第30話 2人目と3人目、犯人はどちらか。
「うっそ……はは……。」
ミリアムは思わず苦笑する。
「この作品の作者に恨みがあったのか?」
年配の警備兵が2人に尋ねる。
ケース男爵夫人、メルティの糸が輝いた。
「それとも本当に誰かに頼まれたのか?」
年配の警備兵が再び尋ねる。
メーラン子爵家のコリンナ令嬢の糸が輝いた。
「あなた!オスマン伯爵夫人に恨みがありますね!」
ミリアムがケース男爵夫人をビシッと指さすと、糸が更に光り輝いた。
「あなた!誰かに燃やすよう頼まれましたね!そしてそれを、私、ローゼンハイデン公爵令嬢、ミリアムのせいにするようにと!」
ミリアムがメーラン子爵家のコリンナ令嬢を指さすと、糸が更に光り輝いた。
「これ、両方いける?」
「女の子のほうはまだ無理だッピね。」
「追い詰めが足らないってわけね……。」
「誰かを指定するといいと思うッピ!」
「わかったわ。とりあえず、ケース男爵夫人を白状させましょ。そのほころび、見逃しません!」
ミリアムはケース男爵夫人の糸をに引き抜いた。するとケース男爵夫人がワッと泣き出して、地面に突っ伏した。
「だって……だって悔しかったんですもの!あの子も私ももとは同じ子爵令嬢だったのに、あの子は伯爵に嫁いで。」
「まさか……それで?」
アンナソフィアが呆れたように言う。
「……それでもオスマン伯爵家は貧乏だったから、うちは男爵でも裕福だったから、気にならなかったのに、刺繍の腕で王妃さまのお茶会にも呼ばれるようになって……。」
それを聞いた貴族たちがざわざわとしだす。
「オスマン伯爵家なんて田舎貴族、伯爵であっても王妃さまのお茶会に呼ばれることなんてなかったのに!うちは男爵家だから一生呼ばれないのに!だから傷つけてやろうと思ったのよ!」
「詳しくお話を聞かせていただけますか?」
「でも燃やしてない!私は糸を切り裂いただけよ!燃やしたのは私じゃないわ!」
抵抗するケース男爵夫人。ミリアムはメーラン子爵令嬢の糸を掴んだ。
【ヒント:とある貴族からの依頼。条件は妹たちを養子にする前提の婚約。メーラン子爵家には家長がいない。弟が未成年の為、爵位を取り上げられそうになっている。】
と表示された。
「それは……あなたなのではないですか?メーラン子爵令嬢。」
「なんのことやらわかりませんわ。この方が私に罪を着せようとしているだけだと思います。今更見苦しいですわ。」
「あなた……婚約と引き換えに、私の名を貶めるよう頼まれたのではありませんか?家族ごと引き取ってもらえるとか言われて……。例えば、ムードン伯爵家……とか?」
「なぜその名を……な、なんでもありませんわ!」
「今だッピ!」
「そのほころび、見逃しません!」
ミリアムはメーラン子爵令嬢の糸を引き抜いた。
「メーラン子爵令嬢。あなたの家には、父親……子爵がいないのではないですか?弟さんはまだ未成年。後見人がいなくては子爵家を保てない。ですがその後見人が家を奪おうとしていたらどうでしょう?」
「メーラン子爵家は、確か後妻を迎えたんだったな。」
「その後妻が家をのっとろうとしている……?」
周囲の人々がヒソヒソしている。
ミリアムはメーラン子爵令嬢をどこかで見たような気がしていた。そして思い出した。学生時代、ビーイング侯爵令嬢の取り巻きだった、ムードン伯爵令嬢に似ているのだ。
だが年齢的に彼女はムードン伯爵令嬢ではない。ムードン伯爵令嬢は、姉の結婚と同時に養子として引き取られたと、過去に聞いたことを思い出したのだ。
メーラン子爵令嬢が両手で顔を覆って無き出した。
「はい……その通りですわ。わたくしの家は、父の後妻に乗っ取られようとしています。父が亡くなり、弟がまだ未成年の為、後見人をつけられることになって……。」
「そこで後妻の彼女が好き勝手したということね?よくあることではあるけれど……。」
アンナソフィアが尋ねる。
「このままではメーラン子爵家は没落してしまいます。そこにとある方が手を差し伸べてくださったのです。ムードン伯爵家と結婚すれば、ムードン伯爵が後見人になることが出来る。妹たちも養子にしてもらえると。」
「ムードン伯爵令嬢として結婚したほうが、よい御縁をいただけると言われたのね。それはムードン伯爵ではないの?」
アンナソフィアが尋ねる。
「いいえ、別の方ですわ。その方に、ムードン伯爵家との結婚と引き換えに、ご令嬢の名誉を貶めるよう言われたのです。」
「ビーイング侯爵家ではありませんか?ムードン伯爵家は、ビーイング侯爵家の産業を握っておりますものね。」
「わ──わたくしはそんな女知りませんわよ!?」
この場で様子を伺おうとしていたのだろう。ビーイング侯爵夫人が、名指しされて慌てたようにこの場から立ち去ろうとする。
アンナソフィアが優しく、しかし毅然と言った。
「ミリアム、あなたの作品は無事だった。それだけでも幸いだわ。でも……これで終わらせてはいけない。」
公爵が一歩前に出て、深く息を吐いた。
「もちろんだ。ローゼンハイデン公爵家の名にかけて、この侮辱は許さん。」
「ビーイング侯爵夫人を追ってちょうだい!」
アンナソフィアの言葉に、警備兵たちが一斉に動き始めた。
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