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悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜  作者: 陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・有料連載)


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第28話 一人目の嘘

「ほら、あの水色のドレスを着て、焦げ茶色の髪をした……。」

 クリスティアンがそう宣言したのだが。


「人を指さすなんて失礼な子どもね。水色のドレスに焦げ茶色の髪ですって?そんな女性がここにどれだけいると思っているの?本当に水色に焦げ茶色だったの?子どもの言うことですもの、見間違いではなくて?」

 指をさされた女性は憤慨してみせた。


「ちょっとアリアドネ……3人全員水色のドレスに焦げ茶色の髪の色をしているわ。」

「だッピね。」


 ミリアムはそのうちの1人を、どこかで見たような気がして首をかしげた。どこだったかしら?と。


「クリスティアンお兄さま、本当に私が放火の犯人だと言ったのは、この方で間違いないのですね?」

「お……おう。」


 と、なんとも心もとない返事だ。

「ほらごらんなさいな。自信がないようよ?本当に失礼な子どもだこと。」

 女性が扇で顔を隠しながら言う。


「待ってくれ、僕にミリアムが困っていると声をかけてきたのも、水色のドレスに焦げ茶色の髪の女性なんだ。」

 とアレクシスが軽く手を上げる。


「私も見ています。こちらの少年に声をかけてきた女性は、間違いなく水色のドレスに焦げ茶色の髪の女性でした。」

 そこに女性の警備兵が同調する。


「3人の目撃証言が一致しています。しかも1人はここの警備兵だ。容疑者が水色のドレスに焦げ茶色の髪の女性であることは間違いないようです。大変恐縮ですが、ここは協力をいただけませんでしょうか?」


 警備兵を取りまとめているのか、年配の警備兵がそう協力を申し出たのだが。


「貴族をこの場で辱めようというのですか?あなた方警備兵にそのような権限はございませんわよね?貴族を取り調べるには、専門の場所を用意するもの。従う義務はございません。」

 ふん、と鼻を鳴らす。


「抵抗すればするほど怪しいわね……。あの人が犯人じゃないかしら?」

「でも糸を引き抜くには、追い詰めがたりないッピ!もう少し待つッピよ!」


「でも、ここから連れ出されたら、私は取り調べ室に入れないわ。貴族に罪を認めさせるのは難しいのよ。」

 ミリアムはため息をつく。


 貴族を取り調べるには、基本立ち会いの文書官と、操作権限を持つ騎士、または貴族が必要だ。密室で行われるのが基本だが、その2つさえ揃えば密室でなければならないという条件はない。


 だがよほどの証拠がないと貴族をとらえるのは難しい。だから取り調べたとしても、取り調べに正直に応じる貴族はほぼいない。


 それに貴族には平民に行うような、拷問などの強制的な方法が使えない。証拠がない場合、認めなければそれまでなのだ。


「──それは私が許可をしよう。」

 アンナソフィアが手を上げる。アンナソフィアさまよ!と、貴族の女性たちが憧れの目を向けてうっとりしている。


 美しさを取り戻し、行政のトップに立つアンナソフィアは、貴族女性たちの憧れだった。しかも最近長年腐敗していた貴族の逮捕という手柄を立てたことが記憶に新しい。


「私は貴族の捜査権限を持っている。一時的にあなた方に捜査権限を付与することも出来る。この中に騎士爵を持つものは?」


 近くにいた警備兵たちが手を上げる。女性警備兵もその1人だった。

「あなたは証人でもあるから、他の者に頼みたいと思います。あなたはこの場で一番の責任者かな?」


 アンナソフィアが年配の警備兵に尋ねる。

「はい。私がこの場の責任者です。ジョスラン・ルーカス騎士爵です。」


「ではあなたに頼みましょう。立ち会いの文書官は私がつとめます。ことはローゼンハイデン公爵家の名誉を潰す問題だ。緊急性があるとして、この場で取り調べを始める!」


 アンナソフィアが宣言すると、犯人ではないかという周囲の視線にいたたまれなくなったのか、女性は扇で、他の糸が出ている2名の女性を指し示す。


「み……水色のドレスに焦げ茶色の髪の女性であれば、ここに他にもおりましてよ!?こちらの方々にもお話を聞いたほうがよろしいのではなくて?」


 と、苦し紛れともとれることを言った。ミリアムとしては、他の2人も取り調べて欲しかったので、好都合である。


「確かに全員水色のドレスに焦げ茶色の髪ね……。あなたたち、間違いなくこの女性が声をかけてきた女性だと証言出来るかしら?」


「それは……顔を隠していたのでなんとも……。」

「お、俺も……。」

「申し訳ありません、僕も……。」


 それを聞いたアンナソフィアは、ふう、とため息をつく。

「仕方がありませんね、そちらのお二方も、大変申し訳ありませんが、捜査にご協力願います。」


 そう言われて、周囲がドーナツのように輪をつくり、中心に3人の女性たちを取り巻くように広がった。


「ではまずはお一人ずつ、お名前を。」

 年配の警備兵が女性たちに尋ねる。


「メーラン子爵家のコリンナですわ。」

「ケース男爵人、メルティです。」

「レックス男爵家のマリアンナです。」


 3人が名乗った瞬間、1人の糸が強く発光する。ミリアムがその1人をビシッと指さした。

「あなた、嘘を言っていますね?そのほころび、見逃しません!」



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