表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欲しいものは  作者: 郁哉
3/13

勉強させてください

部屋に連れて行かれた後、私は宰相のフェリクスさんから詳しい説明を受けた。私は巫子として召喚され皇太子と結婚しこの国を繁栄させる役目があるらしい。それが巫子の一番の務めであり、他にも祈りだとかいろいろあるらしい。


「結婚以外の巫子の務めはします。」

結婚とか冗談じゃない私はまだ18だ。それに皇太子と言えど知らない相手と結婚なんで無理だ。


「結婚が大事なのです。子を成し巫子の力を持った子が王になりこの国を治める。これが我々が求めることなのです。」


こんなやり取りが数回続いた。しかも元の世界には帰れないらしい。


「結婚なんて嫌です。なんで私がそんなことなきゃいけないんですか!」


怒りと涙が混じる。家族に会いたい。友達に会いたい。元の世界に帰りたい。そう思うばかりだった。

宰相は何やら忙しそうに出て行ってしまった。彼がいなくなると涙が止まらなくなった。


「巫子様、目が腫れてしまいますよ。お使いください。」


女官長のエドラさんがハンカチを差し出してくれた。ここに来てから側にいてくれる。わたしのお世話係りだ。


「ありがとうございます。私これからどうなんですか」


エドラさんはこれから私のお披露目パーティーがあると言った。それは皇太子との婚約披露パーティーでもあるらしい。


「皇太子様は今地方を訪問しております。帰ってくるのは3日後、パーティーはその2日後のことです。」


皇太子…どんな人だろう。結婚を断る最後の望み。出来れば話のわかる人ならいいな。侍女や女官たちの話から察すると人望はあるらしい。しかし問題がある。皇太子は私が召喚されたことを知らないらしい。どうやら王様が勝手にやったことだ。皇太子はどんな反応をするだろう、帰ってきたら父親が勝手にお嫁さん召喚していたなんて。私なら怒る。皇太子からはいい噂をよく耳にしたが流石にこんな事されたら怒るだろう。怒りが私にも向けられることは避けられることはないはずだ。ハッピーエンドには程遠い結末は目に見えてる。どうする私。逃げようにも一日中私の周りには誰かしらいる。逃亡は不可能だ。柔道経験者だが堅いのいい騎士や兵士たちを一気に相手するほどの力もない。どうすれば…まだ私はここについて知らないことが多すぎる。まずは敵を知るべきだ。


「あのエドラさん…」


「なんでしょう」


勉強させて下さい。



読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ