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聖印の導き  作者: hiro
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襲撃

リューイの訓練が始まり数か月がたった。

まだまだ大人には敵わないが少し戦えるまでにはなったし、

シュエルからは座学も教えてもらいこの世界のことも少し知ることができた。


リューイはいつも通り訓練を行い食堂で昼食を食べていると、突然大きな爆発音が聞こえてきた。


「なんだ!?」

リューイはリンと共に音のした方へ確認に向かう。


「音がしたのは門の方だったよな!」

「うんー」


門が確認できるところまできた。

門は壊され多くの帝国の兵士たちがなだれ込んできている。


「あいつら!」

リューイは飛び出そうとした瞬間、腕をつかまれ止められる。


腕を掴んだのはヒデルだった。


「君にはまだ早い!こっちに来なさい」

リューイの手を掴みながら神殿の奥の方へ歩いていくヒデル。


「なんでだよ!俺も戦える!」

「今行ってもすぐにやられる」

「クソッ!」

「それに見なさい」

ヒデルは指をさす。

それは帝国の兵士と互角以上に戦うセーラの人たちだった。


「私たちはこういう日のために毎日準備していたんだ」

ヒデルは自慢するように笑いながら言う。


神殿の礼拝堂へ着いたときに声がした。


「ヒデル様!」

シュエルが走ってきた。


「ちょうど良い。シュエル、リューイを頼みます。奥の祭壇へ行って隠れていなさい」


「わかりました!」


すでに多くの子供たちが礼拝堂に集まっているのを見ると、こういう時の避難場所となっているようだ。


「見つけましたよ」

聞きなれぬ男の声がした。

声の方を見ると礼拝堂の入口に鎧を着た帝国兵が立っていた。


「その腕輪を渡しなさい。そうすれば全員助けてあげます」

鎧の兵士がリューイの腕輪を指さしながら言う。


「それは出来ない」

すぐにヒデルは答えた。


「あら?せっかく命を助けてあげようとしたのに断るの?」

「渡したとしても全員始末するつもりだろう?」

「全然信用がないのね、あたし」

鎧の兵士は、はぁっとため息をつきながら言う。


瞬間、鎧の兵士はすごい速さで走り出し、リューイへ切りかかる。

そこへヒデルが入り込み鎧の兵士の剣を止める。


「ただの兵士ではなさそうだ」

「あなたの方こそ、やるじゃない」

お互い距離を取る。


「あたしの名前はゾンナ。帝国で第三将軍をやっているわ。よろしくね」

「これは丁寧に。私はヒデルだ。神殿長をしている」


「なに悠長に自己紹介してるんだ。早くやっちまえよ……っ!?」

リューイは叫ぶが、同時にヒデルの腕から血が流れているのに気づく。


ヒデルがケガしてる!あいつ強いんだ!


「元気な坊やね。嫌いじゃないわよ」

「俺はお前が嫌いだ」

「残念。嫌われちゃった」

ゾンナはがっくり頭を下げている。


「今日はこのまま帰ってくれたらうれしいんだがな」

ヒデルは構えながら言う。


「残念だけどそういうわけにはいかないの」

ゾンナの構える。


帝国の兵士が数名入り込んでくる、と同時に神殿の男たちも数名やってきた。


リューイは命のやり取りが始まるのを感じ、息をのむ。


先に仕掛けたのはゾンナだ。

ヒデルへ切りかかり、ヒデルは鉄の腕輪でいなしながら拳を叩きこもうと反撃出る。

攻防は互角に見えてヒデルが若干押されているようだ。


リューイがヒデルたちの戦いにくぎ付けになっているとき、帝国の兵士が突然切りかかってきた。


「あぶない!」

シュエルがリューイを突き飛ばす。


リューイを庇ったせいで、シュエルは背中を切られてしまう。


すぐに神殿の男たちが守りに来たためそれ以上は切られることはなかった。


「おい!大丈夫か!」

リューイはシュエルに駆け寄る。


シュエルは気を失っているようだ。


すぐに神殿の女性が傷の確認をした。

「大丈夫そうだ。そこまで深くない」

女性がいいながらリューイを見る。


リューイはかなり動揺していた。

「……エレナッ!」

ネックレスを握りながら言う。


そしてリューイの腕輪が黒く光りだす。


「あいつらっ!また!」

リューイは興奮状態になる。それと同時に黒いものが腕輪から全身を包むように出てくる。


「な、なんだ!?」

神殿の人々は声を上げる。帝国の兵士も動揺しているようだった。


その声にシュエルは気が付く。

「リューイ?」

腕輪とネックレスがちらりと見えたことでリューイとわかったようだ。


「ヒデル様!」


シュエルの声にヒデルが振り向くと全身が黒いものに包まれているリューイがいた。


「!?シュエル!リューイを呼び戻すんだ!!」

ヒデルが叫ぶ。


「あらー。あーなっちゃうのね。いいじゃない」

ゾンナは嬉しそうに言うと同時にヒデルへ切りかかる。


ヒデルはゾンナの相手で手一杯のようだった。


シュエルはリューイに駆け寄り呼びかける。

「リューイ!聞こえる!?しっかりして!」

何度も何度も呼びかける。



うるさいな。全部ぶち壊してやる。全部。

もうどうでもいい。全部壊す。壊す。


リューイは黒い世界に一人蹲っている。

かすかに声が聞こえる。シュエルの声だ。


リューイ!戻ってきて!リューイ!


うるさいな。もうどうでもいいんだよ。

あいつらエレナだけじゃなく、シュエルまで。


わたしは大丈夫だから!大丈夫!戻ってきて!


けど傷つけた。あいつら俺を狙ってたのに!そのせいで!


大丈夫。あなたのせいじゃない。大丈夫。

黒い世界にシュエルが現れる。

現実世界ではシュエルは黒いものに右手で触れている。


「リューイ。わたしは大丈夫。戻ってきて。みんなのために」


黒い世界に光が差し込みだす。

蹲っているリューイをシュエルが優しく抱きしめる。

大丈夫。あなたはみんなに、世界に必要とされる存在。


一人の帝国兵士が神殿の男たちを倒し、シュエルへと切りかかる。


「あぶないー!」

リンが叫ぶ。


ヒデルも気づくが助けには間に合わない。

周りに誰も助けることができるものがいない。


剣が振り下ろされシュエルの頭に当たる瞬間、

リューイを包んでいた黒いものが内側からすさまじい光を放つ、と同時に中から腕が伸び、剣を指だけで掴む。


黒いものが消え去ると20歳くらいの髪の長い青年が現れた。

金色に輝く細身の鎧を身にまとい全身から光を放っている。

青年が指に少し力を加えると剣は粉々になってしまった。


「リューイ?」

シュエルは驚きながら言う。


「ああ、俺だよ。悪かったな、心配させて。もう大丈夫だ」


そう言いながらシュエルの背中の傷に触れるリューイ。

すると傷が癒えていく。


「すごい!」

リンが声を上げる。


「少し待っていてくれ」

リューイはシュエルを抱え、隅に座らせる。


周りはリューイの存在感に圧倒され動くことができない。


次の瞬間、リューイは目にもとまらぬ速さで帝国兵士を倒していく。


次々と倒れていく帝国の兵士たち。

ゾンナはその光景を見ていることしか出来なかった。


「こんなの聞いてないわよ」

そう言ったゾンナの目の前にリューイが現れ、一発で吹き飛ばされる。


「これが腕輪の、セーラ様の聖印の力」

ヒデルが膝をつきながら言う。


「何か詳しく知っているみたいだな。あとできっちり教えてもらうからな」

リューイはヒデルの傷を治しながら言った。


その後リューイが戦いに加わったこともあり、多少の犠牲は出たが帝国兵士を撃退することができた。

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