030 エルフ王国は大混乱です(後編)
魔王の配下、アスカによる結界内への侵入事件。それから3日が経過しました。
次期国王である、エマ・アナベル・フレシィティ・イザベルは思考する。
アレは夢だったのでしょうか?ですが・・いえ、あの美味しいお菓子達が『真実だ!』と告げています。
アスカ・・また来ないかな?
そんな最中、諜報部隊のレイラ・ダーシーが怪訝な表情で会議室に入室してきた。
「あら?会議の30分前ですよ・・その顔、どうしましたか?」
「いえ・・そこの曲がり角に・・アスカが居まして・・大量のお菓子とこれを渡されました」
「!?他の皆を緊急招集して下さい!」「は、はい!」
慌てて会議室を飛び出すレイラ。しかし、自由気ままに出入りしているようですね。あのお方は・・と考えながらも、手は無意識にお菓子を手に取っていた、あら?飲料まであるわ。
「レイラが持ってきた筒を調べないといけないのに・・手が・・止まりません・・ううっ、ポテチとコーラのコンビが〜!極悪です〜!」
その後、みんなが集まったものの、手を止めずにお菓子を食べる私に呆れていた。
「エマ様、少しふっくらしましたね」勇者ダリルの言葉に固まる。ふふふ、それは禁句ですよ。
「・・・死にたいのですか?」「ひ!?」勇者がたじろいた。
その瞬間、体がふわっと浮き上がり、誰かの太ももの上に乗せられた・・え!?アスカ!
「子どものうちはすこしふっくらした感じがちょうどいいんだよ・・さあ会議を始めようか」
なんで敵の貴方が・・「チーズケーキのお土産があるよ」「お願いします!」
前回のアスカの来訪で、この方には勝てない。と皆の心に刻み込まれてしまいましたが、それよりも悪意が全く無いのが一番大きいでしょう。それに・・お菓子!
チーズケーキを「あーん」されながら、会議が始まります・・王の威厳が・・チーズケーキの威光の前には塵芥のようです。
「あの・・甘やかすはご勘弁願いますか?」
「ばかやろー!まだ10歳だぞ。子どものフォローはお前らでするんだよ!・・はい、あーん・・」宰相が叱り飛ばされた。
可愛いがりとお菓子による過保護攻撃で、私の心は蕩けそうです。いえいえ、国の存亡の危機なのです。心の中で葛藤していると・・・
「この筒は投射機だ、これから私の真の力を見てもらおうと思っている」
「お前は何を言っているのだ?今、ここに居るではないか?」カニンガムが叩き切るが・・
「これは魔法ドッペルゲンガーだよ・・はい、あーん・・無属性魔法で作った分身だよ。あっちが本体ね・・今の私は弱弱だよ」
「分身に勝負などしかけん!」プライドは高いのよね。
そして、投影される魔王とアスカのその姿。これ、絶対にアスカが主よね・・これって。
そして、その力は理解の範疇を超えている・・その波動はここまで届いた。きっと街は大混乱だろう。
だけど「エマ、次はチョコレートケーキを食べよう。ほらレイラも」・・ここのアスカは平常運転です。
「これは・・神魔!?あ、あなたはーーー!!!」いきなり宰相が叫び出すが・・・
「お前の行動の結果がこれだ。エマが可愛いから許すが、すべてが片付いたら真面目に働けよ」
「・・・はい」一喝されていた。
この関係性を不思議に思うけど・・うん、チョコの魅惑にあがらうので精一杯です。
「さあ、魔王達が来るまでに力を付けようか。勇者と魔法大将も鍛えがいがありそうだ・・特に宰相は一から指導してやろう」
「エマ、お前は結界装置が使えるように鍛えてあげるから。名付けて『お菓子を食べながら精緻な魔法コントロールを習得する』特訓だ!」
・・・なんて甘美な響きなのでしょうか!
「ですが、何故魔王軍のアスカが私達を鍛えるのですか?」正直に聞いてみた。
「この天界のバランス維持だね。このまま魔王軍と和睦すると力関係的に魔王には逆らえない。あくまでも和睦は対等にだ。これからダニイル・ルカ共和国の5賢人も鍛えるぞ」
「それに、グレニール王国とニライカナイはきな臭い。だから、こちらの勢力全体の力を上げておきたいんだ。獣人共はまだ未定だけどね」
どうやらアスカは勢力を2つに分けたいようですね。これだけははっきりと分かりました。
道は楽そうではありませんが、アスカについていけば何とかなりそうな・・そんな気がします。
そんな気だけで国難を突き進むのはどうかと思いますが、あの力の前では選択肢はありませんし、どーんと突き進んでいこう!と思います。




