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聖印の導き  作者: hiro
2/12

エレナが死んだ。俺にも優しかったエレナが。

もう全部どうでもいい。

このまま眠りにつかせてほしい。


リューイは夢の中でそんなことを考えていたが、なにやら周りが騒がしい。


「まだ寝てるなー。体は大丈夫なのになー」


リューイは誰かの声に反応し目覚める。


「あ、起きたー」


目覚めると手のひらサイズの羽の生えた人間が目の前を飛んでいた。


「お前誰だ!ここはどこだ!」


リューイは突然の見慣れぬ生き物と部屋に混乱しながら叫ぶ。


周りを見てみると見慣れない作りの部屋、全部石でできているようだ。

ベッドはふかふかで上等なつくりだ。


「うるさいなー。大きな声出すなよー」


謎の生き物は耳を抑えながらさらに続けた。


「ここはセーラの神殿ー。そしてあたしはリンー。あんたはー?」


「セーラの神殿?どこだよ」


「君の村から3日ほど東へ行ったところだよ」

知らないおっさんが部屋へ入ってきながら答えた。

年齢がそこそこいってそうだが、何かエネルギッシュというか暑苦しさのようなものを感じるおっさんだ。


「少年体調はどうだ?」

おっさんがリューイへ聞く。


「俺は何とも………そうだ!腹を刺されて!ってあれ!?」


リューイは自分の腹を確認したが傷は無かった。


「ざっと見たところケガはなさそうだったけどな」

おっさんが言う。


「私の名前はヒデルだ。きみは?」


「おれはリューイだ。なんで俺はここに?」


「君の村の近くを通った時に大きな音を聞いてね。そして村に寄ってみたら君が倒れていたからここまで連れて来たんだ」


「俺のほかにはだれかいなかったか!?」


ヒデルは首を横に振る。

「残念だけど君しか見当たらなかったよ」


「そうか………」

リューイはうつむくと自分の首にエレナのネックレスが掛かっていることに気づく。


「私からも聞いていいかな?」


リューイは答えない。


「君のその腕輪だけど、どこで手に入れたのかな?」


リューイはすっかり忘れていた腕輪に視線を送る。


「畑で拾ったんだ」

そう言いながら外そうとするが外れない。


「あれ?取れない!」


「やっぱり」

ヒデルはなぜかわかっていたようにつぶやく。


「やっぱりってなんだよ!?」

リューイが怒りながら聞いた。


「いきなり全て話したところで納得できないだろう。もう少し落ち着いてから徐々に話すよ。とりあえず今はそのままにしておきなさい」


「そのままって、大丈夫なのかよ?」


「大丈夫。リン、彼に神殿の中を案内してくれるかな?」


「任されたー」

リンは胸をドンと叩き答えた。


リンは見た目はやんちゃそうだが、とても丁寧に神殿を案内してくれた。


この神殿はセーラと女神を崇めている神殿で、ヒデルはここの神殿長ということ。

リンはヒデルに命を助けてもらった過去があり、それから一緒にいてるということ。


しかしリューイはリン自体が気になってあまり集中できていなかった。


「お前、なんなんだ?」


「えー?もしかして妖精は初めてー?」


「妖精?」


「そうー、自然を愛し自然に愛されて生きるー、そして何よりかわいいー。それが妖精ー」


「よくわからん」


「もうーまぁいいやー。ほかに質問はー?」


「別にない。もう家に帰るし」


「帰らないほうがいいよー。あの辺りは帝国の兵士がうろうろしているー。だから止めといたほうがいいよー」


帰る場所まで無くなった。


部屋に戻ってきたリューイ、部屋のテーブルの上に料理が用意されている気が付く。

思い出したように腹が鳴る。

すぐに食事に飛びついた。


とてもおいしい暖かい料理、たまにエレナが持ってきてくれた料理を思い出した。


「エレナ………」

ネックレスを見つめながらつぶやき、そのままベッドに横になりまた眠りにつく。


ヒデルはその様子を部屋の外から見ていた。




その夜、ヒデルが神殿の者たちを集め話をしている。


「恐らくあの少年がお告げにあった光だろう。セーラ様の腕輪と似たものをつけていた」

セーラの像を見ながらヒデルは話している。


「あんな少年が、本当に」

「とうとう光が」

「そもそもお告げが正しいのか」

「信じることに決めたでしょう」

皆口々に期待と不安が入り混じった言葉を交わしている。


「間違いない。私は彼をそうだと信じて託すことにする」

皆がヒデルに注目する。


「まずは彼を説得するところから始める、私に任せてほしい。あと当面の世話はシュエルに頼むことにする。シュエルには明日伝えておいてくれ。」

女性の一人がうなずく。


「体が無事といっても、心はそうとは言えない。気遣ってやってほしい」


ヒデルたちの話し合いは夜遅くまで続いた。

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