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12話:部屋とトイレと私



冒険行く行く詐欺でした。もう少しおうちの中でドタバタします




「つっ ユウリてめえなぁ…転びそうなのを助けた俺にこれはないだろう⁉」


シリューはある場所を押さえて僕を睨む。


「だってシリューが笑うから悪いんだ。それに…ソコに当たったのは不可抗力です。僕幼女だからね、頭の位置がソコだっただけだよ」


僕は目を逸らして知らん顔した。前世で男だったから痛みは解るけど、今は痛みのモトを無くしたんだから今世では永遠に理解出来ない痛みだろうな

ハハ…思い出したら悲しくなってきたよ


「…そうか、ユウリは幼女だったな。ならその『僕』という言い方は止めろ。そして女の子らしい話し方をするべきだな。俺はユウリの指導も任されているからな、これからキッチリ指導してやろう」


「ええー!ひどいよシリュー!別に良いじゃないか僕が『僕』って言ったって。ここには僕とシリューしかいないんだし!」


「じゃあユウリはずっとここに引きこもるのか?街へ行ってみたいと思わないのか?街へ行ったユウリがその容姿で『僕』なんて言ったら変な目で見られるぞ?良いのか?」


うう…やぶ蛇だ。ちょっとシリューにイジワルしただけなのに何でこんな展開になるかなあ…


「わ、わかったよ…わ?でもシリューだってまだジジ臭さが抜けてないじゃないか!それ、その仕草がイヤらしいジジイっぽいよ‼」


顎を擦りながらニヤニヤ笑うシリューは、若くてイケメンなだけにその仕草との事ギャップが激しい。


顎から手を離したシリューは固まってしまった


「イヤらしいって…」


「うんとっても!イヤらしいエロジジイみたいだよ。だからぼ、ワタシもシリューが若者らしくなるようにキッチリ指導してあげるわ」


逆襲のユウリ、なんちゃって。




ひとしきりお互いの指導方針について話し合った後、ぼ、ワタシ達は2階へ移動したのでした。





「ぼ、ワタシもレイラから軽く説明されただけで全部は見てないんだけど、1階はあの広間と台所の他に部屋が2つあるみたい。2階の部屋は4つ有るけど1番奥の右側が図書室兼書斎で向かいがワタシの部屋。シリューはどの部屋にする?」


「そうだな、ユウリの隣の部屋にしよう。同じ階の方が何かあっても対処しやすいからな」


何かってナニ?


「この家はレイラが建ててくれて外観は凄く好みなんだけど室内はレイラのイメージが適当だったみたいで何も無いんだ、のよ?」


うう女の子言葉面倒臭い!


「ベッドが有れば良いさ。しかしユウリの部屋も同じなのか?」


自分の部屋を見回して振り向いた。木のベッドと机だけがある部屋は素朴と言えば聞こえは良いけど、質素というかぶっちゃけ粗末な部屋だ。

シリューは少し苦い顔をしている。



「うん、同じだけど大丈夫なの!教えてあげるから来て!」


あの異空間部屋をシリューに見せたくて、見た時の反応が楽しみでシリューの手を引いて自分の部屋の前に来た。

左手でシリューの手を握ったまま右手でドアノブを回す。


「ただいま!」


ドアを開けて異空間部屋にシリューと入った。

リビングのソファーに二人で座ると、シリューの顔を覗き込んだ。


「どう?驚いたでしょ?ここはワタシが生きていた時に暮らしていた部屋なんだよ。僕は、ううんワタシ達の世界は綺麗好きな人が多くてワタシも毎日お風呂に入りたかったしトイレも水で流して乾燥もしてくれるの。この世界はお風呂が無いのが普通でトイレも綺麗じゃないって聞いたからレイラにお願いして異空間に生前の生活環境をコピーして貰ったんだ。だから外の部屋が質素でも気にならないの。食物もあるし食べても減らないんだって。えっと劣化防止と復元の魔法がかかっているから腐らないし使った物は次の日には戻ってるんだって!

シリューもここで一緒に暮らさない?」



ワタシの話を黙って聞いていたシリューは眉間に皺を寄せ首を振った。


「一つ聞きたいんだが、この空間の時間はどうなっている?」


「えっそれは…その、外の時間とは違っていてここにいる時間は外では止まっているけど…」


「やはりな。ここは空間魔法で創ったマジックルームというか冒険者が使うマジックバックと同じ理で出来ているんだろう。ユウリはここで過ごす弊害を知っているのか?」


「弊害…うん レイラが言ってたから。自分の時間が長くなって成長が遅くなるって」


「それでもここで寝泊まりしたいのか?夜寝て目覚めた時に外はまだ夜のままだ。いつまでたっても新しい朝は来ないぞ。悪いが俺はごめんだ。粗末な木のベッドでも、目が覚めた時に朝日が上る景色を見たいし、雨の音を聞いて目覚めたい。

なあユウリ、せっかく新しい命で新しい世界を生きるんだ。こんな空間にいるのは勿体ないじゃないか。色んな経験をして少しずつ慣れていけば良いと思う。それにユウリは小さいままで良いのか?ん?」


黙って俯いてしまった僕の髪を撫でながら、シリューは静かに話をする。

僕だって判ってた。1日八時間ここにいる事が出来るけれど、ずっとそんな事は出来ない、しちゃいけないって。でもここは僕の……


「でも、ここは僕が生きていた世界の部屋なんだよ!レイラに大分減らされちゃったけど僕の生きてた……ヒクッウウッ」


泣き出してしまった僕をシリューは膝に乗せて背中を撫でる。


「そうか、ここはユウリの思い出が溢れているんだな、だけどここに依存し過ぎてはいけない事も判っているんだよな。

なあユウリ、寂しければ俺が一緒に寝てやるから夜だけは外の部屋で寝ないか?でないとユウリが起きた時、俺はこれから寝る時間なんだって事になるんだぞ?俺が寝ている間、ユウリは朝まで一人で何するんだ?」



…言われて初めて気がついた!そうだよね、ここで寝たらシリューとの時間がずれちゃうんだ。シリューの事だからきっと、夜中僕が一人で起きていたら寝たりはしないんだろうな。

ああ僕ってバカだなあ…シリューと一緒に生活するの楽しみだったじゃないか。

ホント自分勝手な奴だな…


「ヒクッご、ごめんなさいっ 僕、ううん私が我儘だった!お外の部屋で寝るからシリュー一緒にいてくれる?固いベッドでもお布団ふかふかじゃなくても我慢するから…でも、あの…トイレとお風呂だけはここでさせて欲しいって思うの」


ベッドは我慢する。でもでもやっぱりトイレは無理!………そういえば外の家にトイレってあった?



...どうしようシリューのトイレ無いじゃん‼

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