がする。
「ええっどうしようシリュー‼ドラゴンさんをどうやっておもてなししたら良いのか解らないよぉっ 何が好きかな、やっぱり肉かな?でもドラゴンさんが食べる量ってどれくらい必要なの⁉他には?ああ大変!家の中にはドラゴンさんは入れないよね⁉庭にテーブル出して…ってドラゴンさんが座れる椅子を作らないとっ!いやそもそもドラゴンさんは椅子に座れるの⁉とりあえずシリューはお肉を沢山用意して」
「落ち着けユウリ。ただ挨拶にくるだけだ。アイツらも自分たちの産卵場所であるこの土地の所有者がどんな奴か気になったのだろう。ユウリを見て自分達に有害な人間じゃないと理解すれば帰るさ。むしろ俺か…」
何故か黙り込んでしまったシリューだが、私はそれどころじゃない。私はドラゴンさんに敵認定されない様にしなければならない。一瞬レイラとレインの顔が浮かんだけれどレイラに釘を刺されていた事を思いだして諦めた。
さっきの突発的出逢いで私はドラゴンさんにどう見られただろう。私は何にもしてないし言ってないから印象は悪くもないと思うけれど…良くも無いよね。だってお〇〇しちゃったのバレていたみたいだし…今さらながらこの3歳児の体が恨めしいっ!この体じゃ無かったら、16歳の体だったらお〇〇しなんてしなかったのに!まだ膀胱がしっかり発達していない幼児だからなんだから、大人の体なら絶対っ、絶対にしなかったんだから‼
自分自身に言い訳して自己弁護してどうする私!今はどうやってドラゴンさんに好印象を持って貰えるか考えなくちゃっ!好印象を持って貰えればドラゴンさんに触れる事も出来るかも、もしかしたら背中に乗せて貰えたりしてゲフンゲフン
下心に鍵をかけて、とにかく3日後の事よ!シリューはああ言ってたけど、やっぱりおもてなしはしなくちゃ!
そうよ元日本人の名にかけて、精一杯の事をするのよっ
お・も・て・な・し‼