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005 狂信者達の地、天界:最高神では・・・

ここは天界:最高神。かつて、最高神が活動の拠点にしていた、神不在だった崩壊確定の天界だ。


一時期、最高神がこの天界の神の座につき、天界に最高神の御名が刻まれていたが、その御名の使用が禁止されたことで、今でも最高神の管理地だが、真名は使えず、天界:最高神という名になった。

それは、この天界の住人にとっての屈辱であった。私達は最高神を誰よりも敬愛する信者なのだ!なのに御名も呼べないなんて・・・と。


天界の中心部には王母大樹の先祖と言える金色に輝く天照樹がそびえ立ち、その周囲を群馬県サイズの島、最高神教会が巡っている。かつて最高神が転生・降臨した国を丸ごと浮上させたのだ。

最高神を敬う信者の聖地になっているこの場所に、最高神が自ら作成したとされる最高神像が祀られていることは有名だ。

その神像は、初めは普通の像だったが、最高神が出世する度に威光を増して、今では教会の室内を明るく照らしている。その光を浴びれば、健康に!長寿に!良縁に恵まれる!と大好評だ。

そしてその両脇には、いつの頃からか?光り輝く最高神像にひざまずく、二人の聖女が配置されている。


「この聖女像、顔は拝めないけどまるで生きているような質感がある」

「最高神が再降臨した際に聖女像に生命が宿る」と参詣者に評判である。


今日はその場所に各天界で布教している、それぞれの教会トップ、聖人達が集められた。

この招集は1年ほど前に発令された。【絶対招集】としてだ。なお、これに反すると信者資格を永久に剥奪される、例え死の病でも招集は絶対で、免れることの出来る存在は死者のみ。

その中には最高神教会の最高権力者であり、狂信者でもある教皇ジネーヴラまでもが参加している。


教皇ジネーヴラは、最高神直属の眷属であり、眷属になるために最高神が嫌う男から女に性転換した猛者だ。今では最高神の御力で性転換した【最高神の愛子】と呼ばれている。補足だが、最高神自身はそんなことをイチミリたりとも思ったことはない。どちらかといえば、いらない子である。


「今日はみなさまに天に登るほどの福音を授けたいと思います」

「つい先程、天界名称が天界:最高神から天界アスカに変わりました!」

その言葉にどういうことか?理解出来ずにどよめく聖人達。逆に最高神の称号すら消されるのか!不敬の極みだ!と怒るものも。

そのもの達に教皇は優しい笑みを向け、更なる福音を与えるのだった。


「この天界と私達は最高神のもの。つまりは最高神がアスカ様として、王母大樹から下界に降臨された証であります!」

その言葉の瞬間、すべての音がかき消えた。それほどの衝撃だった。

聖人達は、そのまま無言でひざまずき祈りと感謝を捧げる。すると、最高神像の両脇の聖女像が動き出したのだ!更なる奇跡が!・・というわけではない。


「最高神の素晴らしさをつぶやいていましたら、いつの間にか数年が経っていましたか」

「ええ、ええ、最高神の素晴らしさは一生掛けても語り尽くせませんもの」

まあ・・・実際には同じような事をループして永遠と話しているだけなのだが。もちろんこの二人も立派な?上位の狂信者である。

そして、二人も最高神直属の眷属である。一部では強引に眷属になった「押し売り聖女」と呼ばれているが、今では最高神をもその暑苦しいまでの信仰心で押し切った、最上級の褒め言葉になっている。


「ベネデッタ、アリアンナ。お前達の仕事、分かっておりますね」

「「はい!聖女とは常に我が主である最高神、アスカ様の身許に侍るもの」」

「よろしい!では行きなさい!」

アスカが、よーーーやく追い払った狂信者達が、アスカの降臨を即座に感知して行動を開始する。


実は、この降臨は教皇により日時を予言されていたのだ。だが、肝心の場所が分からなかった。

それを私ことナレーション担当が、教皇にアスカ様の居場所をチクったのだ。

ふふふ、すべては殴られた復讐を果たすために!たーくさん困ってくださいね!


「アスカ様がご降臨された地はすべてが聖地!その場所に信者が一人も居ない・・いや、その天界の民、すべてが信者であるべきです!違いますか?いえ、それが真理です」

「「「「おおおーーー!!!」」」」

「不浄の地、天界ユートピアをアスカ様への信仰の波できれいに洗い流しましょう!」

「「「「おおおーーー!!!」」」」

「そして聖地とは一つであるべきです!・・・あちこち巡るの面倒ですから」

「「「「おおおーーー!!!」」」」


「天界アスカ、天界ユートピアに向けて発進します!さあ、信仰心をアスカ様の像に注ぎ込みなさい!」

「「「「アスカ様ーーー!!!御身のおそばにーーー!!!」」」」

暑苦しい狂信者達を満載した天界アスカが、天界ユートピアを取り込むために出発を開始。聖女達はその嗅覚を頼りに界渡りで先行していく。


<王母大樹ー管制室>


「おいおい!あの狂信者共、天界ごと動き出したぞ・・あんな事出来るのか?」

「はぁ〜!?あいつを追い出して、まだ1時間もたってないわよ!?なんで気付いたの?なら結界は?」

「ダメだ。配置していた上級神達も先行した聖女達に襲われている」

「私が説得に行くか?天界移動など、天変地異発生で各方面から苦情満載だぞ?」

「ここ知られるからダメ、ここを天照樹みたいに確保されてあいつらの聖地にされたくないわ・・・各天界には移動予測地域に注意報出して。あと苦情は直接言え!と伝えて。最高神すら逃げたあれに粘着されたくないから、みな黙るわよ」


「居ても居なくても仕事が増えるって・・・うちの最高神は困ったものだね」



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