一筋の光
「さてゆうくん。今日謝らないといけないことは?」
僕は後ろで手錠をされており、みゆきさんの前に跪いている。
「商品を持てなくてみゆきさんに持たせてしまいました」
「それよりもっと大切なこと破ったよね?」
「はい。出る前にみゆきさんと約束した外では触ったり周りから怪しまれるようなことはしないという約束を破りました」
「どうしてかな?」
スイッチの入ったみゆきさんは震え上がるほどに怖い。
でもしっかり伝えなきゃ。それが僕の立場だから。
「みゆきさんと一日動物園を回って凄く楽しくて。みゆきさんともっともっと一緒にいたくて。僕のわがままです」
「ゆうくんわかってる?私達誰かに知られちゃいけないの。もし知られたりしたら」
みゆきさんはそっと僕の頬に手を当てて
「私達離れないといけないから」
初めてだ。みゆきさんがこんなにも悲しそうな顔を見せたのは。
胸がキュッと痛む。
「ごめんなさい。僕のわがまま、、」
「ううん。きっとゆうくんもそこはわかってくれていると思う。でもね私はゆうくんを絶対に失いたくないの」
「みゆきさん、、、それは僕もです」
「そうよね。今日は私にこんな悲しい思いさせたんだからゆうくん覚悟出来てる?」
「はい。ただ、、、」
言わないといけない。中途半端な気持ちは駄目だから。
何よりみゆきさんに聞いてほしいから。
「なに?嫌になったの?」
「ち、違います!僕は、、、今とっても幸せです」
「うん。」
「こんな幸せは味わったことがありませんでした。だから、、、怖いんです。僕は幸せになっていいのかと、、」
今日ずっと思っていた。僕なんかに幸せになら資格があるんだろうか。
もしかしたら僕のせいで誰かが不幸になるかもしれない。
「あのねゆうくん」
「はい」
「ゆうくんが今まで幸せじゃなくてとても辛い思いしてたのは私も知ってる。だけど今からは別。
ゆうくんは幸せになっていいの」
みゆきさんの言葉に涙が出そうになるも必死に堪える。
そして続く言葉をしっかりと聞く。
「きっとゆうくんは自分は不幸でいるはずって思っているんじゃない?」
「はい、、こんな僕がと思います」
「ゆうくんは自分が不幸であるはずって思ってるから不幸じゃない自分が堪らなく怖いんだと思う。だから不幸に自分から向かってる」
不幸に自分から向かっている?
そんなはずないと思ったけど心当たりがある。
心の何処かで僕はこうだからって決めつけてた。
「幸せになっていいの。いや、幸せになるはずなの。だからゆうくんの今まで作り上げてきた不幸な幻は私が壊してあげる」
堪えていた涙が溢れ出す。
僕は幸せに向かって歩いてもいいんだ。
「これからは幸せなゆうくんを目指して二人で歩こうね」
「はい!!みゆきさん、、、僕!絶対幸せになります!みゆきさんと一緒に!!」
もう僕は不幸の呪縛から開放されて良いんだ。
不幸でなくていい。
むしろ幸せでいい。
1人じゃ怖いから。超えられないから。
みゆきさんと一緒に越えていくんだ。
「ありがとうゆうくん。これで大丈夫そう?」
「はい!」
「よかった。それじゃあ初めよっか。ゆうくんのお仕置きタイム♪」
「はい」
「あ、せっかくだから聞いておくね。ゆうくんにとって今からの時間は何かな?」
みゆきさんの言葉で吹っ切れたんだ。
だから僕はとびきりの笑顔で答えた。
「幸せな時間です」
と。




