表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欲しいものは  作者: 郁哉
5/13

優しさが辛い

本本本本…机の上には大量の本が置かれている。確かに勉強したいと言ったけどこんなるとは思わなかった。どうやら花嫁さん修行をすると捉えられたらしい。家庭教師やマナー講師も呼ばれている。私はどちらかと言えば余り勉強が好きな方でもないし読書家でもない。


勉強したいなんて言わなきゃ良かった。が、すでに遅い。みんなすごく喜んでる。すごい笑顔でこっち見てる。


「流石です。巫子様!もう、巫子としての意識をお持ちとは!」


ほらこんなと言う。やっぱりやめますとは言えない。だけどちゃんとこの世界や国についての知識はついた。


ウィルド帝国。この世界の列強の1つであり多くの魔法使いを抱えている。貴族と平民の階級制度がある。あまり隣国と仲はよろしくないらしくいざこざも絶えない。

また何百年に一度異世界から巫子を召喚している。巫子の召喚は難しく事故も多い。だか確実に国を安定に導けるのでこの国の人は巫子を切望している。皇帝の支持率にも繋がる。


「一人の犠牲はみんなの幸せか…」


崇められてる分犠牲というと違うのかもしれないけどやはり気分は良くない。誘拐当然のことをされている。


「巫子様、お勉強ははかどっていますか?甘いものをお持ちいたしました。」


エドラさんがお菓子を持ってきてくれた。ここにきて良かったことはお菓子が美味しいことだ。それにエドラさんの淹れてくれるお茶もとても美味しい。このおかげで私は落ち着いていられるんだと思う。


「ありがとうございます。エドラさんの淹れてくれるお茶とっても美味しです。」


「身にあまる光栄です。」


優雅な立ち振る舞いに惚れ惚れする。歳は私の母と変わらないくらいだ。でもすらっとして軽やかな動きは貴族なんだと改めて実感させられる。いいな〜淑女って感じ。私には真似できなそうだ。


「お勉強は順調ですか、巫子様。」


「げ、フェリクスさん…」


せっかくいい気分だったのに…見たくない顔が…


「今ちょうど休憩中でして…」

だから早く出てけとは言えない。


「あまり無理をなさらないでくださいね。無理をして体調を崩されると今後の予定に差し支えが出ますので。」


労られてるのか嫌味を言われてるのどっちなんだろうか。


「机に向かっているだけでは退屈でしょう、どうでしょうダンスの練習もされては」


「まぁ、素敵」


ダンス?体を動かしたりするのは好きだからその提案は嬉しいけどこの場合ダンスとは私が踊ったことのあるダンスではない。社交ダンスの部類に違いない。


「分かりました。」


「おや、聞き分けのいいようで」


いや、やれやワレって顔で見てますよ。



一通りのレッスンを受けてみたが軽く汗をかけて楽しかった。


「巫子様はダンスが上手ですね。」


「体を動かすのは好きなんです。」


「まぁ、やっぱり宰相様の考えは当たっていたんですね。」


宰相?どういうことですかエドラさん。


エドラさんが言うには突然勉強を始め周りは喜んでいるがフェリクスさんだけは、彼女はそんなこと好かないでしょう。ストレスが溜まり体を壊すのは目に見えてます。ダンスでもやらせれば疲れて落ち着くでしょう。

とのこと。見透かされていたとは、


「パーティーまで大人しくしてろってことですかね。」


「きっと宰相様なりの優しさですわ。」


確かに彼のおかげで良い気分転換になった。フェリクスさんが良い人なの悪い人なのだろか。

でもみんなは私に良くしてくれる。それは私が巫子だからでもあるが優しくしてくれる人たちを悪くは思えない。


いやいや、ダメでしょ、絆されちゃ。私を勝手に連れてきた人だよ、皇太子と結婚しろとかいう人たちだよ。


皇太子に会えばこの気持ちはなくなるだろう。はっきり言うんだあなたとは結婚出来ないと。

あともう勉強は止めよう。














評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ