腕輪
翌日からの訓練はまず基礎的な訓練から始まった。
走り込みから筋力トレーニング。
リューイのほかにも少年はいたが、そこの訓練に加わるまでに一定の体力をつけるのが目的のようだ。
基礎的な訓練は数週間は続いた。
「だいぶ体力はついたようだな」
訓練終わりのリューイにヒデルが声をかける。
「はやく戦う訓練がしたい」
「まずは基礎からだ。まあ明日から少年兵の訓練メニューに参加すると良い」
「やった」
「早くないー?」
リンが心配そうに言う。
こいつは朝から夜まで訓練中もずっと付いてくる。
「あんたは私がいないと危なっかしいからねー」
なんて言っていた。
最初はうっとおしかったけど、もう慣れた。
「うるせえ。おれは早く戦いたいんだよ」
リューイはリンに言い返す。
ヒデルはそんな二人を嬉しそうに見ていた。
「明日からまた頑張りなさい」
ヒデルは立ち去った。
それと入れ替わるようにシュエルが走ってくる。
「リューイさん、タオルをどうぞ」
「わりぃな」
リューイは受け取りながら答えた。
シュエルは食事や洗濯、こういった時の気遣いなどかなり助けてくれている。
まぁ洗濯は自分でするっていったけど、いつも無理やり取られてしまう。
最近になって知ったが、シュエルには弟がいたようだ。
帝国兵に親もその弟も殺されてしまい奴隷として売られそうになったところを神殿に助けられたようだ。
ここにいる子供は大体そうだ。俺みたいに親のいないのがほとんどで帝国を恨んでいる。
戦う力のないやつは畑仕事、大工仕事や武器づくりをしている。
今日の訓練を終えたリューイは自室へ戻ることにした。
体を綺麗にしてから、食事をし明日の訓練に備え早めに寝ることにした。
その頃、帝国の城で報告が行われていた。
「目的の物は見つかりませんでした。また、後処理に残っていた兵士が戻ってこないため、直接確認しに行ったところ兵士が全て倒されていました」
少し豪華な鎧を着ている兵士が跪いて報告している。
その報告を聞いているのは玉座に座る男とその横に立つ細身の男だ。
「見つからないということはセーラの者に先を越された可能性がある。セーラの拠点を探し出せ。反抗するものは殺すのだ」
細身の男が言う。
「ハッ!」
跪く兵士が答え部屋から出ていく。
「王よ。不甲斐ない結果となり申し訳ございません。次こそは必ず」
細身の男が話す。
「最初から容易くいくとは思っていない。いざとなれば私が直接出向く」
「そんな!王のお手を煩わせてしまうわけにはいきません!その時は私が!」
王の姿は暗くはっきりとしないが、笑っているようだった。
「腕輪さえ手に入れば王に歯向かうものはいなくなります。そうなれば世界は王のものです」
細身の男は続けて言う。
王の笑い声が不気味に響いていた。




