033 白龍蛇族の村で力比べをする
私達が運ばれた先には、掘っ立て小屋が立ち並ぶ、寂れた村があった。ここの天界は雨も少なく風も強風になることはない。これで十分なのだろう。
村の周りには塀などはないのだけど、村への入口の前には護衛が二人いた。
「魔王が和平交渉に来た!」「・・・捕縛の間違いでは」
と、不思議そうな顔をしているので、縄から右手を抜き出して手を降ると、びくっ!と反応された。
「わざと縛られているのです。こうでもしないと信用してくれないでしょ?」
そう言うと納得してくれたので、右手をまた縄に入れて元に戻す。
「・・・仲間が竜氣で作ったものなのだが?」「練りが甘いわね」
アスカ様と敵対していた時は、兄弟揃って発氣で縛られたりしましたからね。あの粘性超合金に比べたら、こんなのはちょろいです。
ちなみに、ターミネー◯ー2の映画を見たときに、これが元ネタだ!と気づきました。
うむうむ、村人は250名位かしら?外に出ている人達は30名程。男女問わず武闘派って感じがしますね・・ああ、そう言うことか。
「発氣・・ここでは竜氣ね。使えるか使えないかの違いが、恐怖の差って訳ね」
「そのようですね。部屋の中に居る者たちからは氣を感じません」
私達の会話に細身の白竜蛇族が割り込んできた。
「なるほど、そういう事か!竜氣は戦士を守る」
「あと、うちの大魔王には手出し厳禁ですよ。あれでも全力ではないので」「な!?」
「当面は傍観者になるらしいので、よろしくお願いします」「・・・分かった」
「怯えは竜氣を優しく流してあげればすぐに落ち着きます。出来れば家族の方に」
「「分かった」」
私達を取り囲む中の2名が走り去っていく。きっと頭領に報告に行くのだろう。
その後、村の中央部の広間に降ろされたので、手足の拘束を自分で解く。クリシュナもそれに続くが、五賢人には無理だったので解いてもらう。
「お客人、うちの頭達に会うためには、まずはここで力を示してもらう」
おうおう、アスカ様好みの脳筋部族だこと・・あとで報告しておこう。
「それはいいけど、戦闘は怯えている人達には悪影響でしょ?」
「「「確かに」」・・・ならば、どうする?」
「うーん、なら腕相撲をしない?」やり方を説明すると「「「そんな方法が!」」」と大盛りあがりだ。
警戒対象の私達を放置して腕相撲を始めたバカ脳筋も居る。
「ねえ、警護をほっぽりだして遊び始めたけど?」「後で指導する」
「誰が出るのか?」と聞かれたので、私が挙手すると呆れられた。
「おいおい、そんな細い腕で出来るのか?ねーちゃん」
「ふふふ、伊達に魔王を名乗ってないし、私達には貴方達に近い力、発氣というものがあるのですよ?」
発氣を発動すると、私が言っている意味が分かったようだけど・・まだまだ!
「ここから・・・さ〜ら〜に!魔王発氣!」
「「「おおっ!?」」」
体が変形して、女性らしく丸みを帯びた体から、筋骨隆々の体に変化する。
「胸がなくなった・・男なのか!?」「女です。あくまで強化の影響!」
「さ〜あ!かかってきなさい!」
その後、強者を名乗る3名と退治したが、いずれも一気に押し倒した。
「強者よ!我らの頭達達にお会い下さい!」
清々しいほどの脳筋思考だ・・もしかして、頭領達もこんな感じなのだろうか?一抹の不安がよぎる。
なお、大好評だった腕相撲は、白龍蛇族の大祭のひとつになったそうだ。




