第二話、私?俺?
どうしようか…これから自由時間だしとりあえず学校まわってみるか。そんなことを考えながら歩いていた。
「ねぇ。君!僕と一緒に学校まわらない?」
声がしたほうに振り向くと私より背が低い男の子が立っていた。ちなみに私は身長167センチだ。男の子の髪は茶色くて肩に届くか届かないかぐらいの長さだ。
そして…かなりの美形。
「えっ?わたあ゛ー俺と?」
危ない危ない私なんて言ったら女子ってバレてしまう。
「うん♪ダメかな?一人だと寂しくてさ」
かっ可愛い!なんて可愛い子なんだ!
男子ってやたらかっこつけるし、バカだし、キモいって思ってたけどこの子は違うなぁ〜
「全然いいよ(ニコッ)俺の名前は高杉 光君は?」
こういう時自分の名前っていいな男女どっちも使えるし♪
「僕は絛 由季由季って呼んでよ。光くん」
絛…どっかで聞いたことがあるような…まっいいか。
「あぁ。由季よろしく。俺のことはヒカって呼んでよ」
ちょっとかっこつけた言い方をしてみる。一回こういうのやってみたかったんだよね〜
「うん。ヒカ部活見に行かない?今やってるらしいんだ!」
部活かぁ…運動部だと男子のレベルについていけないだろうな…でも、私サッカーやりたいんだよね…とりあえず見てみるか!
「いいよ。じゃあ先に由季が見たい部活に行こうか。」
着くとそこはさっきまで入学式をしていた体育館だった。
バスケとバレーをしている。
「君達バスケやらない?」
いかにも人が良さそうなバスケ部の人が話しかけてきた。
「僕はやるけどヒカどうする?」
「ん…俺は見てるよ(ニコッ)」
こんなこと思うの失礼だけど由季大丈夫かなぁ…?だって身長私より低いし。
そんなことを考えていたらピーッと音がなり、ミニゲームスタート!
「はいパス。」
由季にボールが回る。由季をなめてんのかディフェンス甘い。こういうの見てるとイライラする。真剣にやれよ!さっき声をかけてくれた人は真剣にやってくれてる。いい人だなぁ。
ドリブルをしていた由季の足がいきなり止まる。
「ディフェンスの先輩方僕をなめてるととんでもないことになりますよ」
ニコォっと由季が笑いボールを床に叩きつけた。そしてゴールまで全力で走る。最初バカにしていた人達は笑っていた。でも、すぐに笑えない状況になる。
ボールがゴール付近に落ちてきた!由季は全力でジャンプして空中でボールを拾いそのままダンクした!すごいジャンプ力だ…私より背低いのに…
ん?この光景どっかで見た……!
わかった!去年テレビで見た全国大会で優勝した学校にいたすごい高くジャンプするやつ!あれは由季だったのか!それに絛といえば絛グループじゃないか!やっと思い出した!
「ヒカヒカ!」
名前を呼ばれたので考え事をやめ、由季を見ると嬉しそうにピースしていた。
かっ可愛い〜♪
なんて可愛いんだ!
「君ぜひ入ってよ!」
由季はさっきの先輩に呼ばれ入部届けを書いている。
「お待たせ〜」
小走りで由季がきた。少し疲れたようで息が荒い。
「由季ってあの全国優勝したチームにいたよね?それにひよっとして絛グループの跡継ぎ?」
「よくわかったね!でもね、跡継ぎではないんだ。お兄様が跡継ぐから。僕バスケで世界に挑戦したいんだぁ〜」
「そっか…じゃあ次はサッカー部見に行っていいかな?」
「うん。いいよ」
私と由季はグラウンドに向かった。
「おらおら走れ走れ!」
サッカー部に着くとランニングの真っ最中だった。
顧問の先生熱血ぽいなぁ〜
「あ!お兄様〜」
由季がパタパタと手を振る先にはかなり美形の男子がいた。由季に比べ身長が高くかっこいい系だ。モテそうな人だなぁ〜
「おぉ由季お前どうせバスケなのになんでサッカー部に来たんだ?」
「友達がサッカー部入りたいらしくてさついてきたんだ」
仲良し兄弟だなぁとほのぼのしているといきなり手をつかまれた。
「えっ?」
ヤバい!声高くなったー!
「お前女みたいな声出すなぁ。まっ実力みせてもらうぜ!」
いきなり由季のお兄さんにサッカーボールを渡された。
「俺と一対一で勝負だ。」
え!いきなり!てかてか男子と女子じゃ実力違いすぎ!
「むっ無理ですよ。いきなりとか」
「なんだお前根性ねぇなあ。この女男。」
ムカ!このやろう!人がおとなしくしてれば偉そうに!本当に由季と兄弟かよ!性格違いすぎ!
やってやろうじゃない!
「いいですよ!さぁ!勝負です!」
と、ここまでは良かった。勝負はやる前から見えてた。
私はしょせん女子でまぁまぁうまいレベル。相手は名門のエース。
「がぁっ。はぁはぁ。」
疲れて息がきれてる。
「弱いなぁお前。じゃあ明日からよろしくな女男」
「その呼び方やめてください!」
「俺に勝ったらやめてやらぁ」
このくそやろうが!モテそうな人っていうの撤回!女子に嫌われるタイプだこいつ!
この後は言うまでもなく兄の無礼に対する由季の謝罪を聞きながら帰った。
最悪の初日…はぁ…。