タイトル未定2024/09/05 07:08
魔法なら、その辺上手いことコントロールできて、熱気球と飛行船を組み合わせたもの作れないのかな?
これも、実験か。空気が逃げない素材……いや、素材は布でいいのかな。布にゴムを薄く塗る……いや、ゴムがない。なんかの皮?水筒は皮でできてるやつあるよね。
……もういっそ、魔物で役立つ素材とか出てこないかな……!フグとか蛙の皮とか使えそうじゃない?
「どうかなさいましたか?」
料理長の声にハッと意識を戻す。
とりあえず魔法があり魔物がいる世界の可能性は、私一人で考えても仕方がないので、後で人に聞いてみよう。誰に聞けばいいのかな?
「いえ。来年はたくさん作ってくださいね。とても美味しいので。そうですね、もっと領地に広く食べてもらえるといいと思うんです」
料理長が驚いた顔をする。
「それは、売るということですか?さすがにそれほどの量は……ハーブも足りなくなりますし……」
そういえば、料理長がハーブを育てていると言っていた。
「いえ、売るのではなく、今日のように、ギルドに差し入れで持って行ったり……そうですね、孤児院の慰問に持って行くとか、使わせていただけると嬉しいの」
料理長の顔がぱぁっと明るくなった。
「そうですか、孤児院に……ええ、ええ。それでしたら、たくさん作らせていただきます。奥様がお優しい方でよかった」
料理長が涙ぐむと、料理人が声を上げた。
「料理長、おいらもハーブ一緒に育てます!」
「僕は採取を手伝いますよ!」
やばい。
「皆、ありがとう。皆さんがとても素敵な方々で……よかった」
侯爵家の使用人たちを思い出す。
人の足の引っ張り合いが大好きな人たちだった。
仕事をさぼって人に押し付ける、自分の失敗は人のせいにする……。
そのほとんどは私に回って来たのだけれど。私がいなくなって、あの人たちはどうしてるのかな?
差し入れ作りは皆に任せることにした。
調理場で皆が働く姿を見る。
見守る……いや、これ、やりにくいでしょ料理人たち!監視だよ、これじゃあ。
調理場を後にする。
部屋に戻ると、マーサがベッドメイクや掃除などしている。
見守る。
いや、だから、自由に何かするっての苦手なの!掃除も料理も私にもさせて!みんなが働いてる横で好きなことなんてできないっ!
だ、だめだ。地味にストレス。差し入れの料理が出来上がるまで、何をしていよう。
あ、そうだ。騎士団の訓練所へ行ってみよう。この間の光属性魔法の騎士はどうなっただろう。
私のせいでよりひどいいじめにあってるといけない。
もし、やばそうなら「この私を誰だと思っているの?」をやってでも助けないと。
……いや、それって3年後に私がいなくなった後「お前を守るやつはいなくなったぞ、良くも今までいい気になってたな!」とか言われちゃう?
と、どうしようかいろいろ考えながら騎士団の訓練所へと向かう途中、笑い声が聞こえてきた。