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悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜  作者: 陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・有料連載)


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第27話 3人の容疑者

「少しこの方の話も聞いてみませんか?仲間なのか依頼者なのかわかりませんが、何かわかるかも知れませんわ。」


 ギリギリと平民服を着た男を締め上げる警備兵たちに、そう声をかけるミリアム。確かに……と警備兵たちは納得してくれた。


「あなたに人払いを頼んだ女性について、お伺いしてもよろしいかしら?どんな方でしたの?帽子以外に特徴は……?」

「ご令嬢、質問なら我々が……。」


「あんたらは聞いちゃくれなかったじゃないか!俺はこのお嬢ちゃんに話したい!」

 男がそう叫ぶので、警備兵たちは一応ミリアムに質問させてみることにした。


「ええと……貴族の夫人だと思いました。淡い水色のドレスを着ていて、髪はヴェールで隠れていて顔はよく見えませんでしたが、髪の色は焦げ茶色だったと思います。」

「なんと言っていたんですの?」


「落ち着いた貴族らしい口調で、『ローゼンハイデン公爵家のミリアム嬢がトイレで困っていると伝えて、人払いするよう言われました。絵の前に立っている子どもも兄弟なので、それで通じると言って。詳しい理由は自分で考えろと言われました。」


「私の名前を、はっきりおっしゃったのですね。」

「はい。はっきりと。」

 平民服の男が頷く。


「僕を呼ぶのに、わざわざミリアムの名前を使ったのか。僕とミリアムが兄弟だと知っていた貴族か……。」

 アレクシスが眉を寄せた。


「しかも、僕がここにいることを知っていた。ずっとこの作品を見張っていたということだろうね。」


「それはそうだと思いますが、私とアレクシスお兄さまが兄弟だなんてこと、知らない貴族のほうが珍しいですわ。」

「どうして?ミリアム。」


「どうしてって……。私たち、家族全員でここに来たのですよ?私たちの顔をよく覚えていなくても、お父さまとお母さまといっしょにいるところを見られているのですから、そこで覚えますでしょう?」


 ミリアムは社交界デビュー前なので、交流のある貴族家でなければ顔を知らない筈だが、両親とアレクシスは別だ。


 筆頭公爵家であるローゼンハイデン公爵の父親と、王宮で働く文官長の母親。おまけに第1王子の将来の補佐候補である長男。この3人の顔を知らない貴族は、地方貴族でめったに王都に来ない貴族くらいだ。


 もちろん刺繍大会には地方貴族も参加してはいるが、基本は王都周辺の貴族たちのお祭りだ。大半の貴族が知っている、ローゼンハイデン公爵家一家。


 その3人と一緒に入場したことで、一斉に注目を集めたのだ。ミリアムの顔もそこで覚えられている筈だ。


 ましてやミリアムは、悪女と呼ばれるのはもう少し先の話しだが、今の年齢で既に、筆頭公爵家の娘にも関わらず、手のつけられない令嬢として、悪名が広がっている。


 ああ、アレが例の噂の……とマジマジ見られて顔を覚えられたとしても、少しも不思議ではなかった。


「おお、アンナソフィア、2人がいたぞ!」

「ミリアム、アレクシス、こんなところにいたのね!探したわ、心配したのよ?」


「火事だって!?だいじょうぶなのかよ!」

 そこにローゼンハイデン公爵、アンナソフィア、クリスティアンがやってくる。


「お父さま、お母さま、クリスティアンお兄さま、心配かけてごめんなさい。ミリアムはだいじょうぶですわ。」


「それにしてもお前、作品に火をつけたってどういうことだよ!?」

 クリスティアンがつめよる。

「え?どういうことですの?」

 ミリアムは思わず動揺する。


「あっちでミリアムの作品を見ていたら、ローゼンハイデン公爵令嬢が作品に火をつけたって騒いでいる人がいて、慌てて探しに来たのよ。」


「……なんですって?」

 前世では確かに犯人にされた。だが今回は自分の作品自体をおとりにして、それを防ごうと思ったのに。やはり犯人にされるのか。


「それはありえませんよ、父さま、母さま。だってミリアムが僕を呼んでいると、そこの警備兵に言われて僕がこの刺繍の前から離れるまで、ミリアムはこの場にいなかったのですから。誰かがミリアムに罪を着せようとしたというのが自然です。」


「確かにそうだな……。」

 ざわつく会場の人々も、確かにそうね、などと、ローゼンハイデン公爵同様に呟いている。


「それにしても、どうしてこの警備兵の格好をしていた人には糸が見えないのかしら?」

 ミリアムは腕組みしながら首をかしげる。


「それはこの人がすべてを白状しているからだッピね。隠していることがないから、嘘を見抜くスキルが反応しないんだッピ。」


「なるほどね、じゃあやっぱりこの人が言っていることは本当で、この人は犯人じゃないのね。だったらいったい誰が……。」

 そう思い、周囲を見回した時だった。


「な、なに?なんなのあれ?3人もの人間から、糸が出てるんだけど!?」

 ミリアムが驚くのも当然で、貴族らしい女性たち3人の周囲が光り、そこから糸が漂っている。


「容疑者が3人いるってこと?それともこの人たち全員が共謀してるってことなの?わからないわ……。」


「ミリアム、どうかしたの?」

 1人ぶつぶつ言っているミリアムに、アレクシスが心配そうに声をかける。


「あ!そいつだぜ!ミリアムが犯人だって言って回ってたのは!」

 クリスティアンが1人の女性を指さした。




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