亀裂
「ふぁぁ」
「ゆうくんおはよう」
「おはようございます」
起き上がろうとするが体が痛い。そうだ。昨日はかなり激しかったからまだ火傷が所々残っていた。
「みゆきさん、、、ちょっと体が痛くて、、」
「もーしょうがないなー」
みゆきさんの手を借りて起き上がる。
全身がヒリヒリする。でもこの痛みが気持ちいい。
「ゆうくんご飯出来たから食べよ」
「ありがとうございます」
みゆきさんに毎朝作ってもらってて申し訳ないけど、いつか大きくなったらちゃんと恩返しするんだ。
「「いただきます」」
みゆきさんのご飯はいつも優しくて美味しい。
まるでみゆきさんみたいだ。
きっと性格がでるんだろうな。優しくて安心するけどちょっとスパイスがあるところとかそっくりだ。
「ゆうくん今日も私お休みしたの。ちょっとゆうくんとお話したくて」
「お話ですか?」
「うん食べてからしよ」
「わかりました」
いつもと違うみゆきさんの雰囲気が嫌な予感を刺激する。
でもみゆきさんのことだから僕を捨てないはず。
あっ!昨日の怖い事件のことかな。
そうだ。きっとそうに違いない。
「「ご馳走様でした」」
食べ終わり、食器を片付けたらみゆきさんと正対して座る。
みゆきさん初めて見るくらい真剣な目だ。
「まずはゆうくんに確認したい事があるの。ゆうくんは私のこと好き?」
「はい!もちろんです!」
「よかった。実はね。ゆうくんに相談したい事があって、、」
なんだが凄く嫌な予感がした僕はみゆきさんの言葉を遮った。
「ぼ、僕はずっとみゆきさんと一緒に居たいです!だから捨てないでください、、」
「ち、違うのゆうくん。今日はゆうくんにこれを見てほしくて」
みゆきさんのスマホには養子縁組の文字が。
つまり僕とみゆきさんはこれからは親子として生きていくっていうこと?
「ゆうくんには学校に行って勉強も運動も色んな世界を見てほしいの」
「僕がみゆきさんの子供に、、、」
凄く嬉しいことのはずなのに。僕の心は何故か踊らない。
僕はみゆきさんに母親になって欲しいわけじゃない。形だけのものっていうのもわかっている。
けれど、、僕にはみゆきさんが少し遠くに行ってしまうような気がした。
「嫌かな?これまで通りゆうくんとは一緒にいれるし悪くないと思うけど」
「その、、、もし僕がみゆきさんの子供になったら結婚は出来なくなりますか?」
「そ、そうね。一度養子縁組を結んだら例え解消したとしても結婚することはできないみたい。」
どうしよう。心ではわかっている。
今のままではみゆきさんに迷惑掛けるし、結婚どころでもない。
形だけでもみゆきさんの子供になった方がいいに決まってる。
なのに。
「みゆきさんと僕は結婚したいです!」
「ゆうくん、、、でも結婚の前にゆうくんに戸籍が無かったら何もできないよ」
「わ、わかってます、、」
わかってるんだ。
けれど親子になるっているのは恋愛と最も遠い所にある。
不安になるんだ。みゆきさんが離れていかないか
「みゆきさんは僕を奴隷として迎えてくれたんじゃないんですか、、」
「もちろんそうだしこれからもそう接する」
「ぼ、僕はこのままがいいです!みゆきさんの奴隷として生きたいんです!」
「ゆうくん?そんな言い方教えたかな?」
しまった!強く言い過ぎてしまった。
みゆきさんの声のトーンが今まで聞いたことないくらいに低い。
「ご、ごめんなさい、」
「ゆうくんのために私は提案したのに、、私はゆうくんに普通に生きて欲しいだけわかってくれないかな?」
「い、嫌です」
「へーゆうくんそんなこと言えるんだ。最近ゆうくんに甘くしすぎたかな」
怖い。とっくに震えは限界に達していて今にも漏らしてしまいそうだ。
でも言わなきゃ。
「僕はみゆきさんと一緒に生きて一緒に死にたい!もしみゆきさんが先に死んじゃっても僕もすぐに死にます!」
「そっか、、ゆうくんは親子はどうしても嫌なんだね。わかった」
「はい、、、」
「その代わり!今言った私と一緒に死ぬこと。これは絶対に守ること。いい?」
「はい!みゆきさんのいない世界に興味ありません!」
「よし。この話しはここで終わりだけど、ゆうくんちょっとお仕置きが必要かなー」
「は、、い、、」
あれだけ言ったんだから当然だ。
でも今は心が踊っている。そうだ。僕が求めていたものはこれなんだ。
みゆきさんと生きてみゆきさんと死ぬ。
完全にみゆきさんのもの。
「じゃあ目を瞑って」
これでよかった。
僕の世界にはみゆきさんだけで充分なんだ。




