力の謎
帝国の襲撃から数日が経った。
多少のケガなどはリューイの力で治すことができることもあり、
壊された門などの修復にすぐに取り掛かることができた。
生活に落ち着きが戻ってきたところでリューイは自分の身になにが起きたのか
詳しい話を聞きに行こうとしていた。
「不思議だよなー。いきなり大人になって出てくるなんて。しかもチョットイケメンだったし」
リンがリューイの周りを飛びながらはしゃいでいた。
二人はヒデルの部屋へと歩いている。
「それについて今日はヒデルから教えてもらえるって話だからな。やっとこのもやもやが無くなるぜ」
リューイは襲撃の次の日から再度変身しようと何度も挑戦したが一度も変身できていない。
それがリューイ余計に混乱させていた。
「まぁいいことじゃん。ぱっと強くなって帝国の奴らを倒せたんだから。うまく使えれば怖いものなしだ」
「他人事だと思って適当言ってるな」
リューイたちはヒデルの部屋に着いた。
「ヒデル。俺だ」
コンコンッとドアを叩きながら言う。
「おお、入りなさい」
中から声が聞こえた。
ドアを開けリューイたちが中に入ると、そこにはヒデルとシュエルがいた。
「そこに座りなさい」
部屋中央のテーブルに座る。ヒデルは上座に座っている。
「今日は俺の腕輪について教えてくれるんだろ?」
「まぁ焦るな。順を追って説明する。少し難しいかも知れないがしっかり聞いてくれ」
ヒデルの説明が始まる。
このセーラの神殿は名前の通りセーラ様を崇拝する神殿。
セーラ様というのはこの世界を作った神様の娘らしい。
神様が世界を作った後、そのあとの世界をセーラ様に託された。
セーラ様は優しく人を愛している女神様でいつも世界を見守ってくれている。
しかしそんなセーラ様をうらやむ者がいた。
セーラ様の弟のジルネイアだ。
ジルネイアは世界を手に入れたい。自分の好きな争いと恐怖にまみれた世界に作り替えたいと思っていた。
そんな悪しき考えをもっていたジルネイアを神様は封印した。
しかし神様が去ったあと、封印が弱まりその隙にジルネイアはセーラ様を入れ替わりで封印しようとした。
ジルネイアの罠にかかりセーラ様は捕らえられてしまうが、封印される直前にセーラ様の力をこの世界に送られた。
それがその腕輪だ。
その腕輪の力でジルネイアを討ち、セーラ様を助ける必要がある。
「セーラ様を助けなきゃどうなるんだよ」
「この世界は荒れ果て争いが尽きず、多くの命が失われるだろう。現にセーラ様が封印されてから世界中で戦争が起きている」
「なんで俺が」
「偶然だろうが君は腕輪に選ばれてしまった、運命なんだ。世界を救ってほしい」
腕輪は善なるものが使えばより善い力を、悪しきものが使えばより悪しき力を与えるようだ。
リューイが黒い獣のようになったのは、憎悪や復讐心に囚われていたからだろう。
「君はこれから旅立ち仲間を集めるんだ」
「仲間?」
「セーラ様の力はいくつか世界に送られている。君と同じセーラ様の力を持つものが他にもいるんだ」
「あの力があれば俺一人で大丈夫だ!」
リューイは立ち上がり声をあげる。
「ジルネイアは神だ。その神からすれば君の力はほんの小さなものさ。しかし力を集めればジルネイアにも対抗できる」
ヒデルはリューイをまっすぐ見ている。
「仲間なんてどうやって集めるんだよー。悪い奴が持ってたらー?」
リンが空中を仰向けに泳ぎながら言う。
「力は引き寄せあう。君がもつセーラ様の癒しと力で改心させればいいさ」
「簡単に言ってくれるなー」
リンは呆れながらフルーツをかじる。
「大丈夫!リューイならできるよ。あたしも協力するし」
シュエルが言う。
「お前もついてくんのか?」
リューイが驚いていう。
「黒い何かになりそうな君を助けたんだ。また力が必要な時が来るかもしれないからね」
「よろしくね!リューイ!」
「あたしもいるんだからー」
「リンもよろしくね!」
俺が世界を救う?エレナの仇、帝国の奴らを倒すって目的があるのに。
「あ、そうだ!あの時、帝国の奴らも腕輪を狙ってたよな!なんでだよ」
「セーラ様の力が欲しかったのだと思うが、詳しくはわたしにもわからない」
ヒデルが答える。
「俺がいなくなってここは大丈夫なのかよ」
「帝国の目的は君さ。君が旅に出ればここを襲う理由はないさ」
まぁあいつらもこの力を狙っているなら、仲間を集めているうちに戦うことになるか。
色々なところ旅しているうちに強くなれるかもしれないしな。
「わかった!この世界は俺に任せろ!ジルなんとかを倒してセーラ様を助けてやる!」
「ジルネイアねー」
リンがため息交じりに言う。
「ありがとう。明日にも発ってほしい。まずはここから北の森を抜けて水の国へ行くといい」
「わかった!」
なぞのやる気を見せるリューイと呆れるリン、しっかり者のシュエルの三人の旅が始まる。




