002 魔王【四陣】集合(前編)
とりあえず世界樹を目指して・・言い忘れていたが、アスカが平定する世界にある各天界には、すべて世界樹が存在する。
アスカが最高神になった際にした理設定は
「言語は日本語」
「通貨は円」
「天界の中心に世界樹を植える」
の3つだ。
世界の理の改変には、敵の首魁を殲滅するより力を使ったらしい、と配下達が呆れていたそうだ。
世界樹はマナの復活に寄与するので必要だが、それ以外は・・意味があるのだろうか?
とりあえず世界樹を目指して、平原を適当に歩いていたら瘴気の濃い森にたどり着いた。敵がいそうな感じがビンビンするぞ。
木々すらも濃密な瘴気を纏って居る程だ。人族なら森に入り込むだけで気が狂いそうな程の濃密な瘴気だろう。まあ、私には問題ないけどな。
「面白そうな魔物がいるといいけど」
平原には魔物が見当たらないので、ここでの自身の能力を把握するため、敵を求めて森に突撃する。
瘴気の森に入ると、コボルト、ゴブリン、オーク、オーガ、グリーンワーム、ブラックアント等、混成した大群が把握出来るだけで千体は居た。だけど、これは?
「混成部隊?魔物には種族ごとに縄張りがあるはず・・もしかして人族が増えすぎたのか?」
何故そう思ったのか?天界には人族が増えすぎると(だいたい5億程が上限値)防衛機能が働き、魔王が誕生するのだ。人族は増えすぎると碌なことが無いらしい。
そして魔物達は天界の理として【強い魔王】に恭順する。魔王の元で組織的な行動をする魔物達は人族に攻撃を開始して、人族が1億以下になるまで殺戮が始まるのだ。
そして、人口1億の下限値を下回ると、今度は勇者が指名されて魔王軍討伐の流れになっていく。
ちなみに【強い魔王】と強調したのは、魔王は複数体存在するからだ。お互い淘汰し合い更なる強者となりて人族に牙を向く。
もちろん勇者も複数現れる。こちらは皆で共闘するし、この頃には人族も英雄と呼ばれる百戦錬磨の強者が増えており、希望に満ちた人族の反抗が始まるのだ。
だが、必ず人族が勝つわけではないし、一度防衛機能が発動すると天界を統治する神にも介入出来ない。そして血みどろの大戦争の末に天界が崩壊することもあるのだ。
だからこそ、天界神は教会という神の代行機関を作り、神託と言う形で人族の人口を増やさないように諸々管理をするのだ。ここはそういう管理をしていない天界なのだろうか?
そういう理由から、混成部隊=魔王軍と断定したのだ。しかし、観察すると魔物達は全然元気がない、というか既にけが人だらけだ。ここはサナトリウムか何かか?
とりあえず発氣の外気で両耳の上に黄金の角を作成、魔物になりすまし数人に声を掛けるが「ギ・・ギ?」言葉は話せないようだ。
え?言語が違うからだろって?それは違うぞ。(先にも書いたが)私が最高神になった時に「言語は日本語に統一」と強制したのだ。
通貨も円だ。何故か?長さや重さも共通になっていたけどな。だからどこに行っても意思疎通には困らない。
全天界すべての生きとし生けるものに情報改変を行ったのでだいぶ神力を使ったな。それこそエーテル勢力のボスのほうがチョロかった。
ふふふ、その真の目的は全世界ラノベ愛好化計画のためなのだ!そして厨二的妄想を実現した少年少女達よ!冒険して強くなり、最終的に私に挑戦してくるのだ!すべては暇つぶしのために!
・・・なんともお馬鹿な思考であったようだ。
とりあえず、指揮官クラスが居ないものかと探し回ると、私を見てぎょ!とした表情をしたダークエルフの女性が居た。
その表情をみて、あれは魔王だ!と断定する。
理由は、私をひと目見て魔物ではないと気づいたからだ。魔王は魔物を配下に出来る、なら魔物ではないものも分かるはずだからだ。
ダークエルフは2体のオーガを従えながら、恐る恐る私に近づいてきた。
「あんたは魔王か?」と私が先に声を掛ける。
「そうです。北の魔王、アマンディーヌと申します。それよりも・・貴方はレディース【天上天下唯我独尊】の総長〇〇〇ですよね?・・え!?あれ!?」
どうやら、私の本名が発せなくて焦っているようだ。しかし、向こうの一方的にだろうけど、こんな場所で知人と合うとは・・世界は狭いね。
「お前、転生者か?昔の名前は禁止ワードになってるんだ。今はアスカと呼んでくれ」
「おお!?やはり総長でしたか!私はレディース【天上天下唯我独尊】第三特攻部隊、通称エリー隊の隊長の松野エリカです!」
その発言にぎょっとした。まさかの元部下だった。
「おま!エリカか!しかし、前はトカゲみたいな顔してたのに、ずいぶん美人になったな!」
「ええ、美人にはなりました・・でも、活用する場所が・・皆無で」
「確かになwww」
まさか、こんな場所で日本の後輩に出会うとは!?あの戦争で私の発氣を伝授された集団、レディース【天上天下唯我独尊】は戦場で大活躍だったそうだからな。当然、死人も出たのだろう。
しんみりと、そんなことを考えていると・・・
「総長!お願いします!助けてください!・・このままでは魔王軍は全滅なのです!」
なにやら、この天界で問題がありそうだ。